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59.キリギエルは報復する

キリギエルって誰?と思ったらこの話をお読みください。

(滅本 黒佐視点)


「キ、キチチ……」


「む☆?」


プレイヤー達の土骨への攻撃が順調に進む中、ボク様はその異変に気が付いた。


……土骨へ有効打を与えるため、敢えて見逃していたヒプシノスキリギリス・リベンジャーが何やら苦しみ出したのだ。


否、違う。


あれは……


ーピロリン♪


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

[ヒプシノスキリギリス・リベンジャーが進化を開始]

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「やっぱり、か☆……」


アレには、まだ成長の余地があると?


本気で言っているのか?


「キ、キチチ……フザケンナ……コロシテ……コロ₩◇※&$€¥……殺してやるキチィィィィィィィ!」


「ふぁっ☆!?……む、虫型モンスターが人語をあんな綺麗に解しただって☆!?」


突如として、ヒプシノスキリギリス・リベンジャーは人語を喋り始めた。


……だけで、終わりじゃなかった。


「殺してやるキチ……あの巨大スケルトンも、あの竜と人間も……絶対に殺してやるキチィィィ!」


ーゴキャッ!ベキバキボキッ!


「に、肉体が変形を始めて……人型になり始めているだって☆!?」


それは、あり得ない光景だった。


どんどんと変形するヒプシノスキリギリス・リベンジャーの肉体。


その姿は完全な虫から、人に近い……いいや、まさしく人そのものな姿へと変わりつつあった。


「キチ……羽虫共よ踊れキチ、全てを滅ぼし尽くすまでぇぇぇぇぇぇぇ!」


ーベキバキボキッ!……ファサッ……


「ふ、服まで出現した☆!?……あれは駄目だ、普通の進化じゃない☆!」


他のプレイヤー達は、土骨に集中して気付いていない!


マズいマズいマズいマズいマズい!


……だってあれ、ただの進化じゃない!


今のヒプシノスキリギリス・リベンジャーは、緑色のシルクハットと紳士服を着た緑髪の少年といった姿になっている……


明らかに、進化ってレベルじゃない!


もはや別物だ!


「滅ぼせ滅ぼせ滅ぼせ滅ぼせ……憎き巨大スケルトンとあの竜使いを滅ぼし、その首を私へ献上しろキチィィィィィィィィィ!」


ーピロリン♪ピロリン♪ピロリン♪


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

[ヒプシノスキリギリス・リベンジャーが進化]

[ワールドエンド・ユニークモンスターが顕現]

個体名:虫害天使 キリギエル

種族名:天使

個体数:1人

レベル:不明

備考:■■■■■に仕える終末天使の1人。

   奏でる音で魔蟲を操り、世界を破滅へ導く。

[該当ユニーククエストの失敗を確認]

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「………………は☆?」


ワールドエンド・ユニークモンスターが顕現?


該当ユニーククエストの失敗を確認?


待て待て待て、情報処理が追い付かない!


取り敢えず、今はヒプシノスキリギリス改めキリギエルだ!


緑髪の少年、緑色のシルクハットと紳士服、背中から生えた大きなキリギリスの羽、シルクハットの上に漂う小さな羽虫で構成された天使の輪……


これが、あのキリギリスだって?


何の冗談だ!


「キチキチキチ……神器よ、私に力を……」


ーシュパッ!


「っ☆!?……ば、バイオリン☆!?」


ああ、今度はキリギエルが虚空からバイオリンを出現させちゃったよ……


……プレイヤー達もさっきの通知で気付いたっぽいし、どうしたものか……


それと、該当ユニーククエストってのは〘危険なアリとキリギリス!〙で良いんだよね?


土骨のユニーククエストは大丈夫だよね!?


「対象は巨大スケルトン……土骨と、竜使い……グロサリーヌだキチ……どうせ竜の方は[召喚書]がロスト出来ない以上は倒せないキチし、今は土骨とグロサリーヌだけで充分だキチ……」


「なっ、そこまで把握しただって☆!?」


本気でマズい!


これはボク様でもふざけてる場合でないと分かる!


……早急に倒さなければ……


「さて、それじゃあ……裁きの時間だキチ……」


ーギィィィィィィィ♪


「あ、バイオリンは下手なんだね☆……って、何か嫌な予か」


「キシャァァァァァ!」


ースパッ!


「んが……へ☆?」


あれ?


ボク様、いつの間に斬られた?


……あ、これが天使の力か……


うん、駄目だこれ……


「まだまだこんなもんじゃ足りないキチが、今回は1回で済ませてやるキチ……けど、今後も定期的に殺してやるキチからな!」


「ハ~ッハッハッハ☆……プレイヤー諸君、このキリギエルという者に逆らっては駄目だ☆!……絶対に死んでしま


ーキラン……


う☆!……って、リスポーンしてしまったか☆」


気付けば、ボク様は[討竜雑技団]の拠点に居た。


……なるほど、ボク様は手を出してはいけない存在を放置してしまったらしい……


「……皆、慎重な判断を期待しているよ☆?」


こうして無様に負けたボク様は、キリギエルの怒りを再燃させないためにも戻る訳にもいかず、結果的に祈る事しか出来なかった……



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

(鋼村 浅斗視点)


「え?……グロサリーヌさんが……やられた?」


いや、それよりもワールドエンド・ユニークモンスターってどういう事だ?


……なんて、考えてる余裕もなさそうだ。


「ガッシャァァァァァ……」


「お前も死ねキチ……いいや、お前は1度しか死ねないんだったキチな……【天罰・大蟲波(だいちゅうは)】に呑まれろキチ!」


ーギィィィィィィィィ~!


「カチカチ……」


ーブブブブブ……


「カッ……カッ……カッ……」


ーカチン……カチン……


「クチュクチュ……」


ーザッ……ザッ……


ーピロリン♪ピロリン♪ピロリン♪ピロリン♪……


それは、一瞬の出来事だった。


キリギエルとやらが【天罰・大蟲波】と唱えた瞬間に大量の虫型モンスターが現れ、通知が鳴り止まなくなったんだ。


現れた虫型モンスターも蜂やら蠍やらタランチュラやらゴキ……やらと、なかなかなラインナップだったし。


とはいえ、これは潮時かな?


「総員退避!……後は、僕に任せてくれ!」


「っ!?……わ、分かりましたわ!」


「ふん、自分だけ良いとこ取りか?……まあ、小生は従ってやるが……」


「ニャ……これは想定外も良いところだニャ!」


皆には悪いけど、ここからはもう僕達に出来る事は殆んどない。


だって……


「ガ……ガッシャァァァァァン!?」


ーぞろぞろぞろ……


こうしている間に、土骨は虫型モンスターの濁流に全身を呑み込まれていたからだ。


……本当に一瞬で呑み込まれ、これまた一瞬で全身を(かじ)られ始めた。


相手がワールドエンド・ユニークモンスターなら、もう長くないだろう。


ならば、せめて……


「[聖剣カリバール]拘束術式全解放……哀れな戦士達にせめてもの介錯を、【聖なる剣は闇を祓う(カリバール・ネメシス)】!」


ーピカ~ン……キラキラキラ……


……せめて、虫なんかより少しだけ救いのある結末を与えるしかないだろう。


「ガ……ガッシャァァァァァ……」


「「「「「カチカチカチ……」」」」」


ーガジガジ……ガジガジ……ガジガジ……


恐らくキリギエルによって超絶強化が施されたらしい虫達に囓られ、土骨は苦しみの声を上げていた。


恐らく、捕食による再生が間に合っていないのだろう。


……うん、今楽にしてあげるよ。


「戦士達に、安らかな眠りを……」


ーブゥゥゥゥンッ!……スパッ!……キラキラ……


僕は光になって伸びた[聖剣カリバール]の剣で、虫型モンスターに呑み込まれた土骨を唐竹割りで左右真っ二つにする様に斬った。


そしたら[聖剣カリバール]の効果なのか土骨は光の粒子となり、やがて天へと昇って消滅した。


ーピロリン♪


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

[巨骸将軍 土骨を討伐しました]

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


そうして、土骨討伐を証明する様にアナウンスも流れた。


……で、後に残った虫達はと言えば……


「キチチ……これで報復は終わりだキチが、私の主はこの世界を破滅へ導く事をお望みらしいキチ……なれば、私は大厄災(・・・)の意志に沿うのみキチ……」


「なっ!?……待て、大厄災って何の……」


「ま、今回それはそれとしてさらばだキチ……」


ーヒュ~……フッ……


「……に、逃げられた?」


……それにしても、凄い相手だった。


まさか、あの一瞬。


ほんの僅かな時間で、土骨のHPを[聖剣カリバール]一撃で倒せてしまう程にまで減らしていたなんて……


「全く、とんでもなく厄介な者を目覚めさせてくれたでありんすな~?」


「あはは、そういった文句はムラザメさんにお願いして欲し……って、君達は誰かな?」


キリギエルが去ったと思えば、今度は何やら霊魂らしきものが現れたんだけど!?


……うん、もう面倒事は来ないで欲しいかな?


「わちき等は七怨将……完っ全に出るタイミングをミスった敵幹部枠でありんすよ」


「ハァ……自覚があるなら、後日にして欲しかったかな……」


天使の後だと、七怨将も格落ち感が否めないかな……


そんな事を現実逃避として考えながら、僕……もとい僕達プレイヤーは七怨将に向き合う事になったのだった……

ご読了ありがとうございます。


七怨将、本来の想定では土骨の残りHPがミリになった辺りで助けに入るつもりでしたが、キリギエルの覚醒なんかもあって機会を失いました。


気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。


後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。

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