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41.アーサードは攻め続ける

本来なら、影奇が戻っただけでは窮奇は弱体化しません。


こうなっているのは、ムラザメの説得ありきです。

(鋼村 浅斗視点)


「まあ、増援は気にせずやるか……という訳で僕の最強技を撃っちゃうよ?……【複製勇者・千本剣舞×羅貫螺旋×爆裂弾幕(パンクランチャー)×獅子奮迅×クラスターボムズ】!」


ーギュイン……ドッカァァァァァァァァァァァン!


「GRYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!?」


僕は今の自分に撃てる最強の技を発射し、窮奇の全身にへばり付く影へとぶつけた。


……それにしても、四大クランのリーダー格が持つユニークスキルに並べる【クラスターボムズ】はやっぱり破格のスキルだとしか言い様がないね……


しかも、こんなユニークスキルが始まりの街で受けられるユニーククエストで入手可能とか、やっぱり運営はゲームバランスを崩壊させたがってるとしか思えないよ……


「ハ~ッハッハッハ☆!……こんなボク様以上の爆発芸術を見せられちゃ、到底負けていられないと思うのが芸術家の(さが)なのさ☆!……ってな訳で爆弾投下からの【クラスターボムズ】付与☆!」


ーポイポイポイッ……ドカドカドッカァァァン!


「GRYUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUU!?」


「あ、またグロサリーヌさんが爆弾を投下させちゃってるよ……」


せっかく影と合体してから窮奇がブレスを渋ってたのに、また同じ方法で刺激するとか……


加えて、反撃も想定してなさそうな口振りだし……


ーブチッ……


「GRUGAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!」


ーボゴォォォォォォォォォォォォォォォォォ!


「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ☆!?」


「あ、また窮奇がブチ切れた……僕はもうどうなっても知らないからね?」


あ~あ、言わんこっちゃない……


ほんとリリメアといいグロサリーヌさんといい、どうして後先考えないかね……


いくら僕だって大規模攻撃してるとはいえ、反撃もちゃんと想定してるからね?


まあ良いや、攻撃の続きしよ。


そう思った直後だった。


「おや、アーサード殿……ようやく悲願が叶いそうで良かったでござるね!」


「え、ヘビイチゴさん!?……ここまで窮奇をよじ登ってきたのかい!?」


……何故か、今度はヘビイチゴさんに話しかけられた。


しかもヘビイチゴさん、窮奇の体をよじ登って来てるし……


「はははははははは!……アーサードさん、俺も居るぞ!」


「ムラザメさんまで!?……って、何か性格が変わってる様に見えるんだけど!?」


追伸、何故か性格が変わってるムラザメさんまでよじ登って来てたよ……


……何なのこの人達、怖いよ……


「はぁ~♥️……ムラザメ殿も拙者と一緒に来てくれるとは、やはり運命でござるか♥️!?」


「あ、語尾♥️(ハート)盗らないで~!」


「ん?……何でリリメアがこんな所に居るんだ?」


「……もう収拾がつかないよ……」


……もうプレイヤーの方は無視だよ無視!


いい加減、窮奇の方に集中しないと!


「GRUGAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!」


ーボゴォォォォォォォォォォォォォォォォォ!


「うおっと!?……こっち撃って来たよ」


けど、何となく分かって来た。


……さっきから見てると、窮奇は自分の前面か側面にしかブレスを撃ってない。


実際、サイズが大きいからか体の向きを変えるのすら時間がかかってるし、首も長い割に硬いのか頭を真後ろへは向けていない!


つまり……


「背後が疎かでござるよ!」


「ははははは!……背中を攻めろ!」


「きゃひゃひゃ♥️!……背中をザックザク~♥️!」


「……僕も後ろを攻めよっか……」


今の窮奇は、言わば動くだけのデカい的だ。


かつての硬さは同化した影によって無効化され、ブレスも僕やグロサリーヌを狙って自分にへばり付くプレイヤーにまで注意が回っていない。


何より、自分にへばり付くプレイヤーにブレス攻撃なんかしたら影を通じてダメージを受けるのは必然。


体を揺すってプレイヤーを落とそうにも、あの巨体を素早く動かすのは苦手らしいし……


……もう、窮奇は八方塞がりだ。


「【一子相伝・神切一刀流】でござる!」


ーブンッ!ザシュッ!


「ははははは!俺に影奇戦の報酬寄越せや!」


ーブンッ!ザシュッ!


「きゃひゃひゃ♥️!……ねぇねぇ竜さん、ここが痛いのかな~♥️?……きゃひゃひゃ♥️!」


ーザシュザシュザシュ!


『食らいなさいな、【羅貫螺旋】ですわ!』


ーギュルギュルギュルルルル!


『俺様も負けてらんねぇ!……【黒洞天斧ブラックホールアックス】だぁ!』


ーキュルキュルキュル……ドゴォォォォォン!


「GRrrrrRRRYAAAAaaaaaaAAAAA!?」


ヘビイチゴさんを始めとした面々に襲われ、これまで聞いた事のない声を上げる窮奇。


……うんまあ、今の構図って相手がデカくて強いだけでただの集団リンチだからね……


「それじゃあ僕も……【複製勇者・千本剣舞×羅貫螺旋×爆裂弾幕(パンクランチャー)×獅子奮迅×クラスターボムズ】!」


ーギュイン……ドッカァァァァァァァァァァァン!


「GrrrRRRRRgyaaaAAAAAAA!?」


…………………あ~、うん。


窮奇が影と同化した瞬間から以前程の圧を感じなくなったとはいえ、これはなぁ……


……いったい、窮奇は影奇として何を切り分けていたんだろうか……



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

(俯瞰(ふかん)視点)


窮奇は、生まれた時から最強だった。


他の竜の何倍も体が大きく、力も強かったからだ。


「GRRRRRRRRRRRRRRRR……」


だが、窮奇の精神は弱かった。


自分以外を疑い、数の暴力を恐れたのだ。


最終的に窮奇は、自身から弱い部分を魂ごと切り取って影に込めた。


「grrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrr……」


「シュゥゥゥゥ~ッ……」


その後、窮奇は自身の魂の一部を込めた影を影奇と名付け、自身の懐刀へと任命した。


結果、窮奇は本当の意味で最強になった。


何者も恐れず、淡々と虐げる暴君と化したのだ。


「gruaaaaaaaaaaaaaaaa!」


ーボォォォォォォォォォォォォ!


そうしている内に、窮奇に降伏して臣下となる者まで現れた。


「グォォォォォォォォォ!」


「ガガガ……ガガ……」


「ピ~ッチャチャチャ!」


底岩と才智は、圧倒的な窮奇の力に魅入られ……


恐悦は自身の絶対的な不利を悟って……


それぞれ暴君の臣下となったのだった。


「grrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrr……」


こうして最強の暴君となった窮奇だったが、そんな窮奇を更に増長させる出来事が起きた。


『ふむふむ、順調に吾輩の考えた通りの厄災として成長しているだよ!』


『ハァ……霞サン、こんな理不尽なクソボス作ってどうするんだヨ……』


『これだからラビリーは分かってないのだよ。……ボスは強ければ強い程、プレイヤー諸君も燃えるというものであってだね……』


『ほんと、何でこんなのが開発主担当なんだヨ!』


「……grrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrr……」


ある日、窮奇は突如として自身の前に現れた管理者アバターの声を聞く機会があった。


訳あって人語すら解していた窮奇は、自身が神によって作り出された存在である事を悟り、より横暴になった。


……それからかなり経った頃、ある一団が窮奇へ襲撃をかけた。


「この竜が、話に聞いていたワールドエンド・ユニークモンスターなのか……絶対に僕達で倒すよ!」


「「「「「「おぉぉぉぉぉぉぉ!」」」」」」


それは、[王正騎士団]による襲撃。


もっとも、彼等の襲撃すらもいずれ人間を全滅させるつもりだった窮奇にとっては雑兵用の良い練習台でしかなかったが。


「gruaaaaaaaaaaaaaaaa!」


ーボォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!


「「「「「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!」」」」」


窮奇は、何度もプレイヤー達を蹂躙した。


そうして自信をつけて万全の体制が整った辺りで、遂に窮奇は大規模侵攻を実行に移した……


……筈だった。


「GRRrrrrrrrrrryAAAAAAaaaaAAAAA!?」


だというのに3人の外様臣下は倒され、切り分けた影も敗れ、自身には"弱さ"が舞い戻った。


窮奇には、到底信じられる話ではなかった。


「窮奇……いくら僕達をここで殺そうとしても、何度だって僕達は挑戦出来る。……君にはもう、勝ち目なんてないのさ!」


「GRRrrrrrrrrRRRRYAaaaaaaaaaAAAAA!?」


全身に痛みが回り、窮奇は悲鳴を上げる。


そもそも、仮に影奇が戻って来たとしてもこうはならない筈なのに……


どうして、自身にダメージが入っているのか……


そんな事を考えながら、今もなお窮奇は必死に抵抗を続けるのだった……

ご読了ありがとうございます。


窮奇自体は、ただただ強く生まれただけで物語もクソもない薄っぺらいドラゴンです。


気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。


後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。

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