66.オタク戦士は振り返る
う~ん、何か微妙な感じ……
後、投稿時間が自分の中で予定より遅れたけど、どうせ読者の皆さんに対しては不定期なので問題ナシだと良いんですが……
(オタク戦士視点)
「……な、何とか勝てましたぞ……」
ポリゴン片となって消え行くZENO氏を眺めながら、当方はそう呟いておりましたぞ。
……おっと、いつの間にか心の声まで口調と同じになってしまっていた。
「いやはや、本当にギリギリで……当方の残りHPも後僅かってレベルで限界でしたからな……」
これは、本気でギリギリの勝負でした……
実のところ、当方の実力はZENO氏より遥かに下。
今回勝てたのも当方の実力に関する情報を徹底的に隠したのが功を奏しただけであって、恐らく次はもうここまで上手く通用しないでしょう。
……ならば、チャンスは今回の1度だけ。
「ボソッ……"推し"と"ファンの1人"ではなく、対等な対戦相手として猫田森さん氏と向き合えるのも今回だけの可能性が……いえ、まだ猫田森さん氏が勝ち抜けたか分からない以上、この考えを抱くのは早計過ぎましたな……」
この戦場に、猫田森さん氏の姿はなかった。
ならば、他ブロックで彼女が勝ち残り、本戦で当方とぶつかる可能性に賭けるしかない。
その上で、仮にキモがられたとしてもちゃんと伝えなければ。
……彼女へ、当方が抱えるこの想いを!
思い返せば、彼女との出会いはもう6年も前の話になりますかな……
「ふむふむ、なかなか当方が面白いと思える配信者は居ないものですな……」
この時点で既に口調は完成されていた当方 (※当時19歳) は、休日の暇潰しとして動画配信サイトで様々な動画や配信を覗いていました。
……しかし、どれも当方の好みとは言えず……
何処か冷めた気分で、動画や配信の一覧を下へ下へとスクロールしておりました。
と、そんな中での出来事でした。
「ん?……この配信者、俗に言うVtuberという者ですかな?」
既にVtuberが最初の流行りを迎えて数十年……
ここヤマト国においては何度も流行りと廃れを繰り返して来たVtuberという文化でしてが、当方がそれに触れたのは奇しくもこの時が初めてでした。
そして、そのVtuberこそが……
『ニャニャニャ~♪……あたちの初配信に来てくれてありがとうだニャ~♪』
……当時、初配信を行っていた猫田森さん氏でした。
とはいえ、この時点で彼女の配信に表示されていた閲覧人数は当方を除き2人。
更に後々知った事ですが、この2人とは別画面で配信画面をチェックしていた猫田森さん氏本人と、彼女のファン1号であると同時に数年来のリア友でもあったヘビイチゴ氏だったそうです。
……つまり、純粋に配信から入ったファンは当方が初だったという訳でして。
『うニャニャ!?……閲覧人数が1人増えたニャ!』
《猫田森さん殿、良かったでござるな~》
当方が配信を見始めてもなお、彼女はコメ欄に居たヘビイチゴ氏と2人で会話をしておりました。
『ニャ~、ヘビイチゴちゃんが提案したクセに他人事なのはどうかと思うニャよ?』
《猫田森さん殿だって割とノリノリだったでござろ?》
『そ、それは言わないお約束ニャ!』
《まあ、スパチャで豪遊パリピの仲間入りとか言ってたとか普通は知られたくないござるよな~》
『い、言っちゃってるニャ!』
……今にして思えば、この時の猫田森さん氏はまだ純粋な可愛い路線でやって行こうとしてたのやもしれません。
そんなの、自称腹黒ぶりっ子路線?となった現在の彼女からは想像も出来ないでしょうが……
《初めまして、初見ですぞ》
『あ、初見さんいらっしゃいニャ~♪……えっと、オタク戦士さん、ゆっくりしてってニャ~♪』
《ええ、よろしくお願いしますぞ》
『こちらこそよろしくニャ~♪』
この時は、軽いやり取りを交わしただけでしたな。
……しかし配信が終わる頃、当方は何故か猫田森さん氏のチャンネルを登録しておりました。
なお、結局この日は最後までヘビイチゴ氏と当方以外の視聴者が来る事はありませんでしたぞ。
で、それから1ヶ月後……
『ご近所さん達~、おはようだニャ~♪……皆の身近な癒し、猫田森さんだニャ~♪』
《おはようニャ》
《おはようニャ》
《おはようニャ》
《おはようニャ》
……割かし配信の才能があったのか、初配信から1ヶ月が経つ頃には猫田森さん氏も50~60人程度の視聴者を確保出来る様になっていました。
《猫田森殿、おはようでござる》
『あ、ヘビイチゴちゃんだニャ!……あ、初見のご近所さんに言っておくと、ヘビイチゴちゃんはあたちのリア友なんだニャ♪』
《リア友兼ファン1号ってところでござる!》
猫田森さん氏もヘビイチゴ氏は、聞いてる限りだとそこそこ長い付き合いらしかったです。
……けれど、当時の当方はそこまで猫田森さん氏に入れ込んではいませんでした。
《おはようですぞ、猫田森さん氏!》
故に当時の当方は何の気もなく、シンプルな文面ばかりコメントしておりました。
『はニャッ!?……お、オタク戦士さん、きょきょ今日の配信にも来てくれたんだニャ!?』
《うわ、声が半音高くなってら……》
《この猫、そのリスナーのコメント見つけるとだいぶハイになるよな》
《クソ、私も初配信時点で見ていれば……》
《↑今更後悔してももう遅い》
猫田森さん氏も当方がヘビイチゴ氏に次ぐファンだからか、当方のコメントへ割とそれっぽい反応を返してくれる事が多かったですな。
……どうせ十中八九演技だと察しながらも、当方は彼女が少しオーバーに反応してくれるのが嬉しかった記憶がありますぞ。
《ありがたい反応ですな。……演技だと分かっていても、当方は嬉しいですぞ》
『え、演技……そ、そうニャ!……当然、演技に決まってるニャよ!……あ、あたちはたった1人のファンへ執着する様な奴じゃないニャ!……うぅ……』
《無理してて草》
《泣きそうになっててワロタ》
《オタク戦士さんはどこぞの鈍感系主人公か!》
《拙者も演技だと思う気持ちは分かるでござるけど、これは信じて良いと思うでござるよ?》
これだから当方以外のオタクは……
こういう配信業は少しでもファンを"その気"にさせてナンボですぞ?
絶対に演技に決まっています。
《当方は演技でも応援し続けますから、無理してファンサしなくて大丈夫ですぞ》
『……ニャ~……』
《あ~これ、マトモが故にって感じだな……》
《何気ない言葉が、猫田森さんを傷付けた》
《まあ普通は配信者側がリスナーへガチ恋するとか思いもよらないしなぁ……》
《猫田森さん殿、いっつも拙者へオタク戦士の話ばっかりしてるでござるのに……》
……といった風に、当時はこんな感じで身内ノリ満々なやり取りばっかりを繰り返しておりました。
いやまあ、ぶっちゃけ配信のノリは今もそう変わらないのですがね?
で、それから年月は流れ〘厄災のアルケニカ〙がサービス開始した直後……
「ニャニャニャ~♪……それじゃあ皆、昨日の配信で宣伝してた通り今日からあたち達で伝説を作ろうニャ~!」
「「「「「「うおぉぉぉぉぉぉぉ!」」」」」」
6年近く活動した末に登録者数が10万人を越えていた猫田森さん氏もまた、悪い意味で話題になっていた〘厄災のアルケニカ〙のプレイを開始していたのです。
ただ……
「お、貴殿がオタク戦士殿でござるか~」
「そういう貴女はヘビイチゴ氏ですな?」
「ニャニャッ!?……お、おおおおおおおおおおおおオタク戦士さんもここここここここ来られたんニャねねねねねねねね!?」
「……猫田森さん氏は相変わらずですな……もし、その言葉が本当ならばどれだけ良かったか……」
最初にコメ欄で見かけてから変化のないヘビイチゴ氏とは違い、猫田森さん氏のファンサ演技は6年でかなり悪化していましたぞ。
……ですが、代わりに当方もいつしか猫田森さん氏を本気で好ましく思うようになっていて、俗に言うガチ恋勢になっておりました。
叶わぬ恋とは分かりつつも、当方は猫田森さん氏へ好意を抱いてしまっていたのです。
「ほ、本当にこの2人は……拙者の爪の垢を飲ませてやりたいでござるよ……」
「な、何でニャ!」
「どうしてそうなるんですかな?」
この時、ヘビイチゴ氏は意味不明な事を言っておりましたが……この際スルーしますぞ!
「ハァ……とにかく、これから今後のあたち達の方針を説明するニャ!……あたちが参謀というか司令塔、ヘビイチゴちゃんが一番槍、そしておおおオタク戦士さんがチーム全体の盾を担って欲しいニャ!」
「承知でござる!」
「了解しましたぞ!」
……猫田森さん氏は、何を思ったか当方を盾職に任命しました。
ただまあ、猫田森さん氏へ首ったけな当方は何1つ疑問に思いませんでしたがね。
それから当方は、猫田森さん氏のために頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って……身を粉にしてクランの盾として実力を隠しながら活躍を積み上げました。
けれど、愛しの猫田森さん氏とアバター越しに出会えてから日に日に想いは増すばかり……
……だからこそ、本戦でもしも猫田森さん氏とぶつかる事が出来たなら……
「その時は、必ず……」
……当方は猫田森さん氏へ告白し、フッて貰う必要がある。
そんな筋書きと覚悟を胸に、当方は勝ち抜けた予選ブロックの戦場から離れるのでした……
ご読了ありがとうございます。
猫田森さん、ヘビイチゴにどうこう言えないレベルには重いですが、同時にヘビイチゴとは真逆なレベルで奥手だったりします。
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後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。




