54.グロサリーヌは物申す
先週は更新しませんでしたが、今日は書き貯めた分をわんさか更新します。
(源徳 村雨視点)
グロサリーヌこと黒佐とヤる事ヤってから……まあそれなりに経過した翌朝の10時頃、俺と黒佐はゲームにログインしてクランの拠点に居た。
のだが……
「ハ~ッハッハッハ☆!……ムラザメ君、今日も今日とて良い男だね~☆♥️!……このこの~☆♥️」
「ほ、褒めても何も出ねぇからな?」
黒佐改めグロサリーヌはあからさまに俺とイチャイチャするために密着しており、何か俺達2人の関係が変わる出来事が起きたのは周囲から丸分かりな状態だった。
現に……
「あァ?……グロサリーヌ、何か変な物でも拾い食いしやがったかァ?」
「それとも、ムラザメはんに言う事言ったん?」
……乱打羽さんと賽子丁子さんからはその変わり様を不審に思われており、もう誤魔化すのも面倒な状況と化していた。
「ハ~ッハッハッハ☆♥️!……そうだ、心機一転して装備を新調するのも良いな~☆♥️」
「駄目だなァ……典型的な色ボケで聞こえちゃいねェ」
「ほんま、何があったんやろな~……」
乱打羽さんも賽子丁子さんもグロサリーヌの変化は気にはなってるみてぇだが、深掘りするのも面倒なのかそれ以上聞いて来る事はなかった。
いや、ありがてぇけど複雑な気分だな……
一応、2人も源徳一族からは花嫁候補として見られてるっぽいけど、こりゃどうなるか……
「はいはい、雑談はその辺でお願いしマッス!」
「あ、エンムスビ……」
「……テメェは気にしてねぇって面だなァ」
「エンムスビはん、見れば見る程に怪しいんよな~」
あ、エンムスビがあまりにも動じなさ過ぎて疑われてやがる。
……ま、俺が助け船を出す必要もねぇか。
「ハァ……そりゃグロサリーヌさんの言動をいちいち気にしてたらキリがないデッスからね……マトモな事だって時々言うとはいえ、大半は聞くに値しマッセんよ」
「……それもそうかァ」
「言われてみれば一利あるかもしれへんな~」
ほら見ろ、自分で上手く誤魔化した。
……けど、誤魔化すだけじゃ駄目な気がするのは俺だけか。
なんて思っていたのも束の間。
「ハ~ッハッハッハ☆♥️!……ではムラザメ君、早速で悪いが例のユニーククエストを今すぐにでも挑戦しに行こうじゃないか☆♥️!」
ーガシッ!
「はへ?……おい、ちょっと待」
「問答無用☆♥️!」
ーぐいっ!
「てぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
俺はグロサリーヌに引き摺られる形で、半ば強制的に例のユニーククエストへ挑戦しに行く事になった。
……ただ、こういうのも慣れたもんだよ……
んで、十数分後……
「ふむ、ここがオンリーワン・ユニークモンスターが居るとされる場所……[キラーアントの巣]か☆……」
「……でっかい蟻の巣だな……」
俺とグロサリーヌは、大きな蟻の巣の前に居た。
ちなみに、キラーアントは俺も直で会った事はないものの情報としては知っている。
一言で言うなら、前世の世界に有った某地球を防衛する軍隊のゲームに登場する蟻型生物みたいなモンスターだ。
……となると、虫嫌いには厳しい相手だろうな……
そう呑気に考えていると……
「時にムラザメ君、〘アリとキリギリス〙という童話は知ってるかい☆?」
「ん?……ああ、知ってるが……」
俺としちゃ初めて知った時は驚いたもんだが、そういった童話はこっちの世界にもそっくりそのまま存在してやがる。
……どうなってんのかは知らねぇが、俺が考えたところで答えは出ねぇだろう。
「ボク様はねぇ、昔から〘アリとキリギリス〙という童話に言いたい事があったんだ☆……蟻は、どうして音楽というキリギリスの芸術を否定したんだ☆?」
「そりゃ、働かずに怠けてたからだろ?」
「つまり、死んだ目で働く事が正しいのかい☆?」
「そうは言ってねぇよ。……ただまあ、最終的にキリギリスは蟻に助けを求めたのがなぁ……芸術に命を懸けるならともかく、結局キリギリスは未来が見えてなかっただけだし……」
俺だって、明らかにせっせと働いた蟻の方が正しいってのは分かるぞ。
……蟄居のせいで働けてないが。
「そう、そこなんだよ☆……キリギリスは先も見ずに芸術を楽しんで後悔したし、蟻は先を見て冬までせっせと働き続けた☆……ボク様としても思うところはあるけど、一般的に正しいのは蟻の方だ☆」
「じゃあ、どうしてそうも不機嫌そうなんだ」
「……ボク様としては、キリギリスが最後まで後悔せずに生き様を貫く姿を見たかったんだ☆……音楽を奏でる快楽に溺れ、冬になろうと死ぬまで音楽を奏で続ける狂気の演奏家☆……ボク様が〘アリとキリギリス〙に求めたのは、そんなラストだったのに☆……」
「いや怖っ……俺は嫌だぞ、そんな何の教訓も得られそうにねぇ〘アリとキリギリス〙……」
いくら童話ってのが原典まで遡ると狂気的な作品がわんさか有る怖いものとはいえ、だ……
〘アリとキリギリス〙でキリギリスが最後まで狂気的に演奏し続けるとか、ある意味では幸福そうで絶対に蟻側が正しいと言えなくなっちまうだろ……
「ふむふむ、普通はそう思うか☆……まあちょっとした雑談はこのぐらいにして、早く行こうじゃないか☆」
「話の切り換えが早過ぎて怖いんだが?……本当は怒ってたりするか?」
「ハ~ッハッハッハ☆……ムラザメ君、ボク様の器はそこまで小さくないよ☆!」
「な、なら良いんだが……」
……つっても、グロサリーヌの言い分も言いたい事自体は分かるんだよな……
結局、キリギリスはどうするべきだったのか。
この問いは、俺が一生答えを出せない類いの難問だろう。
実際、キリギリスみたく未来も見ずに目先の快楽だけを優先して過ごすのも、蟻みたく一心不乱に冬まで働き続けるのも、本人が良いなら別にそこまで悪い事じゃない。
〘アリとキリギリス〙でキリギリスが失敗した扱いをされるのだって、キリギリスが冬を舐め腐ってて最終的に蟻へ助けを求めたからでしかない。
そういう観点で見ると、キリギリスは最後まで貫き通せば良かったというグロサリーヌの言い分も分かっちまうんだよな……
「ハ~ッハッハッハ☆!……ムラザメ君、立ち止まってたら無理矢理にでも引き摺って行くよ☆!」
「おう、悪ぃ悪ぃ……」
……あ、そろそろ行かねぇとな。
んじゃ、童話の話を考えるのは辞めて、さっさと蟻の巣攻略しますか!
……なんて、意気込んだまでは良かったんだが……
「「「「「カチ……カチカチカチ!」」」」」
ーピロリン♪
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[モンスターと遭遇]
種族名:キラーアント
個体数:女王個体が存命な限り∞
レベル:50
備考:巨大な体を持つ蟻。
集団で獲物を狩り、巣で保存する。
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「ハ~ッハッハッハ☆!」
「そりゃ巣の中にはうじゃうじゃ居るよなぁ!」
キラーアントの巣へ入って数分後には、立派なモンスタートレインが完成していた。
なお、当然ではあるがこのトレインを構成するモンスターはキラーアントのみである。
「ん……主様、某に任せて欲しいでございます!」
「よっしゃ影奇頼んだ!……ぶっちゃけグロサリーヌが使い物にならねぇ以上、お前だけが頼りだ!」
そう。
ここまで考えねぇ様にしてたんだが、地中にあるキラーアントの巣ではグロサリーヌは使い物にならねぇ!
何せ、お得意の爆発をこんなところで起こそうもんなら、巣が崩落して生き埋めまっしぐらになるのは目に見えてるからだ。
……それでも来たからには何か秘策があるのかと思っていたが、グロサリーヌにそんなものを期待した俺が馬鹿だった。
「ん……【鞭腕】&【鎌手】でございます!」
ーブンッ!スパパパパッ!
「「「「「カチ……」」」」」
ードサドサドササッ!
影奇は手を鎌に変えると、腕を伸ばして一気にキラーアントを斬り捨てた。
……が、この程度で終わる筈もなく……
「「「「「カチカチ!」」」」」
「ん……後続が来た様でございます……」
「チッ!……キリがねぇから逃げるぞ!」
通知の説明文が本当であれば、女王個体を倒さねぇ限りは無限湧きの筈だ。
……そんなんいちいち相手にしてられねぇため、俺達は奥へ奥へ逃げる事になった。
当たり前だが、迫るキラーアントの数が増えるのを分かった上でだ。
「ハ~ッハッハッハ☆!」
「ハァ……結局こうなるのかよ!」
殺されてリスポーンしなきゃ良いんだがな。
そんな事を考えながら、俺はグロサリーヌや影奇と共に爆走するのだった……
ご読了ありがとうございます。
ちなみにグロサリーヌは死ぬまで演奏しようとする側です。
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後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。




