49.ムラザメは対土骨同盟へ参加する
なお、土骨は地上での動作は遅いものの、地中を掘り進めるスピードはかなり速いです。
(源徳 村雨視点)
俺とグロサリーヌが土骨と遭遇してから、早くも5日が経過した。
その間、土骨はアルケニカ王国の全土に現れてはプレイヤーを蹂躙するを繰り返していた。
その結果……
『……やあ皆、今日もリモート会議に参加してくれて感謝するよ』
『ふん、小生達で話すこの会議も5日ぶりか……前回は何1つ決まらなかったからな……』
『けど、今回は新顔も居るみたいニャし何かしらは決まりそうだニャ!』
『……べらぼうめぇ、どうしておいらまで……』
『ふぉっふぉっふぉっ♪……そりゃ初めて土骨と遭遇した臨時クランのリーダーが玉屋坊に決まったんじゃから当然じゃろうて♪』
「……お~い、俺も居るの忘れてねぇよな?」
今回、このリモート会議の参加者は6名。
[王正騎士団]から団長のアーサードさん。
[黒塗旅団]から団長のZENOさん。
[猫田森さんファンクラブ]からリーダー格の"猫田森さん"さん。
[アルケニカ学会]から学会長の太陽ジジイさん。
[臨時クラン花火]から臨時リーダーの玉屋さん。
そして[討竜雑技団]から団長の俺。
ぶっちゃけ俺が場違いなのは痛い程に自覚しているが、俺だって土骨にはやり返してぇ気持ちでいっぱいなんだ。
……だから、対土骨同盟を組み始めていると噂のアーサードさんへ話を通した。
俺達のクランも、そこへ組み込んで欲しいと。
『ふぉっふぉっふぉっ♪……小規模クランにも関わらず対土骨同盟へ参加するとは、ムラザメ坊も勇敢じゃのう♪』
「そんなんじゃねぇ。……ただ、ちょっと前に喧嘩を吹っ掛けられた上に逃げられちまったのが死ぬ程悔しいんだよ……」
『小生も気持ちは分かる。……それ、滅茶苦茶ムカつくだろう?』
「そうだな。……無駄に疲れるタイプの茶番に付き合わされた気分で最悪だ……」
それこそメテオ三連星に巻き込まれた時、グロサリーヌへ怒りをぶつけたのと同じ感覚だ。
……あの時はグロサリーヌをぶん殴ったが、今回は土骨にやり返さねぇと気が済まねぇ!
『それで、君達に何が出来るんだニャ?……利用価値を示してくれなきゃ、協力なんて……』
「俺のクランには、グロサリーヌ様と乱打羽さんが所属している……これで充分だろ?」
『ニャニャ……知ってたニャけど、本当にそれを切って来るんニャね……』
以前のドラゴンレイドで、グロサリーヌと乱打羽さんは名を上げたと聞く。
当然、向こうさんとしても戦力として確保しておきてぇ筈だ。
『……猫田森、小生はこいつを引き入れても良いと思うがな?……というか、同盟の纏め役たるアーサードの紹介な以上、小生達がとやかく言う資格もあるまい……』
『そ、そうニャね、ごめんニャ……うぅ、ZENOに指摘されたニャ……』
『てやんでぇ、おいらは試さないんでい?』
『君達は土骨の第一発見者ニャから、その辺の洗礼は免除だニャ~♪』
『……納得いかねぇでい、べらぼうめぇ……』
う~ん、バチバチしてるなぁ……
特にZENOさんと"猫田森さん"さんの2人が険悪そうな雰囲気だ……
あ、ちなみにZENOさんはフード付きの黒ローブを着た黒髪黒目の青年って感じの人で、"猫田森さん"さんは白髪猫耳の可愛い系女子。
ついでに玉屋さんは捻り鉢巻きに青い法被を着た江戸っ子青年って感じの人で、太陽ジジイさんは好々爺な老人アバターのプレイヤーだった。
……まあ、どの人も個性の塊だった訳だ。
『さて、これから君達はどうするべきだと思う?』
『ふむ……やはり何処かにクエスト受注者が居るという線は薄いだろう。……もしクエスト受注者が居た場合、土骨がああも動き回るのはおかしいからな』
『始まりの街で起きたとかいう、例のメテオ三連星とかいうオンリーワン・ユニークモンスターに関する事件では常に同じ場所に常駐したと聞いてるからニャ~♪……あちこち動き回ってるのは確かにおかしいニャ!』
『ほんと、またあのクソ運営がやらかしたんじゃねぇかってんだ、ば~ろちくしょう!』
『なるほどのう……となると、まずはユニーククエストを探すところからじゃな?……少なくとも、イベントでもない以上は何処かに該当クエストが転がっとる筈じゃ』
「……クエストが何処かに、か……」
可能性としては勿論ある。
けれども、アルケニカ王国の面積は日本と同程度……
その中から1つのユニーククエストを見つけるなんて現実的とは言えねぇんだよな……
『ハァ……誰か、土骨のユニーククエストを見つけてくれないものかな……もし誰か見つけてくれたら、僕は泣いて喜ぶ自信があるんだけど……』
『貴様が泣いて喜ぶ姿を見せられたところで何一つ嬉しくはならんからな!?……ったく、小生はもう付き合ってられんぞ……』
『ニャニャニャ……これはもう、虱潰しの人海戦術でごり押すしかなさそうニャね……』
『ふぉっふぉっふぉっ♪……じゃが、その案はいくら何でも無理があるじゃろうて……』
「確かに……その人海戦術とやらでアルケニカ王国中の全NPCに片っ端から聞いてくつもりか?」
『気が遠くなる作業でい、べらぼうめぇ!』
『うニャニャ……』
いくらそれしか手がねぇとはいえ、虱潰しの人海戦術で片っ端からアルケニカ王国中の全NPCに聞いてくとか正気の沙汰じゃねぇ。
聞いた聞いてねぇの管理だって大変だろうし……
『ふむ……尚更、誰か僕達の知り合いが土骨のユニーククエスト受注して欲しいものだね』
「夢のまた夢だな……」
『うむ……こう言っては悪いが、最悪の可能性まで入れたらユニーククエスト自体が存在せん可能性まで考えねばならんのじゃがのう……』
「おいおい、もしそうなら完全に手詰まりだぞ?」
『そうじゃなぁ……』
こうして、何も決まらぬままに会議は進んで行く。
……全く打開案が見つからず、お互いに苛立ちを溜め込みながら……
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(同時刻、滅本 黒佐 《※グロサリーヌ》 視点)
ここは[討竜雑技団]のクラン拠点……
「ハ~ッハッハッハ☆!……ここ数日はムラザメ君が狂った様に土骨捜索しててつまらないな☆!」
「まあ、ムラザメさんってやられたらやり返さなきゃ気が済まないタチみたいデッスし……あでも、こっちから仕掛けた形になる影奇や窮奇相手にはそんな乗り気じゃなかったみたいに、あくまでも"やられたら"がミソみたいデッスが……」
軽く5日は土骨の捜索に骨を折っていたボク様は、ちょっとした休憩ついでにエンムスビ君と駄弁っていた。
……にしても、やられたらやり返すか……
かつて、ボク様が出会い頭にムラザメ君からぶん殴られたのもそういう事だろう。
あの時は、ボク様とメテオ三連星の戦いにムラザメ君とエンムスビ君を巻き込んでしまっていたみたいだからね。
「とはいえ、たった30分の攻防であそこまで怒れるものとはね……ボク様は少し、ムラザメ君を勘違いしていたかもしれない☆」
「……ああ見えてムラザメさん、些細な事で怒りやすいところありマッスからね……」
ふむ……
エンムスビ君の口振りから察するに、2人はリアルでの知り合いといったところか。
その上で……
「……いきなりで悪いがエンムスビ君、ムラザメ君とヤった感想を聞かせてくれないかい☆?」
「ぶふぉっ!?……な、何の事デッスか!?」
この慌て方、やはりビンゴ。
……ムラザメ君の童貞卒業相手は、エンムスビ君で間違いないのだろう。
しかも、別に付き合ってる訳じゃなさそうだ。
「察しはついてるんだ☆。……これまでのアレコレから、君達2人がリアルで知り合いだという事はだいたい分かる☆……加えて、ムラザメ君が童貞卒業について聞かれるとエンムスビ君も何故か動揺していたのも決定打になったよ☆」
「……そうデッスか……」
エンムスビ君は観念したかの様に天を仰いだ。
……しかし、誤解しないで欲しい。
「勘違いして欲しくないんだけど、ボク様は君達の関係をとやかく言いたい訳じゃない☆。……ボク様はただ、自分も早くムラザメ君とそういう関係になりたいだけなんだ☆……」
「……うわぁ、この短期間でムラザメさんに惚れるとかヤバい女じゃないデッスか……」
ふむ、失礼極まりないな!
……けどまあ、言いたい事も分かる。
「ただまあ、いきなりリアルのムラザメ君を紹介しろだなんて言わないから安心したまえ☆!」
「う、う~ん……何かごめんデッス」
「何故謝るんだい☆?……あ、それはそうとこれから少し外をぶらつくから、一緒に来てくれないか☆?」
「い、良いデッスが……いくら何でも話の切り換えが早過ぎマッスし、本当にグロサリーヌさんは行動が読めない方デッスね……」
むむむ……
エンムスビ君に多少は距離を置かれそうだが、ボク様は諦めない。
いつか必ず、ムラザメ君をボク様の虜にしてみせようじゃないか☆!
ご読了ありがとうございます。
グロサリーヌの言葉は、割と支離滅裂な時も多いです。
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後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。




