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37.窮奇はブチ切れる

窮奇戦と影奇戦、この章に押し込まないと……

(鋼村 浅斗視点)


ードカドカドカドッカァァァァァァァァァァン!


「……グロサリーヌさん、いくら何でもやり過ぎじゃないかな!?」


ハァ……


覚悟を決めて窮奇への進撃を開始した僕達だったんだけど、今は何故かグロサリーヌさんによる爆撃に頭を抱える羽目になっていた。


いや、あの人が制御不能なのは知ってたけどさ?


う~ん……


「団長、悩んでる暇はありませんわよ!」


「そうなんだよねぇ……ハァ……ひとまず、僕達は爆発を避けつつ窮奇に近付こうか……という訳で、【複製勇者(ふくせいゆうしゃ)・不死喧嘩】!」


ーピカ~ン!


「キャヒャヒャ♥️……それがお兄ちゃんのユニークスキルか~♥️」


……今発動した僕のユニークスキルである【複製勇者】は、端的に言えば1度見た武器やスキル、魔法を模倣出来るという優れものだ。


ただし、この模倣はあくまでも主観的なものでしかないため、ここの解釈を少しでも誤ると模倣元より劣化する可能性を秘めていたりする。


まあ、それはさておき。


「……で、どうしますの?」


「そうだね……爆音に爆煙に業火と、僕達を隠し通せる要素がてんこ盛りなのは利用したいけど……同時にこの中を掻い潜るのは骨が折れそうだよ……」


「それに骨を折ってまで進んだとして、あの怪獣みたいな巨体にどうやって致命傷を与えますの?」


「……ほんと、どうしたものかな……」


「えっと、まさか考えなしに突っ込んだとか言いませんわよね!?」


うぅ……


ただでさえ、敵は怪獣レベルの巨体だ。


……そんな相手に致命傷を与えるとか、普通なら無理だと思うかもしれない。


けれど、僕は知っている。


「いくら僕でも、流石にそこまで考えなしで動いてる訳じゃないさ。……それにあのサイズの怪獣が出て来る特撮の中には、巨大ヒーローや合体ロボの手を借りずに等身大かつ生身の人間が怪獣を倒した話もあって……」


「その等身大かつ生身の人間って、ネットで逸般人だとか呼ばれてる人達ですわよね!?」


「キャヒャヒャ♥️……何の話か分かんな~い♥️」


逸般人……


確かに彼等はそう呼ばれている。


……だけど、そこで思考停止しちゃ駄目なんだ。


「逸般人と呼ばれているのがどうした?……僕達も、彼等に倣うべきなんだ!」


「団長は馬鹿なんですの!?……そもそも、窮奇はそんな作戦が通る様な相手では……」


「そこはこう……どうにかするしかないだろ!」


「だ~か~ら~、そこをどうするかおの……(わたくし)は聞いてるんですのよ!」


……駄目だ。


僕に原因があるとはいえ、このまま希人と話を続けていても平行線のまま。


何か、妥協点を見つけないと……


なんて、思っていたら……


「うぉりゃぁぁぁぁぁ!……窮奇、今すぐにでも俺様と勝負しやが」


ードカドカドカドッカァァァァァァァァァァン!


「れぶへぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」


「「あっ……」」


「キャヒャ♥️」


……僕達のすぐ近くで、ヴァルメリドさんが爆発に巻き込まれていた。


しかし、このタイミングでヴァルメリドさんと遭遇出来たのは僕達にとって渡りに船とも言える出来事だったと言えるかもしれない。


……仮に、今の爆発を受けたうえでヴァルメリドさんが生きてさえ居てくれればの話にはなるけど。


「ぷはっ!……俺様じゃなきゃ死んでたぜ!」


あ、生きてた。


良かった良かった。


じゃあ……


「ヴァルメリドさん……いきなりで悪いけど、僕達の窮奇討伐を手伝ってくれないかい?」


「………はぁ?……アーサード、お前が俺様に物言える立場かよあぁん?」


おっと……


窮奇討伐の手助けを頼んだら、普通に拒絶されてメンチも切られたね……


いやまあ、鎧で目とか見えないけど言動からして絶対メンチ切ってるよあれ……


「ど、どうして断るんだい?……ヴァルメリドさんにとっても、悪い話じゃ……」


ードッカァァァァン!


「悪い話だろ。……何せ、どうせお前等の事だから俺様は添え物が関の山だ!……あくまでも、俺様はメイン火力として暴れてぇんだよ!」


ードッカァァァァン!


「ならそれで良いから!」


ードッカァァァァン!


「……え、俺様がメイン火力で良いのか?……ぶっちゃけ、最強の技はさっき使っちまったから使えねぇぞ?」


……ああ、その辺は既に知っている。


だけど、ここはヴァルメリドさんと共闘関係を築いておきたい。


……それにしても、さっきから爆発の音が結構邪魔なんだけど!?


「そうは言っても、メイン火力にしないと共闘してくれないんだろ?……だったら、僕達が折れるしかないじゃないか……」


「そ、それはそうなんだが……あ~、うん……俺様、別にサブ火力でも別に良いぞ?」


ードッカァァァァン!


「……メイン火力だのサブ火力だの、ヴァルメリドさんはいったいどうしたいのかな!?」


ードッカァァァァン!


あ~もう爆発が煩い!


……ん?


何か、よく見ると窮奇の様子がおかし……


ーブチブチブチッ!


「ggg……grugaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!」


ーボゴォォォォォォォォォォォォォォォォォ!


「ハ~ッハッハッハ☆!……爆弾投下一旦辞め、ここは逃げるんだよ☆!」


ーバサッ!バサッ!バサッ!


……い……


「……窮奇が怒ったのか、普段より威力マシマシなブレスを上空で飛んでるグロサリーヌさんへ向けて放ってる……僕達、あんな窮奇を見るの多分初めてかもしれないんだけど……」


「……けれども、地べたを這いずる蟻んこなんかより、自身の周りを飛び回る蜂や(アブ)の方がイライラするって気持ちは死ぬ程に分かりますわ……」


「お、今なら窮奇の奴も下がガラ空きだし、何より爆弾投下までストップしやがった!……これなら俺様だって戦えるぜ!」


窮奇は疑似クラスター爆弾を投下しまくるグロサリーヌさんにブチ切れて、いつもより威力マシマシなブレスを上空に放っていた。


対するグロサリーヌさんも爆弾投下を辞め、道化竜を使って縦横無尽にブレスを避けまくっていた。


……つまり、今が僕達にとってのチャンスだと?


「しかし、現状唯一の問題点は僕達が窮奇に効く攻撃手段を保有していないという事だ。……現に、ネカマレードのユニークスキルですら窮奇の肉体には傷1つ付いていないじゃないか……」


幾度となく観察して分かった事だが、窮奇の鱗はかなり硬い。


それこそ、例の将軍竜の外皮よりも硬いのだろう。


今まで、マトモにダメージが入った事はなかった。


「ハァ……んじゃ、どうするつもりだ?……言っとくが、俺様にマトモな案なんてねぇぞ?」


(わたくし)もですわ!」


「僕もだよ……」


恐らく、僕のユニークスキルで出せる最大限の攻撃を出しても勝てる気はしない。


何せ、それは雲隠れ前の時点で既に実践済みだからだ。


……さてさて、どうしたものか……


そう、僕が悩んでいると……


『おやおやおや~?……プレイヤーの皆さん、窮奇相手にどん詰まっちゃってる感じかヨ~?』


「「「っ!?」」」


突然、その場に誰かの声が響いた。


……なのに、僕達はこの声を知っていた。


『ただま~、[ワールドエンド・ユニークモンスター]は霞サンがこのゲームで最も理不尽を詰め合わせた存在だから仕方なくはあるんだけどヨ?』


「……やっぱり、ラビリーの声だ!」


「え、ラビリーってレイドイベントの途中で運営チームから脱退したんじゃないんですの!?」


「……それがどうして、また性懲りもなく俺様達に介入して来やがる?」


謎の声は、どう聞いてもラビリーの声だった。


……ただ、ラビリーは既に運営チームを抜けて……


『こほん!……皆さんの疑念通り、今のアテシは運営チームの一員じゃないヨ。……今のアテシは、運営チームを抜けて()()()()()()()()()()()()()()()()()()()A()I()……()()()()()()()()()()様だヨ!』


「「「……ハァァァァァァァァァァ!?」」」


突如として発表された謎の報告に、僕達は声を合わせて叫んだ。


……いやはや、何がどうなってるんだい!?

ご読了ありがとうございます。


ラビリー、渾沌の艦長に再就職!


気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。


後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。

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