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47.ムラザメは流される

この章、土骨に関する話の前編になりそう……

(源徳 村雨視点)


これはクランの名前を決め、街役場へ申請した日の翌日午前中の事だった……


え?


クランの設立申請の場面?


そんなの申請したらお役所仕事で受理されたからカットだカット!


ついでにどういう訳かクランの団長が俺に決まったが、カットと言ったらカット。


んで、その帰りに装備屋と武器屋に寄って俺とエンムスビの新装備&新武器の注文をしたって一幕もあったが、これも注文しただけなんで誰が何と言おうとカット。


……とにかく、それから1日経って俺達が何をしているかというと……


「ふっふ~ん!……どうデッスか、これ!」


「良いんじゃねぇか?……つうか、そっちが感想聞くなら俺の装備はどうなんだ?」


「イケてると思いマッスよ?」


俺とエンムスビは、昨日の時点で注文しておいた装備と武器を受け取り、お互いに見せ合っていた。


「だろ?……さしずめ、闇夜に暗躍する暗殺者ってところだな」


「ん……某とお揃い、嬉しいでございます……」


「そりゃ影奇のドロップ素材を使ったからな……」


「私は底岩のドロップ素材をこれでもかってぐらい使いマッシた!」


俺の装備は影奇のドロップ素材をふんだんに使ったザ・暗殺者って感じの黒ずくめ装束で、武器も影の如き漆黒のダガーナイフに新調した。


対するエンムスビも装備を底岩のドロップ素材をふんだんに使ったザ・重戦士って感じのごっつい鎧、武器をゲームやアニメでよく見るレベルのごっついハンマーに新調していた。


「……じゃ、次は昨日の時点じゃ出来なかったクランの拠点決めだが……」


「既に候補は決まってるらしいんで、そこに集合しマッスよ!」


「……ぶっちゃけ、拠点とかこだわりもないから何でも良いんだが……」


一応、拠点を買ったり占拠したりすれば自動でリスポーン地に出来たりするらしいんだが……


……現状、宿屋とかで事足りてるしな……


「ま~ま~、行きマッスよ!」


「う~ん、そうだな……」


「ん……某も行くでございます……」


ま、思う事はあったが躊躇する程じゃねぇ。


ちょっくら内見に行くか……






んで、目的の物件に到着したは良いんだが……


「では、こちらをお買い上げで宜しいですね?」


「あァ、OKだァ!」


「エエで~♪」


「……もう決めてたのかよ……」


俺が到着した丁度その瞬間、クランの拠点となる物件が乱打羽さんと賽子丁子さんの2人によって購入されていた。


え、俺の意見は?


「ん?……あァ、遅かったなァ」


「こっちで決めさせてもろたで~♪」


「……ああ、それは良かったな……」


うん、別に良いか……


なお、購入された物件は何処にでも有りそうな大きめの2階建て洋風家屋だった。


……5人だけのクランとしちゃ、充分過ぎる物件と言って良いだろう。


「ほんと、良い物件デッスね~!」


「ん……某も文句無しでございます……」


「せやろ~?」


「そう思うよなァ!」


「ハァ……この際、俺の意見を聞きもせずに拠点を決めたのは良いとして……てっきりグロサリーヌ様も一緒かと思ってたんだがな?」


俺はしばらく購入した物件にご満悦な面々を見ていたのだが、そうしている内にグロサリーヌの姿が見えない事に気付いた。


……と、その直後……


ーバタン!


「ハ~ッハッハッハ☆!……やはり良い買い物をしたと断言出来る物件だったぞ☆!……って、ムラザメ君とエンムスビ君も来ていたのだね☆!」


満面の笑みを浮かべたグロサリーヌが、物件の扉を勢い良く開けて現れたのだ。


……なるほど、物件の中に居たのか。


「……あ~、うん……良い家だな?」


「ハ~ッハッハッハ☆!そうだろう☆!」


「何か変わったところとかあるのか?」


「いいや、何の変哲もいわくもない空き物件さ☆!」


ふむふむ……


幸か不幸か、この物件が何かのイベントフラグになる可能性はなさそうだ。


「さてと……クラン設立して拠点まで確保したし、改めて今日はどうするよ?」


……ま、過ぎた事は良いとして。


心機一転、わざわざクラン作ったんだから何かでっけぇ事をしてみたいと思うのはおかしい事じゃねぇ筈だ。


未踏破ダンジョン (※そんなものがあるかは知らん) に潜るも良し、難敵のオンリーワン・ユニークモンスター (※同じく居るかは知らん) を倒すも良し……


あのレイドイベントを生き抜いた俺達なら、大抵の敵は怖くねぇからな!


……と、珍しく俺がその気になってたのに……


「あ~……すみません、私は今日の午後に本家からの呼び出ゲフンゲフン!……ちょっと行かなきゃならない野暮用がありマッシて……」


「お、オレも午後から手が離せなくてなァ……」


「う、ウチも午後から競馬の賞レースを現地で見るっちゅう予定が……」


結果は散々。


一応、エンムスビこと縁が源徳一族本家からの呼び出しを受けた事は聞いていたが……乱打羽さんと賽子丁子さんからも用事ありとの答えを受け取る羽目になった。


……って、待てよ?


そうなると……


「ハ~ッハッハッハ☆!安心したまえ☆!……ボク様は午後からも暇だから、たっぷりムラザメ君と遊べるよ☆!」


「……おぉ……」


よりにもよって、グロサリーヌは暇なのか……


他の面々ならまだしも、このゲーム屈指の狂人とすら言われ始めてる最悪の爆弾魔と2人っきりとか……


……うん、俺もバックレよう。


用事をでっち上げてしまえばこちらの……


「あ~、そういえばムラザメさんは午後から暇なんデッシたよね!」


「へェ……じゃあァ、グロサリーヌのお目付け役も任せとくぜェ!」


「ほな、よろしゅう頼むわ~」


「……お、お前等ぁ……」


……マジかよ。


まさかの3人に裏切られ?る形で、俺はグロサリーヌのお目付け役をする事が確定しちまった。


いや、俺だってグロサリーヌは嫌いじゃないが……一緒に居る時に何かやらかされても困るんだよな……


「ハ~ッハッハッハ☆!……同じドラゴンを従えている者同士、2人っきりでの交流を楽しむとしようか☆!」


「は、ははは……」


「ん……2人っきりとは、何かナチュラルに某が忘れ去られている気が……」


くっ……


いくら影奇が居るとはいえ、プレイヤーとしてはグロサリーヌと2人っきりか……


……憂鬱だ……


「ハ~ッハッハッハ☆!」


「ハァ……」


こうして俺は、午後グロサリーヌと共に何かをするのが決定した。


ところで何をするかって?


そこまでは知らんし考えたくもねぇな……



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

(同時刻、鋼村 浅斗視点)


……よし、ちゃんと通信は繋がってるね?


「ふぅ……二人とも、忙しい中リモート会議に来てくれて感謝する。……一応、僕が纏め役を務めさせて貰うよ?」


僕は、目の前に表示されたリモート通話の画面を見ながらそう告げた。


そしたら……


『ふん……誤解するな、小生は此度の騒動が貴様等と協力しなければ解決不可能だと判断したから協力を申し出ただけであって、貴様等と永続的に馴れ合うつもりは毛頭ないのだからな?』


『うニャ~……こう言っちゃ悪いニャけど、あたち達もZENOさんと同意見だニャ~♪』


「うん、僕だってその辺は分かってる。……それと同時に、この一時的な同盟はギリギリのラインで成立してる事だって理解してるつもりだ……」


僕とリモートの通信越しに会話をしている相手は、[黒塗旅団]団長を務めるZENOさんと[猫田森さんファンクラブ]を率いているリーダー格の"猫田森さん"さんだった。


『ハァ……まあ良い、小生達は本題に移るぞ?』


「あ、うん……僕の事は気にせず続けて?」


『ニャ~♪』


ZENOさんは半ば呆れかけていたけど、そんな事まで気にしていられない。


……僕達は、こうしている場合じゃないならね?


「では、僕から状況確認を。……昨日の昼頃、アルケニカ王国北東部で"巨骸将軍 土骨"という名のオンリーワン・ユニークモンスターが出現した……ここまでは大丈夫かな?」


『大丈夫ニャ。……で、それから1時間後にあたち達の所に現れて大暴れしたニャ!』


『更に3時間後、土骨は小生達をも蹂躙した。……加えて檮杌の配下という点から小生達の管轄ではあるのだが、その後もアルケニカ王国全域にて遭遇報告が相次いで寄せられている時点で管轄云々と言っている場合ではないと判断した』


「僕達もその4時間後に遭遇し、半ば一方的に蹂躙されている。……ほんと、どうしたものかな……」


土骨と呼ばれるがしゃどくろの変異個体は、地中を掘り進めてあちこちに出現している。


ただでさえ次の大規模イベント関連でクラン間の関係がピリついている現状で、この神出鬼没な災害を無視するのはあまりにも危険だと言わざるを得ないだろう。


『全くだ……そもそも、小生達でやれる事には限りがある訳だしな』


『あたち達もニャ!』


まあ、そうだろう。


じゃなきゃ、そもそもこんな同盟を組んでいない訳だからね。


「そう言うと思って、今回は特別にもう1つクランの(おさ)を呼んでるよ。……このゲームにおける最高の考察クラン、[アルケニカ学会]の学会長を務めているプレイヤー……太陽(たいよう)ジジイさんだ!」


「ふぉっふぉっふぉっ♪……儂の名は太陽ジジイ、[アルケニカ学会]の学会長で此度の同盟における特別顧問じゃ♪」


そう、この同盟は3つのクランだけのものじゃない。


考察クランである[アルケニカ学会]の学会長を務めている老人アバターのプレイヤー、太陽ジジイさんも居るのさ。


『ほう……』


『ニャニャ……』


「ちなみに午後からは欠席出来ぬリアルの用事があってのう……早めに会議を終わらせてくれると助かるのじゃ!」


「……わ、分かったよ……」


うん、太陽ジジイさんに予定があったのは想定外だけど、まだ何とかなる範囲だ。


多分、きっと、メイビー……


……まあ、それから僕達は会議を進めて、どうにか対策を練り出していた。


こうしている間にも土骨による被害が増えていると、内心では焦りつつも……

ご読了ありがとうございます。


太陽ジジイの中身はこの作品の既存キャラです。


気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。


後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。

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