56.土骨は乱入する
ほんと、他自作のアイデアが湧いて欲しいんですがね……
(俯瞰視点)
これは、とあるキリギリスがかつて体験した記憶……
「キチ……キチ……」
ーギィィィッチョン……ギィィィッチョン……
当時、其は何処にでも居る様な普通のキリギリスに過ぎなかった。
何も特別な点などなく、他のキリギリス同様に虫としての一生を生きる……ただそれだけの存在でしかない筈だったのだ。
が、そんなキリギリスに目を付けた存在が居た。
『ピポパポ……当機が大厄災として降臨するための演奏者の候補を発見ピポ……至急、力を与えるピポパポ……』
ーファン♪
「キチ?」
その存在が何だったか、キリギリスは理解すら出来なかった。
しかし、そんなキリギリスでも自身がモンスター化し、他の虫型モンスターを操る能力を得たという事実だけは認知出来た。
『ピポパ……所詮はキリギリス、この程度しか強化しないとは拍子抜けピポ……』
「キチ?」
ーギィィィッチョン!
『こんなのが当機……"黙示録の歌姫 アルケニカ"を出迎える演奏者に相応しいとは言えないピポ……ああ、探し直しピポ……』
ーフッ……
キリギリスは最後まで、その存在が何か理解する事は叶わなかった。
……そして、その存在をプレイヤー達が知るのもまた、かなり先の話である……
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(源徳 村雨視点)
土骨が洞穴の壁を突き破って来たのを見た俺達は、未だに影奇の中から外の様子を眺めていた。
んで、肝心の外がどうなってるかって言えば……
「ガッシャァァァァァァァァァァァァァァン!」
ーガシッ!……パクッ!パクッ!
「「「カチカチ!?」」」
「キ、キチチ……」
ーギィィィッチョンチョン!チョンギィィィ!
……土骨は辺り一面で蠢くキラーアントの大群を軽く掴み取ると、貪る様に口の中へ運び続けたのだ。
って、よく見りゃ土骨の全身には結構な損傷が目立ってやがるし、また何処かでプレイヤーと遭遇でもして手痛くやられたってところか?
……って、よくよく考えたら今の状態が続くとマズくねぇか?
「なぁ、グロサリーヌ?」
「ハ~ッハッハッハ☆!……どうしたんだい☆?」
「このまま土骨がここで暴れたとすれば、この洞穴はどうなるだろうな?」
「……うん、マズいね☆……」
ただでさえグロサリーヌのせいで崩落が起きてるんだ。
土骨が壁を突き破ったのも考えれば、いつ2度目の崩落が起きたっておかしくはねぇ!
ただなぁ……
「ふぅ……グロサリーヌ、恐悦と一緒にしばらく蟻共とキリギリス……ついでに土骨の陽動を頼む」
「ああ☆……発信器、だね☆?」
「最低限の仕事はしねぇとだしな。……ま、影奇が居るんだし余裕だろ」
「ん……某を買い被り過ぎでございますよ」
……土骨へ発信器を付けるという目的のためにも、ここは退けねぇ。
え、キリギリスの討伐?
そんなのは後回しだ!
「じゃあ、いっせ~の~でで行くぞ?」
「異論はないよ☆」
「ん……同じくでございます」
さて、準備は整った。
……行くか。
「んじゃ、いっせ~の~で!」
「ん……隠密解除でございます!」
ーバサッ!
「ハ~ッハッハッハ☆!……爆笑せよ、【召喚・道化竜】☆!」
ーファ~ン♪……ポンッ!
「ピ~ッチャチャチャ!」
影奇は俺達を外へと解放し、直後にグロサリーヌは恐悦を呼び出してその背に乗った。
「さあさあ、派手に暴れ散らかすとしようか☆!」
「ピ~ッチャチャチャ!」
「よしよし、そうだ☆……爆弾投下からの【クラスターボムズ】で爆撃と洒落込むよ☆!」
ーバサッ!バサッ!……ポイポイポイッ!
「うげっ……もう始めやがった!」
「ん……主様、早く乗るでございます!」
グロサリーヌは早速爆撃を開始し、俺も爆弾が地面へ着弾する前に影奇の背に乗った。
すると……
ーヒュンッ!
「あえっ……」
ードカドカドッカァァァァァァァァァァァァン!
「「「「「カチカチィィィ!?」」」」」
「キチチ!?」
「ガッシャァァァァァァァァァァァァァン!?」
敵味方問わず落とされる、グロサリーヌのクラスター爆撃。
……結果、この洞穴は超高速の影奇に乗っている俺ですら爆風に煽られて微ダメージを負うレベルの魔境と化していた。
なんて、冷静に現状を分析してる場合でもねぇ!
早く発信器を付けねぇと、すぐに洞穴が崩落してこのチャンスを逃がしちまう!
「ん……主様、口を閉じてないと舌噛むでございますよ!」
「ん~んんん~!」
「ん……何言ってるか分からないでございます」
あーもう、この際何だって良い!
さっさと行ってくれ!
「ガッシャァァァァァァァァァァァン!」
ーカタカタカタ……ギュイン!
「ん……回避でございます!」
「んんっ!?」
ースカッ……ドォォォォォォォォォォォォン!
土骨の光線を、影奇は紙一重で避ける。
一応、影奇が背中に乗ってる俺に考慮して全速力を出してねぇとはいえ結構ギリギリだな。
つうか、こんなん当たったら絶対に死ぬよなぁ……
ま、影奇に攻撃なんか当てれる訳ないだろうけど!
とか思ってる内に……
「ん……土骨に最接近したでございます!」
「んんっ!」
「ガッ……」
よし、とうとう土骨から目と鼻の先って距離まで来れたぞ!
となれば、やる事は1つだけ。
「ほい、発信器を肋骨にポイだ!」
ーポイッ!……ウィ~ン……ガシッ!
「シャァァァァァァァァァァァ……ン?」
俺は一瞬の間に発信器を土骨の肋骨へと投げ、肋骨の内の1本にぶち当てた。
そしたら、発信器から何やら固定具の様な物が展開され、見事なまでに肋骨へと固定されたのだった。
……と、そんな時だった。
ーグラグラグラ……ゴロゴロゴロ……
「む☆?……ムラザメ君☆!」
「チッ、潮時か……そんじゃ土骨、また次に会う時を楽しみにしてな!」
再び洞穴が揺れ始めたのを察知した俺とグロサリーヌは、そろそろ撤退すべきだと考えていた。
……んだが、
「ガッシャァァァァァァァァァァァン!」
ードシィィィィィン!……グラグラグラ……
「うげっ、最後の最後に腕なんか叩き付けんな!」
俺とグロサリーヌは撤退を開始しようとしたまさにその瞬間、土骨が思いっきり両腕を地面に叩き付けやがった。
で、案の定……
ーグラグラグラ!……ゴロゴロゴロ!
「ムラザメ君、崩落が始まったぞ☆!」
「見りゃ分かるわ!……影奇、落ちて来た時の穴を登って行くぞ!」
「ん……了解でございます!」
再び始まった崩落を前に、俺とグロサリーヌは落ちて来た時の穴を登って行く方法での脱出を画策した。
当然、後ろに居る土骨やキラーアントwithヒプシノスキリギリスは放置した上での決断だ。
「土骨はどうせ生き残るが、キリギリスは生きるか死ぬか分からんな……ま、死んでてくれるとありがてぇ!」
「キチチ!?」
ーギィィィッチョン!ギィチョンギィチョン!
「ガッシャァァァァァ……」
「じゃ、一旦おさらばだ!」
ードドドドドドドドドドド!
結局、俺達が穴を登るのと同時に、洞穴は土砂や岩石によって埋められた。
というか、俺達が登った穴も土砂や岩石が落ちて来たとのの、それぞれ恐悦と影奇が何とか避け続けてくれたお陰で脱出出来たって感じだった。
てな訳で、脱出してから数分後……
「……って感じだから、土骨の追跡は頼んだ!」
『えぇ……ムラザメさん、本当に運が良いんだか悪いんだか分からないね……』
「うるせぇ!……アーサードさん、クエスト共同受注の件もあるから俺達も行くが、本当に倒せるんだろうな?」
『確証はない……けど、やれるだけの事はやってみるさ』
俺はアーサードさんへ土骨との遭遇やら発信器を付けた事やらを報告し、共に土骨へ挑戦する事も約束した。
さ~て、後はどうなる事やら……
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(俯瞰視点)
ムラザメがアーサードと通信で会話していた、丁度その頃……
「キ……キチチ……」
ヒプシノスキリギリスは崩落した洞穴で1匹、何とか生き延びていた。
ただし安住の地は崩れ、見える範囲に居た下僕達はほぼ全滅……
もはや、先があるとは言えない有り様であった。
「キ……キチチ……キチチィィィィィィィィィ!」
故にヒプシノスキリギリスは怒り心頭で、この洞穴を壊した犯人とも言える土骨とグロサリーヌへの殺意を燃やしていたのだ……
「キチキィィィチ!」
ーチョンギィッチョンチョンギィィィッチョン!
グロサリーヌは早々に脱出し、土骨もいつの間にか居なくなっていた。
しかし、ヒプシノスキリギリスはこの程度の逆境で復讐を諦めない。
……そもそも戦力となる下僕が居なくなったのなら、また新たに増やせば良い。
「キチチ!」
ーチョンギィィィッチョン!
そうして、ヒプシノスキリギリスはしばらく前翅を鳴らし続けた。
……失った戦力を、早急に取り戻すべく……
ご読了ありがとうございます。
キリギリスはまだ折れません。
気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。
後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。




