53.黒佐は出会う
第7章、これで土骨決着まで行けるか否か……
(源徳 村雨視点)
それは、グロサリーヌと2人っきりでユニーククエストを片付ける約束をした日の真夜中に起きた。
ーピンポ~ン♪
「ん?」
俺が気持ち良く寝ていると、インターホンの呼び鈴が鳴ったのだ。
眠りが浅かったのか、俺もその音で目覚めちまった。
「……こんな所に来る奴が居るとも思えねぇし、一応行ってみるか……」
ここは俺が蟄居している場所だ。
当然、一般人が偶然立ち寄る様な場所じゃねぇ。
……となると、身内か?
「ま、行くか……」
ふと嫌な予感を感じながらも、俺はインターホンの画面を見るために部屋を出る事にした……
そして、リビングに到着すると……
「あ、坊っちゃん……」
「縁か……で、その人は誰だ?」
……どうやら先に来ていたらしい縁が、既に来訪者の応対をしていた。
当の来訪者はというと、黒スーツにサングラスといった組み合わせの若そうな女性だった。
「あ、この方はデッスね……」
「自分、源徳、陽炎、貴方、村雨、既知」
「……何だって?」
「陽炎様、話がややこしくなるんでしばらく黙ってて貰えマッセんか!?」
「自分、残念、謝罪」
……うん、こりゃ変人だ。
誰が何と言おうと変人、下手に関わるのは完全に悪手ってタイプの奴だ。
「ああ、その顔は坊っちゃんも陽炎様を変人認定しマッシたね……」
「いや、普通はするだろ……」
「気持ちは痛い程に分かりマッスが、どうか抑えてくれマッセんか?……この人は源徳 陽炎という御方で、源徳一族の一員でありながら源徳一族直轄の暗部を纏め上げるポストに居られる凄い人物なんデッス!」
「げ、源徳 陽炎か……んで、そんな源徳一族直轄の暗部を纏め上げてる奴が、いったい俺に何の用があって来たんだ?」
基本的に源徳一族で表社会に出れないのは俺みてぇな無能ばかりではあるものの、たまに陽炎さんみたく汚れ仕事の才能があって暗部に入る奴が居ると噂じゃ聞いてたが……
本人をこうして見れるとはな。
「自分、運搬、村雨、花嫁」
「………は?」
「花嫁、拘束、玄関先、放置」
「ちょっ……何してんだよ!?」
何言ってるかはいまいち分からなかったが、要は俺の花嫁を拘束して玄関先に放置してるって事だろ!?
……今すぐ中に入れてやれよ!
「あ~……陽炎様、入れても良いデッスよ?」
「承知、花嫁、搬入」
「「「「「はいっ!」」」」」
「っ!?」
陽炎が外へ向かって指示を出すと、多くの黒スーツ姿の奴等が何かを運び入れて来た。
……って、これよく見なくても両手両足をロープで縛られた女性じゃねぇか!
オマケに猿轡とアイマスクまでされてるし……
「む~☆!」
「あ~もう、女はもう少し丁寧に扱ってやれよ……ったく、今その拘束を解いてやるからな!」
俺は取り敢えず、顔のアイマスクと猿轡を外してやる事にした。
すると……
ーカチャッ……
「ぷはっ☆!……全くもう、酷い目に遭って身体中がバッキバキだよ☆……おや、君は☆……」
「ん?……何か、この声聞き覚えあんな……」
猿轡を外した事で聞こえて来た声は、どうにも聞き覚えのある声だった。
「ああ、ボク様も君の声に聞き覚えがある☆……君はもしかしなくてもムラザメ君だね☆♥️!?」
「……やっぱり、グロサリーヌか……」
確かにグロサリーヌも俺の花嫁候補の1人だって聞いちゃいたが……
マジで誘拐して来る馬鹿が居るか!?
「ついで、花嫁、荷物、搬入、玄関、困難な物、ガレージから、搬入」
「「「「「はいっ!」」」」」
「えぇ……」
……念のため言っておくと、この蟄居用の別荘はちょっとした豪邸かってぐらいクソ広かったりする。
なので、俺も縁も全部の部屋を有効活用出来てる訳じゃないとはいえ、だ……
まさかガレージからグロサリーヌの荷物を搬入しようとするとか、いったい何を持って来たんだよ!
「む、ムラザメ君が目の前に☆……り、リアルの名前は何というんだい☆?」
「名前?……源徳 村雨だ」
「源徳☆!?……む、ムラザメ君……否、村雨君は源徳一族の一員だったのかい☆!?」
「源徳一族つったって落ちこぼれの無能だがな」
そうだよな……
普通は源徳一族って聞いたら凄いって思うよな……
「落ちこぼれの無能☆?……となると、君は☆……」
「そ、絶賛蟄居生活中だ。……ただまあ、種馬としてはとんでもなく優秀な遺伝子を持ってるとかで豪華な生活を送れてるけどな」
「な、なるほど☆……だから豪邸住みなのか☆」
「これで豪邸だったら、源徳一族の本家なんてもっとエグいぞ?」
「すぅ☆……それは本当かい☆?」
グロサリーヌって狂人な割に、こういうところでは一般的な感覚なんだよな……
だからこそ、こいつとは距離感が掴みづらいんだが。
「本当かいって……テレビ見てりゃ分かるだろ?」
「その辺のニュースには興味がなくてね☆……そんな事より、だ☆……ボク様が連れて来られた理由は君の花嫁って認識で大丈夫かい☆?」
「そうか、拘束中も耳栓はされてなかったから聞こえてた訳だな?」
何というか、最悪なタイミングでグロサリーヌを寄越して来たな……
……だってほら、グロサリーヌの目が完全に獲物を狙う肉食獣のそれだぞ!
「ハ~ッハッハッハ☆♥️!……ボク様の本名は滅本 黒佐☆♥️!……わざわざ誘拐までしたんだから、そういう事をするんだよね☆♥️?」
「え?……それは、そのだな……」
言わんこっちゃない。
俺だって、何でかは知らんがグロサリーヌから好かれてるのは自覚してたからな……
よし、こうなったら元凶の陽炎さん達に助けを……
「現状、自分達、お邪魔、早速、帰宅」
「「「「「はいっ!」」」」」
ータッタッタ……バタン!
「あ、あいつ等やる事やって逃げやがった!?」
……陽炎さん達は、グロサリーヌ改め黒佐がヤるのにノリノリだと察して帰りやがった!
しかし、ここにはまだ縁が……
「ふぁ~……それじゃあ坊っちゃん、私は眠いんで先におやすみしマッスね」
ートコトコトコ……
「って、逃げてんじゃねぇぇぇぇぇぇぇ!」
……縁にも逃げられた。
うん、これは俺も逃げるが勝ちで……
「おっと、村雨君は逃がさないよ☆♥️?」
ーガシッ!
「あっ……黒佐、頼むから今日は寝かせ……」
「い~や☆♥️!……本気で嫌なら、心の底からボク様を拒絶したまえ☆♥️……そしたら、ボク様も大人しく諦めてあげるからさ☆♥️?」
「……その言い方、本当にズルいな……」
結局、何だかんだ言って俺も黒佐……グロサリーヌに絆されていた。
今更、拒絶なんて出来ねぇ程には……
「ハ~ッハッハッハ☆♥️……ささ、ボク様達の夜はこれからだよ☆♥️!」
「……うん、美味しくいただいてくれ……」
こうして、俺はグロサリーヌ改め黒佐に美味しくいただかれる事になった。
なお、これは翌日の朝に縁から言われた事なのだが……
「……お二人とも、ヤるならヤるで静かに出来ないんデッスか?……私の部屋まで聞こえてマッシたよ?……いやマジで……」
……うん、今後は黒佐とヤる時に気を付けねぇとなぁ……
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(村雨と黒佐がヤり始めた直後、俯瞰視点)
「村雨、花嫁、交尾、開始」
村雨が蟄居している別荘の前にて、陽炎はそう呟いて黒塗り車に乗った。
なお、部下が大人数だったため何台かに分かれての乗車である。
まあ、それはさておき……
ーリンリンリン♪
「おや?……霞姉様、電話?」
……陽炎へ、実姉である霞から通話が入ったのだ。
ーピッ!
「霞姉様、自分、何の用で?」
『ハァ……本題に移る前に忠告するのだが、本当に陽炎は言葉を省き過ぎなのだよ』
「会話、通用、支障無し」
『……これは真面目に話すだけ無駄なのだよ……』
霞は陽炎の話し方へ文句を言ったが、最終的には呆れて改善を諦めていた。
「ところで、霞姉様、本題」
『本題?……別に、吾輩はただ妹の声を聞きたかっただけなのだよ……』
「嘘、霞姉様、薄情者」
『うっ……実は最近、ビジネスパートナーは辞職するし部下からは反逆されるしで、どんどん吾輩から仲間が減ってる気がしてたのだよ……だから……』
霞の悩みは自業自得であったが、それを抜きにしても真剣なものではあった。
「通話料、無駄、切断」
『えっ、ちょっと待つのだよ!……吾輩はま』
ーブツッ!……ツ~ツ~ツ~……
「聞く意味、無し、霞姉様、ブロック」
……のだが、陽炎にしてみればその話を聞く義理なんてないに等しく、霞の電話番号はブロック対象にされてしまった。
「……陽炎様?」
「時間、無駄、仕事、継続」
「は、はい!」
そのまま、陽炎は自身の仕事を続けた。
村雨と花嫁の動向も、霞からの電話も、淡々と脳内で切り捨てた上で……
ご読了ありがとうございます。
実のところ、霞&陽炎姉妹と村雨は一応再従姉弟の間柄 (※初出) になるんですが、ハーレム法により一族の人数が多過ぎてお互い知らない親戚状態です。
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後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。




