7.グロサリーヌは自爆する
〘厄災のアルケニカ〙、世界の見た目で誤魔化してますがゲームとしては割と終わってます。
(翌日、源徳 村雨視点)
さて、〘厄災のアルケニカ〙プレイ3日目。
……いやもう、昨日はエグかった。
「よし、ログイン完了。……にしても、マジで昨日グロサリーヌをぶん殴って以降の食事がモヤシ飯になるとは予想だにしてなかったぞ……」
昨日グロサリーヌをぶん殴って以降、世話係を務める縁ことエンムスビが作る食事が全てモヤシ飯になったのだ。
そのクセ、エンムスビ本人は豪勢にステーキを食ってやがったし。
「も~、まだ言ってるんデッスか?……昨日の昼食と夕食、それから今日の朝食がモヤシ飯になった程度で音を上げるなんて余程豪華な暮らしをして来たんデッスね~!」
「いやだって、いくら超絶リアルな風景とはいえゲームのアバターを殴っただけだぞ?……しかも実際の痛みは軽い電気ショック程度だし……」
「おっと、今日の昼夜もモヤシ飯食べたいんデッスか?」
……ハァ……
こりゃ俺が不利だな……
「いや、俺が悪かったよ。……いくら不満があったからって、アバターをぶん殴るべきじゃなかった」
「分かれば良いんデッス!……とはいえ、本人に謝りに行くのは難しいかもしれないデッスね……」
「まあ、出会い頭で理不尽に殴られても気にしない様な狂人だしな……言う程理不尽だったか?」
「……ユニーククエスト受注して初心者エリアを実質立ち入り禁止状態にした割には全く申し訳なさそうにしてマッセんでしたし、議論の余地ありデッスね……」
……つっても、多分俺も冷静な状態で他人がぶん殴ってるの見たら引くだろうし、俺が悪かったって結論で良いとは思うが……
あいつ、まだ挑んでるだろうか?
そう思っていると……
「おい聞いたか、東門の件……」
「ああ聞いてる聞いてる。……あの魔女っ娘プレイヤー、昨日の昼頃から完全に自爆ゾンビ戦法に切り換えたらしいじゃないか」
「しかも、夜通し爆発音が東門付近から聞こえてたらしいぜ?」
「えぇ……徹夜で自爆ゾンビ戦法したのかよ……」
ん?
また他のプレイヤー達が例の件を話してるな。
……聞き耳を立てるには絶好の条件だ。
「おいおい、徹夜に驚くのは今更だぞ?……何せあの魔女っ娘プレイヤー、ユニーククエスト受注してからずっと徹夜で挑んでるんだからな」
「ま、マジかよ……」
「ってか、あの魔女っ娘プレイヤーってもしかしなくてもあいつだろ?……少し前、オンリーワン・ユニークモンスターのクラスターヘッジホッグを倒したとかで有名になった比較的新人のプレイヤー」
「だな。……確か、それでレベル3から一気にレベル30まで上がったって本人が大声で言ってたっけか……」
……何だと?
あいつ、レベル30だったからそれなりにやってるプレイヤーかと思ったら、オンリーワン・ユニークモンスターを倒して一気にレベルが上がっただけの新人だったのかよ……
「……ムラザメさん、あのプレイヤー新人だったんデッスね……」
「らしいな。……大方、そのクラスターヘッジホッグとかいうオンリーワン・ユニークモンスターを倒した成功経験が忘れられなかったってパターンか?」
クラスターヘッジホッグ……
名前から連想するに、クラスター爆弾みてぇな爆発でもすんのか?
……となると、あの自爆魔法はそいつが現れるユニーククエストの報酬ってところか?
「……一応、見に行きマッスか?」
「……見に行くか……」
しばらく待ってりゃ、運営なり高レベルプレイヤーなりが対応すると思ってたが……念のため確認に行ってみるか。
実際、1度はオンリーワン・ユニークモンスターを倒してるらしいし……
「案外、もう倒してたりしマッスかね?」
「いや~、流石に厳しいだろ……」
とはいえ、もう倒してるなんて事はねぇ筈だ。
……そうして、俺達は東門へとワープした。
で、ワープ後……
「ハ~ッハッハッハ☆!……今日こそボク様が君達をぶち転がすための【クラスターボムズ】☆!」
ーキラン……
「ギュイッ」
「ブルモッ」
「カァァッ」
ードッカァァァァァァァァァァァァン!
「うおっ……本当にやってるぞ……」
「しかも遭遇してすぐに自爆しマッシた!」
俺達が東門の外で見たのは、遭遇してすぐのメテオ三連星相手に速攻で自爆を仕掛けた破滅ヶ原☆グロサリーヌの姿だった。
なお、〘厄災のアルケニカ〙においてデスペナルティは装備以外のアイテムロストのみで、能力値の半減なんかは存在しねぇ。
……まあ前提としてこのゲーム、能力値が正常に作用してねぇんだが……
加えて、聞いた話じゃそのアイテムも預けられる場所があるらしく、〘厄災のアルケニカ〙は実質ゾンビ戦法こそ正義なゲームと化している。
とか考えてると……
「ハ~ッハッハッハ☆!……ボク様は帰って来たからの【クラスターボムズ】☆!」
ーキラン……
「ギュ」
「ブル」
「カァ」
ードッカァァァァァァァァァァァァン!
「……本当に自爆するためだけに帰って来たな……」
「しかも、私達の横を通り過ぎた割に全くの無反応デッシたね……」
「こりゃあ完全にメテオ三連星しか見えてねぇんだろうな」
「出来れば関わりたくないデッスね……」
……いや、それはどうだろうな……
確かに狂人だし、昨日の因縁もあるしで出来れば関わりたくねぇタイプではある。
ただなぁ……
「……あいつ、もし味方にさえ出来ればかなり心強そうなんだよな……」
「正気デッスか!?」
「いやそりゃ、昨日ぶん殴った事はちゃんと謝罪するが……あ、また走って来たぞ」
「ハ~ッハッハッハ☆!」
……もう戻って来たよ。
あ、ちなみに初日に来た共同受注に関する通知は未だに有効なので、ここで申請してグロサリーヌと一緒にメテオ三連星に挑む事だって理論上は出来るんだよな……
それやったところで俺達は瞬殺されるだけでやるメリットが皆無なんでやらねぇが。
と、そうこう考えてる間にまたグロサリーヌは自爆を繰り返していた。
それを2人で見ている最中、俺はふとある疑問が浮かんで来た。
「……にしても3日やってて思ったが、全然プレイヤー見かけねぇな?……本当に300万人もやってんのか?」
まだ少しとはいえ、俺もこのゲームをプレイした訳だが。
俺達が会ったプレイヤー、グロサリーヌと噂話をしてた数人だけなんだが?
「勿論居る筈デッスが、大半はとっくにこの街を離れてるんじゃないデッスか?……他には、街の中で店を開いてるプレイヤーも居るとは思いマッスが」
「確かに、ここ初期スポーンの街だしな……しかも初心者エリアがこんな実質立ち入り禁止状態じゃプレイヤーなんて見かける訳もねぇか……」
多分、俺達みてぇに今始めた初心者はどうして良いか分からねぇだろうな……
……うん、そうだと思う。
「……おいグロサリーヌ、そいつ等はお前が責任持ってどうにかしろよ~!」
「頑張れデッス!」
「ハ~ッハッハッハ☆!……名も知らぬプレイヤーがボク様を応援してる【クラスターボムズ】☆!」
ーキラン……
「g」
「b」
「k」
ードッカァァァァァァァァァァァァン!
「……俺も爆発に慣れて来たな……」
「というか、グロサリーヌさんは自分をぶん殴ったのがムラザメさんだって気付いてるんデッスかね?」
俺達はグロサリーヌを適当に応援しつつ、少し離れた場所から戦いの行く末を覗いていた。
そして、数時間後……
「なあなあ、あれいつ終わるんじゃい?」
「知らねぇよ爺さん。……俺っちだってさっき来たばっかだぞ?」
「ははははは……最近はここも閑古鳥が鳴いてたとは思えない盛況ぶりだよ」
「ふん、面白い催しがあるって聞いて来たが結構暇だなァ!……回復居るかァ~?」
「ハ~ッハッハッハ☆!……どうせ死ぬから不要の【クラスターボムズ】☆!」
ーキラン……ドッカァァァァァァァァァァァァン!
……気付けば俺達以外の奴等も見物に来始め、東門の前は見物人でいっぱいになっていた。
と、そんなタイミングで……
ーピロリン♪
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[メテオラビットが討伐されました]
[メテオブルが討伐されました]
[メテオクロウが討伐されました]
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……ん?
「ありゃ、俺に何か通知が来たんだが……」
「多分、1度は遭遇した扱いになってるから通知も来たんデッスかね?……って、討伐されたんデッスか!?」
「い、今の爆発で死んだんだな……」
「……何というか、反応に困る決着デッスね……」
結局、グロサリーヌは最後まで自爆ゾンビ戦法をし続け、それでメテオ三連星を討伐してしまったのだった。
……ってか、グロサリーヌの執念エグかったな……
ご読了ありがとうございます。
多分、主人公達は攻略最前線までは行きません。
気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。
後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。




