6.プレイヤー達は苦戦する
主人公以外のプレイヤー達、その苦難……
(俯瞰視点)
これは、ムラザメ達が四苦八苦してる裏での出来事。
アルケニカ王国、北の外郭……
「ふぅ……此度もまた、僕達は勝てないのか……」
[王正騎士団]の団長であるアーサードは、そう忌々しく呟いていた。
「grrrrrrrrrrr……」
「……僕達には、何が足りないんだ……」
アーサードは更に悔しげに呟き、自身の通知ログを確認する。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
[ワールドエンド・ユニークモンスターと遭遇]
個体名:悪逆の暴君竜 窮奇
種族名:エンシェントドラゴン変異個体
個体数:1匹
レベル:不明
備考:圧倒的な暴力による"支配"。
その厄災の支配を脱しろ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
支配から脱しろと書かれているそのログを見ながら、アーサードは自嘲する様に微笑み、そして……
「ハハッ……この支配を抜け出すなど、僕には不可能だよ……」
「gruaaaaaaaaa!」
ーボォォォォォォォォォォ!
窮奇のブレスに呑まれ、死亡した……
時を同じくしてアルケニカ王国、南の外郭……
「団長!……今回もこちらの攻撃、全く効いておりません!」
「……そうでありますか……」
[機道兵団]の女団長であるミリ・タリー隊長は、部下プレイヤーからの報告に苦虫を噛み潰した様な表情を浮かべた。
ーガシャンガシャンガシャン!
『ギギッ……ピーーー!』
「……幸いなのは、向こうからは殆んど攻撃らしい攻撃が飛んで来ない事だけでありますか……」
ミリ・タリー隊長はそう呟くと、自身の通知ログを遡る。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
[ワールドエンド・ユニークモンスターと遭遇]
個体名:終末複合戦艦 渾沌
種族名:ロストシップ特別機
個体数:1隻?
レベル:不明
備考:数多の"戦争"兵器の集合体。
その厄災との戦争に打ち勝て。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
戦争に打ち勝てと書かれているそのログを見ながら、ミリ・タリー隊長は真っ直ぐ敵を見つめ……
「……やはり、乗り込むしかないでありますか?」
そう、呟いていた……
更に時を同じくしてアルケニカ王国、西の外郭……
「チッ……小生達はいつまで雑魚の群れを相手にしていれば良いのだ!」
[黒塗旅団]の団長であるZENOは、苛立ちながらそう叫んだ。
「「「「「「ア~……」」」」」」
ーカタカタカタ……
「倒しても倒しても無限に湧き続けるゾンビやスケルトンの軍勢……それを小生達がどれだけ潰そうが、本体が現れる気配は欠片もなし!」
ZENOはそう叫びながら、自身の通知ログを睨みつけた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
[ワールドエンド・ユニークモンスターと遭遇]
個体名:蠢く屍の軍勢 檮杌
種族名:リッチ変異個体
個体数:1体
レベル:不明
備考:"死"を冒涜する死霊術師。
その厄災に安らかな死を捧げろ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
安らかな死を捧げろと書かれているそのログを見ながら、ZENOは舌打ちをし……
「チッ……いったい小生はどうすれば良いのだ?」
……ただただ呆然とするしかなかった。
これ等と時を同じくしてアルケニカ王国、東の外郭……
「ご近所さんの皆~、可愛いあたちのために攻撃して欲しいニャ~♪」
「「「「「「イエス、マム!」」」」」」
[猫田森さんファンクラブ]を統制する猫田森さんは、ご近所さん (※猫田森さんのファンネーム) を特攻させていた。
「ブフゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!」
ーむしゃむしゃ……むしゃむしゃ……
「あちゃ~……ご近所さん達じゃ頑張っても餌になるだけかニャ~……でもでも、通知の内容的にこの方向で行くのが得策っぽいんニャよな~」
ご近所さん達が食われてもなお、猫田森さんは通知ログと目の前を見比べながらそう呟いていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
[ワールドエンド・ユニークモンスターと遭遇]
個体名:貪食の大巨獣 饕餮
種族名:ベヒモス変異個体
個体数:1頭
レベル:不明
備考:終わりなき"飢餓"に苦しむ獣。
その厄災の飢えを満たせ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
飢えを満たせと書かれているそのログを見ながら、猫田森さんは眉間に皺を作り……
「う~む……どうも何か大切な事を見落としてる気がするニャね~……うんうん……よし、皆さんは撤退、あたちはもう少し観察しておくニャ~♪」
「「「イエス、マム!」」」
……ファン達に撤退命令を出し、自身は饕餮の観察を続行するのだった……
そして同時刻、〘厄災のアルケニカ〙運営チームが管理している一室にて……
「ハァ~……吾輩は未だにプレイヤーの誰1人としてワールドエンド・ユニークモンスターを1体も片付けられてない事を、心の底から信じられずに居るのだよ」
『いや~、それは無茶ってもんじゃないかヨ~?』
そこでは、霞とラビリーがプレイヤーの攻略進行ペースについて話し合っていた。
「無茶?……馬鹿も休み休み言うのだよ!」
『いや逆ギレするなヨ』
「いやキレもするのだよ!……それこそ今攻略最前線に居るクランのメンバー全員が、オンリーワン・ユニークモンスターの報酬で手に入った装備や魔法なんかを使えれば……」
『……それ現状だヨね?』
「だ~か~ら~、今の彼・彼女等は力を上手く扱えてない上にチョイスを間違えているのだよ!」
ラビリーは霞へと冷ややかな視線を送っていたが、霞は全く気にせず持論を展開していた。
『チョイスを間違えてる、かヨ……』
「そうなのだよ!……支配を脱しろと言われてる相手へ馬鹿正直に挑んだり、戦争で打ち勝てと言われてる相手に様子見の攻撃ばかり飛ばしたり、死を捧げろと言われてる相手の本体へ未だ挑めずに居たり、飢えを満たせと言われてる相手にリスポーンで消滅してしまうプレイヤーを食わせたり……どいつもこいつも攻略方法を間違えてるのだよ!」
『……その理不尽仕様にした本人が何を馬鹿な事言ってるんだヨ!』
「その理不尽を攻略してこその攻略最前線プレイヤーなのだよ!」
もはや、2人の会話は平行線。
理不尽仕様へと抗議をするラビリーと、それでも自分のやり方が正しいと思い込む霞とでは、まさに水と油だった。
『うぅ……電脳空間を貸し与えて貰えると聞いた段階ではアテシも運が良いと思ってたのに……こんなクソゲーの管理任されるとか地獄かヨ!』
「うんうん……吾輩もお前の様な機構が遺跡から出土したと聞いた瞬間は心躍り、それをゲーム開発に組み込む許可をもぎ取った時は歓喜のあまり震えたのだよ!」
『ふっ……本来のアテシは、どっかの世界の神が作って色んな世界に送り込んだ迷宮発生装置の1つだってのに、どうしてこうなったんだヨ……』
「ま、そう落ち込まなくたってこの生活も言ってる間に楽しくなる筈なのだよ」
『そんな訳ないヨ!』
本人曰く特殊な出自のラビリーにとって、今の立場は地獄だった。
……が、それでも真面目にゲームに関する抗議をしている辺り完全に嫌という訳でもなさそうだが。
「……さて、それはそうとここからクリアに持って行けるプレイヤーが現れてくれると思うかい?……吾輩としては居てくれるとありがたいと思っているのだが……難しいかもしれないのだよ」
『もう知らんヨ!』
ゲームの運営チームは、基本的にこんな感じだった。
売れるかどうかも気にせず、ひたすらに自分の理想を詰め込んだ駄目ゲーを大量に生産して来た霞が主導している以上、いつかは限界を迎える。
このゲームの行く末は、もはやラビリーの手に委ねられていた……
ご読了ありがとうございます。
四大クラン、いずれスポットライトを当てます。
気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。
後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。




