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8.ムラザメは勧誘する

主人公もマトモではありません。

(源徳 村雨視点)


「ふむ、よくやった!……勇気ある貴女にはこの魔導書を授けよう!……それと、メテオ三連星の外殻もそちらで好きにして貰っても構わないぞ!」


「ハ~ッハッハッハ☆!……では、ボク様がありがたく貰い受けよう☆!」


ーピロリン♪


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

[ユニーククエストがクリアされました]

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


……初期スポーン地がある街の外れに建つオンボロ屋敷にて、家主らしきNPCからクエスト報酬を貰っているグロサリーヌ……


その姿を見ながら俺達は、彼女をどう勧誘するかで言い争っていた。


「いやムラザメさん、本気であの人を勧誘するつもりデッスか!?」


「うっ……確かにレベル差は激しいが、それでも彼女の強さは本物だ……」


「いやレベル差じゃなくて、あんなのとやってける自信がないんデッスよ!」


「そんな気にしなくたって、エンムスビも口調含め大概だから安心しろ」


「馬鹿にしてマッスか!?」


訂正。


勧誘したい俺と、勧誘したくないエンムスビで言い争いが発生していた。


と、そこへ……


「むむむ☆?……君達、このボク様に何か用でもあるのかな☆?」


「「うわっ!?」」


俺達が口論している中、いつの間にかすぐ近くにまで迫っていたグロサリーヌから話しかけられてしまった。


……さて、どうしたものか……


「ふむふむ、その顔はもしかしなくても……この偉大なボク様を勧誘しに来たって顔だね☆?」


「っ!……やっぱり、お前には俺達なんかの考えてる事はお見通しって訳か……」


おぉ……


……確かにこいつは新人らしいが、それでも俺達なんかとは格が違うって事は理解出来ていた。


だから、目的を当てられた事は驚きつつも納得してたんだが……


「ふぇ☆?……ほ、ほほほほ本当にボク様を勧誘しに来たのかい☆!?」


ーガシッ!ブンブンブン!


「うおぉっ!?……ゆ、揺らすな揺らすな!」


返って来たのは困惑の言葉と物理的な揺さぶり……


……あれ、これまさか……


「ボク様を本当に勧誘してるんだね☆!?言っとくけど後から否定は出来ないからね☆!?」


「さっきのあれは適当に言っただけかよ!……ってか何だこの独特なボッチか……」


「ボッチとか言ってくれるな☆!……ボク様だって気にしてるんだぞ☆!」


「やっぱそういう事か……」


こいつは確かに狂人だ。


でも、同時に仲間を求めるボッチだったのか……


「うぅ……皆、最初は普通に話してくれるんだ☆!なのに、何故か最後はボク様にドン引きした様に離れて行ってしまう☆!」


「そりゃドン引きするわ……普通、あんなにぶっ通しで自爆ゾンビ戦法するとか狂人の範疇だからな」


「なっ☆!?……だが、リアルのボク様は自爆ゾンビ戦法?とやらはしてない筈だぞ☆!」


「それでもドン引きされる様な奇行をしたんだなって事だけは俺でも察せられるぞ!」


出会ってからそんなに経ってねぇのに、関わりたくねぇって思わせる雰囲気が強いんだよな……


「と、ともかく☆!……君はそう思いながらも、ボク様を勧誘するつもりなんだね☆?」


「ああ……性格は置いとくとしても、戦力としては充分魅力的なんでな」


もっとも、戦力として魅力的なのは火力面ではない。


いやまあ火力面でも活躍は期待出来るんだが、1番期待出来る点は執着とも言える程の忍耐力だ。


……丸1夜ぶっ通しで自爆ゾンビ戦法を続けるなんて、どう考えても正気の沙汰じゃねぇ……


「お、おぉぉぉ☆!……ぼ、ボク様をそこまで欲してくれるなんて嬉しいね~☆!」


「お、じゃあ仲間になってくれるか?」


「喜んで承ろうじゃないか☆!」


「……うわ、本当に仲間になっちゃいマッシたよ」


よし、これで火力面の心配は取り敢えずマシになったし、何より必要とあれば1日以上自爆し続ける程の便利な戦力が手に入った訳だ。


……これだけ聞くと兵器か何かか?


と、グロサリーヌ本人が聞いてたら失礼極まりねぇ事を考えていると……


「……それで、君達はこれからどうするつもりだい☆?」


「「ん?」」


「いいや、より正確に言おう☆。……君達はこれからどこの街へ向かうつもりなのかな☆?」


えっと、どこの街へ行くかだと?


……別に何も考えてなかったんだが?


「俺達、別に何処かへ行くだなんて言ってねぇが?」


「そんな訳ないだろう☆?……基本的に、この街に残り続けるのは戦闘に向かない生産職プレイヤーや商人プレイヤーぐらいなものさ☆……でも君達は見るからに戦闘職だし、この街も一時的な拠点に過ぎないんだろ☆?」


「ま、まあいずれは?」


「いつになるかは分かりマッセんが……」


俺達は当分、この街を離れるつもりがねぇ。


……だって、何だかんだレベルは未だに2なんでな。


すぐに死ぬのが目に見えてる。


ただ、この答えはお気に召さなかったらしく……


「なっ☆!?……では北に位置する[竜の都 ドラゴネリア]にも、南に位置する[旧時代遺跡郡 カラカガルド]にも、東に位置する[砂漠の都 デザートロメア]にも、西に位置する[死者の都 アンボルデス]にも行かないつもりなのか☆!?」


「早口で喋るな!」


「……というか、どの街も攻略最前線の四大クランが本拠地にしてる場所デッスよね?」


そう。


今グロサリーヌが告げた4つの場所……


・北にある[竜の都 ドラゴネリア]


・南にある[旧時代遺跡郡 カラカガルド]


・東にある[砂漠の都 デザートロメア]


・西にある[死者の都 アンボルデス]


……は、それぞれ攻略最前線の四大クランが本拠地にしている場所として有名だ。


少なくとも、新人の俺ですら知ってる程に。


つまり……


「そ、それがどうかしたかな☆?」


「……お前も、ワールドエンド・ユニークモンスターの討伐に関わりてぇ手合いか……」


「わぁ~、私と同じ志を持つ同志デッス!」


「お前がそれ喋るとややこしくなるからしばらく黙っててくれ!」


生憎、俺はワールドエンド・ユニークモンスターなんていう奴等に挑むつもりは毛頭ねぇんだよ!


「なっ☆……君達もワールドエンド・ユニークモンスターを倒そ」


「いいや断じて違うぞ!……俺は出来ればこの辺でのんびり楽しみてぇ派だ!」


「……そんな事を言ったら勧誘蹴られマッスよ?」


「この際それでも良いと俺は思ってる!……攻略最前線の四大クランでも勝ててねぇのに、レベル2が2人とレベル30が1人じゃどう頑張っても勝てねぇって!」


「おっと、訂正させて貰うとボク様はメテオ三連星を倒した事でレベルは56まで上がってるんだが☆……」


「それでも無謀だわ!」


……駄目だ……


レベル2が2人にレベル56が1人……


格差がえげつないのは勿論、内2人がワールドエンド・ユニークモンスター討伐に乗り気って……


……ハァ……


「……ま、まあボク様を勧誘してくれたからには渋々ではあるけどパーティーに入ってあげよう☆」


「え、結局入るのか……」


「そして、いつかワールドエンド・ユニークモンスターの討伐に参加させてあげよう☆!」


「それは諦めてくれ!」


……勧誘は成功したが、これで良かったのか?


「諦めろ、か☆……ならボク様を殴った事、あちこちに喧伝してあげよっか☆?」


「ってそれ覚えてたのか!?」


「てっきり忘れたか見てなかったかのどっちかだと思ってマッシた!」


「ボク様、こう見えて人の顔は忘れないのさ☆……後々の禍根になるかと思って口には出さなかったけどね☆?」


……おっと、これは話が変わったな……


これ、下手に放置出来なくなったぞ?


「……グロサリーヌ様、何なりと俺をこき使ってください」


「うわっ……思いっきり下僕になりマッシたね……」


「ハ~ッハッハッハ☆!くるしゅないよ☆!」


……こうして俺達はグロサリーヌを仲間に加え、俺はグロサリーヌの下僕へと成り下がったのだった……


クソが……いつか弱みを握ってやるからな……

ご読了ありがとうございます。


狂人である事とボッチが嫌な事は両立する。


気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。


後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。

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