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46.土骨は出現する

はい、土骨って誰と思った方は気にせず読んでくれるとありがたいです……

(源徳 村雨視点)


さて、クランを組むと決めたは良いが……


「で、クランを組むにはどうすりゃ良いんだ?」


「え、街役場へ申請するだけデッスが?」


「知らんかったん!?」


「……実を言うと、オレもすっかり忘れてたァ……」


「ハ~ッハッハッハ☆!」


ふ~ん、なるほど街役場か……


……マジで知らなかったなぁ……


「じゃ、さっさと申請しようぜ?」


「いいえ、待って欲しいデッス!……クラン名をまだ決めてマッセん!」


「「「「っ!」」」」


所属クラン名……


それは今後このゲームで常に付き纏うものであり、ふざけた名前にした日にゃ一生後悔する羽目になりかねないレベルで慎重に決めなきゃいけねぇ事だ。


……が、ここに居るのは一癖も二癖もある面々だ。


「ずばり、[爆殺(ばくさつ)雑技団(ざつぎだん)]なんてどうかな☆!」


「ここは1つ、[仏血義理(ブッチギリ)]なんてどうだァ?」


「どっちもあかんわ……ここは思い切って[ビギナーズラック]とかどうや?」


「……[ムラザメさん()]とかどうデッスか?」


「ん……某は[暗殺竜(あんさつりゅう)()]がお薦めでございます……」


え~っと、[爆殺☆雑技団]に[仏血義理(ブッチギリ)]に[ビギナーズラック]に[ムラザメさん家]に[暗殺竜の巣]か……


……え、マジでこの中から選ぶのかよ……


「こ、この中だと[ビギナーズラック]だが、ゲーム中ずっと付き纏うとなると違う名が……そういう意味じゃ[暗殺竜の巣]は意外と良い線行ってそうなんだけどなぁ……」


「……ハハハ☆……」


「オレのは却下かァ……」


「そんなに駄目デッスか?」


論外は黙っとけ。


でも、[ビギナーズラック]と[暗殺竜の巣]もな……


……組み合わせて[初心者の巣]?


いや、ダサいな……


「……それこそ、グロサリーヌ様と道化竜が悪い意味で有名になってるのも組み合わせて……[蛮族達の巣]なんて名前なら……駄目に決まってるよな……」


マトモな案が浮かばない。


こんなの、俺にどうしろってんだ!


「ハァ……クラン名決めるん、結構難しいんやな……」


「あァもうしゃらくせェ!……変に捻ったクラン名にすんのは辞めて、[討竜雑技団(とうりゅうざつぎだん)]とかどうだァ?」


ん?


[討竜雑技団]、か……


……良いんじゃねぇか?


「……無難だが、悪くねぇな……」


「もうそれでエエわ……」


「普通に良いのデッス!」


「ボク様も賛成だよ☆!」


「ん……某の案が通らず、残念でございます……」


結局、クラン名は呆気なく全会一致で[討竜雑技団]に決定した。


……後は、街役場へ行ってこの名前のクラン設立を申請すれば良いんだっけか……


ああ、面倒な事になりそうだ……



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

(同時刻、俯瞰(ふかん)視点)


……その事件はまず、〘厄災のアルケニカ〙運営チームが使用している部屋で起こった。


「大変です!」


「どうした!」


「いえ、その……試験的に巨骸将軍のユニーククエストを受注可能状態に移行させたのですが……」


「ふむ、そう報告を受けているが?」


運営チームの面々は、この1週間頑張っていた。


1週間前に衝動的に霞をボコボコにしてしまったせいで多少のトラブルは起きつつも、何だかんだ回せてはいたのだ。


……しかし、ここで問題が起こった。


「ユニーククエストを受注可能状態に移行させた途端、巨骸将軍……正式名称、土骨(どこつ)が付近のプレイヤー達へ突撃を開始してしまいました!」


「何ぃ!?」


ようやくユニーククエストを受注可能状態へ移行させた七怨将の一角、"巨骸将軍 土骨"がプレイヤーへと突撃を開始したのだ。


「どうしましょう、土骨は止まる気配を見せません!」


「くっ……念のため聞くが、そのプレイヤー達は該当ユニーククエストを受注したのか?」


「してたら焦って報告してませんよ!」


「……つまり、不具合か?」


その報せは最悪だった。


クエストを受注すらしていないのに、オンリーワン・ユニークモンスターが出現する……


そんな事になった日にゃ、プレイヤー達から何を言われるか分かったものじゃない……


加えて……


「あっ……」


「どうした?」


「現在の土骨は、平時のワールドエンド・ユニークモンスターと同じ状態……攻撃を与えればミリ単位ではあるもののHPが減りますが、どれだけHPを減らしても絶対に倒す事だけは出来ないという状態になっています!」


「最悪じゃないか!」


今の土骨は平時の厄災達と同じ状態に設定されており、それは絶対に倒せないモンスターが積極的にプレイヤーを襲うという地獄絵図の到来を意味していた。


……のだが、神は運営チームを見放していなかった。


「いえ……まだ、挽回のチャンスはあります……というのも、この状態はユニーククエストが受注されるまでの限定的なものでしかないんです。……なので、ユニーククエストさえ受注されれば()()()()()()()()()()()()様になります!」


土骨の状態は、あくまでもユニーククエストが受注されるまでの限定的なもの……


……その事実は気休めにしかならなかったが、希望を見出だすには充分だった。


「そうかそうか!……ところで、そのユニーククエストは何処で受けられるんだ!?」


「……です」


「何処だって!?」


始まりの街(・・・・・)()()()()()()()で、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()N()P()C()です!」


「………………F●ck(フ●ック)!」


運営チームは絶望した。


何故なら、かつてそのユニーククエストを受注し、今回のユニーククエストも見つける可能性が高いプレイヤーはこのゲーム屈指の変人……


そんなプレイヤーを土骨へぶつけるのは、化物には化物をぶつけるという古の迷言を実行するに等しかったからだ。


「ただ、他のプレイヤーが土骨に攻撃するには、ユニーククエスト受注者と接触するしか……」


「……そうなんだよ……そこが問題で……」


「あ、土骨がプレイヤーに接触します!」


「……間に合わなかったか……」


結局、運営チームの対策は間に合わなかった。


……そうしてこの日、〘厄災のアルケニカ〙に七怨将の名が轟く事となる……





同時刻、ゲーム内のアルケニカ王国北東部……


ーゴゴゴゴゴ……


「「「「ん?」」」」


「こりゃぁ……地震でい?」


「……いや、何か来るでごわす!」


この不運に出くわしたのは、レイドイベントで名を上げたプレイヤー……玉屋と権座右衛門を始めとしたフリーの上澄みプレイヤー集団だった。


彼等はクラン対抗戦に向けて、臨時クランのメンバーを勧誘している最中であった。


……が、災害は突然やって来る。


ーゴゴゴゴゴ……ドゴォォォォォォォン!


「ガッシャァァァァァァァァ~ン!」


ーカタカタカタカタカタ……


「「「「んぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!?」」」」


突如として、地中から巨大な骸骨……がしゃどくろが姿を現したのだ。


そして……


ーピロリン♪


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

[オンリーワン・ユニークモンスターが出現]

個体名:巨骸将軍 土骨

種族名:がしゃどくろ変異個体

個体数:1体

レベル:6000

備考:檮杌に仕える七怨将の一角。

   憤怒に燃える、戦死した霊魂の集合体。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「「「「………………は?」」」」


「っ!……べらぼうめぇ、避けろってんだ!」


「間に合わんでごわす!……せめて、おいどん達だけでも避けるでごわす!」


「チッ!……クソがっ!」


ータッ!タッ!


玉屋と権座右衛門、この2人以外のプレイヤーは呆気にとられていた。


……それが大きな隙だと気付かずに。


「ガッシャァァァァァァァァ~ン!」


ーギュイン!……ドォォォォォォォォォン!


「「「「おんぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!?」」」」


ーキラン……


土骨が繰り出したのは、何の変哲もない光線(ビーム)だった。


……土骨の口から吐き出されたその光線(ビーム)は、玉屋と権座右衛門以外のプレイヤー達を一撃で葬り去った。


「おいおい、何だってんだ!?」


「……あの巨体とレベル、おいどん達だけじゃ無理でごわす!」


「てやんでぇ、逃げろってか?」


「それが最善でごわす!」


「……合点承知だ、べらぼうめぇ……」


あまりの巨体と、高いレベル&攻撃力……


それを見た2人の出した結論は、逃走だった。


「ガッシャァァァァァァァァ~ン!」


ーギュイン!……ドォォォォォォォォォン!


「はんっ!……逃げるが勝ちだ、べらぼうめぇ!」


「挑発しないで欲しいでごわす!」


この後、2人のプレイヤーは土骨から逃げ切る事に成功した。


……しかしこの日以降、土骨が地中を通ってアルケニカ王国各地に出没し、街や集落の外に居たプレイヤー達へと甚大な被害を出し始めたのだった……

ご読了ありがとうございます。


運営チーム、ゲームの土台が土台なので霞が一時離脱してもポカはやらかします……


気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。


後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。

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