67.ハイエナマスクは挑戦する
お久しぶりです。
取り敢えず、これ含め4話だけ更新して別作品の更新へ移ります。
(猫田森さん視点)
う~ん、このバトルロイヤルが始まってどれだけ経ったかな……
「死ねやごらぁ!」
「【獅子奮迅】、そっちが死ぬニャ!」
ーザシュザシュザシュッ!
「ぐへあっ!?」
ーキラン……
……あたちが割り振られたのはDブロックで、ここまで何十……いいや、何百人って規模のプレイヤーに喧嘩を売られていた。
「猫田森さん、援護します!」
「貴女を必ず勝ち残らせてみせますので!」
「[猫田森さんファンクラブ]、ファイトォォォ!」
「保ってくれ、私のアバター!」
あたちの周囲には、あたちのファンであるご近所さんが何十人も居た。
……ほんと、今考えたら結構ややこしいファンネーム付けちゃったよ……
「皆~、あたちのための踏み台になってニャ~♪」
「「「「「「「「イエス、マム!」」」」」」」」
うわぁ……
あたちが言うのも何だけど、どうして皆はそこまであたちに首ったけなの?
普通はもっとこう……違うよね?
「それはそうと猫田森さん、オタク戦士さんが居なくて残念でしたね……」
「ニャニャッ!?……ど、どうしてそこでオタク戦士さんの名前が出るニャ!?」
「いやいや、何でも何も猫田森さんがオタク戦士さんの事を好きなのは周知の事実ですよ?……オタク戦士さん本人は、こういうやり取りも含めてファンサだと思ってそうですが……」
「う、うぅ……そうなんよニャ~……」
オタク戦士さん……
リアル関係なしの純粋なリスナーとしては、初めてのチャンネル登録者……
やり取りする内に、リアルの貴方が気になって……
でも、あたちにはオタク戦士さんのリアルを調べられるだけの推理力も、オタク戦士さんのリアルにガチ凸出来るだけの行動力もない……
いちリスナーへ告白なんてもっての他。
……あたちはいつまでも、オタク戦士さんへ片思いを続けるしかない……
「ハァ……オタク戦士さんは、さっさと猫田森さんへ告れってもんですよ!」
「そうだそうだ~!」
「焦れったいんだよ!」
「……それ、ファンの君達が言っちゃうニャ?」
普通、ファンってのは"推し"に男の影が見えたら幻滅して炎上させるのが大半だよ?
……いやまあ、これは個人的偏見かもだけど……
けど、そこまで外れてもない筈!
「そりゃ彼氏をひた隠しにされてたら炎上必至かもしれませんが、猫田森さんの場合は分かりやすく片思いして悶々とされてますし……」
「つうか、オタク戦士さんもガチ恋勢でしょ?」
「両片思いを見せられるこっちの身にもなって欲しいよ」
「寧ろ、片思いしてる男の影があったから20万人に到達出来てなかったレベル……」
……あ、あはは……
あたち、そんなに分かりやすかった?
……ファンの皆をATM扱いして使い捨てる腹黒ぶりっ子路線でやってるのに、何だか微笑ましく思われちゃってる?
ええ……
「そ、そこまで言われたら恥ずかしいニャ……」
うぅ……
まさか、あの『イエス、マム!』もネタで言ってるだけだったり?
あ~もう、恥ずか死しそ~!
なんて、周囲に分からない様に悶絶してたら……
「ギャハハハ!……おいおい、そこに居るのは猫田森とかいう姫プ配信者じゃねぇガブか~?」
「ニャニャ?……そういうお前は何者ニャ?」
突然、豪快な笑い方をする誰かから馬鹿にされた。
……姫プってのはある意味じゃ間違ってないけど、あの口振りはあたちのプレイヤーとしての実力まで舐めてる感じだ。
「ギャハ?……私のプレイヤーネームはハイエナマスク、最近になって名前を上げて、先日[黒塗旅団]に入った新入りだガブ!」
ースッ……
「ニャニャ?……悪役の女子レスラーみたいな格好してるニャね?」
姿を現したプレイヤーは、まるで悪役を務める女子レスラーみたいな格好の奴だった。
中でも特徴的なのが、ハイエナを連想させるマスクと黒い獣皮のローブ。
これがある事により、彼女はハイエナマスクを名乗るに相応しい、何処に出しても恥ずかしくない悪役女子レスラーみたいな雰囲気を纏っていたのだ。
「ギャハハハ!……そりゃ私の本業は悪役の女子レスラーなんだから当然だガブよ!」
「ふ~ん……で、ZENOのところの新入りごときが何の用だニャ?……まさか、本気であたちが弱いとでも思ってるんかニャ?」
何も知らない初心者ならいざ知らず。
あの[黒塗旅団]へ入ってるぐらいなんだから、最低限の知識は持ち合わせている筈……
つまり、これは全て把握した上での宣戦布告。
……だとしても、舐められた事に変わりはない!
「ギャハハハ……やっぱ姫プしつつも実力は本物ってタイプなんガブね……」
「当然だニャ……で、戦るかニャ?」
「当たり前だガブ!……私だって、たまには圧倒的格上と戦って敵を食らってやるガブ!」
ほう……
向上心は本物か。
……だけど、まだ何か隠してる。
「ほ~ん……他には何を隠してるニャ?」
「へ?……ギャハハハ、やっぱ隠せないガブか!」
「当然だニャ!」
四大クランの一角を率いるリーダーを舐めんな。
この程度、見抜くのは朝飯前だ。
「……なあ、知ってるガブか?」
「何をニャ?」
「ハイエナのメスってさ、股にチ○コみたいな器官が有るらしいガブよ?」
「だからどうしたニャ?」
いきなり何の話だ?
ハイエナの疑陰茎の話は知ってるけど、あれ自体は無用の長物だった筈だ。
いや寧ろ、あそこを通って子供が産まれる分かなり痛くもなるとか聞いた様な聞かなかった様な……
「あ~うん、確かにそれ自体はどうでも良いガブ」
「何なんニャ!?」
「……要は、メスが優位で男性ホルモン多めって話をだなぁ……あ~面倒臭い、さっさと殺るガブ!」
ーバサッ!ザッ!
「本っ当に無駄話だったニャ!」
ーザザッ!
ハイエナマスクは無駄話を切り上げると、すぐにローブを脱ぎ捨て前傾中腰姿勢になって構えた。
対するあたちも四足歩行姿勢になった上で更に体勢を低くし、まるで獲物を狙う肉食獣みたいな姿勢になった。
……それから数秒後、
「死ねガブ、【砕骨噛牙】!」
ーシュン!
「それはこっちの台詞だニャ、【獅子奮迅】!」
ーシュン!
あたちとハイエナマスクは、ほぼ同時に前へと跳んだ。
にしても、クラッシュボーン・バイツ……
名前からして噛み技?
それとも比喩?
……否、もう時間もない。
ハイエナマスクと接触する。
「死ねガブ!」
ーガッ!
「やっぱ噛み技かニャ!」
ハイエナマスクが口を大きく開くのを見て、あたちは回避体勢に入る。
が、相手もそこまで甘くはなかった。
「……ガブゥゥゥ!」
ーガチン!
「うニャ!?」
何と、ハイエナマスクはあたちの少し前で口を閉じた。
……その際、変な音がしたからスキルは不発したと考えて良さそうかな?
でも、どうしてあのタイミングで……
「そ~れ、捕まえたガブ!」
ーガシッ!
「ニャニャニャ!?」
っ!?
マズい、ハイエナマスクの開いた口にばかり注意を向け過ぎて、腕への注意を疎かにした!
……何より、この感じは……
「お客さん、肩キメられた経験はあるガブか?」
ーグググ……ゴキュッ!
「ぶニャッ!?」
こ、これは……
アバターとはいえ、あたちの右肩が一瞬で外されたニャ……
勿論このゲーム内じゃ痛みが軽い電気ショックでしかないとはいえ、これはマズい……
「んじゃ、次は左腕の関節もいただくガブ!」
ーパッ……
「チャンスだニャ!」
ーにゅるん……
「っ!……小癪ガブな!」
あたちはハイエナマスクが手を離した隙を突き、猫特有の柔軟さで拘束から逃れた。
……にしても、肩外しか……
「本当に厄介ニャね……」
ーガコッ!
「うげっ、結構痛いだろうに嵌め直したガブ?」
「このぐらいお茶の子さいさいだニャ!」
忘れてかけてたけど、この娘はレスラーだ。
関節技や寝技、打撃技と何でもあり……
加えて悪役ともなれば、次に何が繰り出されるか予想がつかない……
「ま、精々翻弄されろガブ!」
「……皆は手出ししないで欲しいから、周囲の露払いを頼むニャ!」
これは、あたちが処すべき敵。
……あたちを食らうつもりなら、逆にあたちが食らい返してあげるんだから!
ご読了ありがとうございます。
なお、猫田森さんは未だ本気を出しておりません。
気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。
後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。




