33.乱打羽は考える
はい、宰相竜戦です。
(一方その頃、鋼村 乱波視点)
「あァもう、どうなっとんじゃごらァァァ!」
オレ達がレイドイベントに挑戦してどれだけ経ったろうなァ……
多分、もうリアルは夕方なんだろうなァ?
……ご丁寧に、イベントエリアもどんどん暗くなって行ってらァ。
けど、これはマズい。
「おい、どんどん暗くなってるぞ!」
「このままじゃ視界が塞がれる!」
「誰か、照明系のスキル使える奴は居るか!?」
基本的に、このゲームじゃ夜の視界で見える景色は現実よりちょい明るい程度でほぼ同じだァ。
だからこそ、夜闇の中での戦闘は困難を極める。
「くっ……ただでさえオレじゃ肉盾になるのがやっとだってのにィ……あの上澄み共ですら、この魔法の絨毯爆撃を掻い潜って攻撃するには火力不足になるとはなァ……」
囮役のオレは【不死喧嘩】で他のプレイヤー共の肉盾になってたが、あまりにも火力不足感が否めねェ。
いや、ここに居るプレイヤー共は四大クランを除けば充分上澄みに入れる奴等なんだがなァ……
……それでも火力不足とか、ふざけんなよォ?
とか心の中で悪態をついてると……
「ガガガ……」
ードンガラガッシャァァァァァン!
「チィッ!」
「「「「「うぎゃぁぁぁ!?」」」」」
肝心の敵……才智が、即死級の雷撃を繰り出して来やがったァ!
「くっ……ここはひとまずMP回復が先決かァ……ごくごく……ぷはァっ!」
他のプレイヤーが死んでリスポーン先に転送される中、オレはインベントリからMP回復ポーションを取り出し即座に飲んで再生用のMPを補充したァ。
……にしても、重ね重ねマズい。
「才智から繰り出される攻撃は業火、洪水、雷撃、竜巻、岩石飛ばし、その他諸々……規則性も何もあったもんじゃねぇなァ、このクソゲーがァっ!」
才智が繰り出す魔法に規則性はねェ。
常に何かしらの魔法を放ち、自身へ攻撃はおろかプレイヤー1人すらも近付かせねェ……
これだけの敵に何の攻略法も存在しねぇとは思えねぇが、その攻略法が皆目見当もつかねェ!
考えろ、考えろォ……
そう、切羽詰まってた時だったァ。
「……よう、乱打羽の嬢ちゃん。……どうやら俺様の手も借りてぇって感じか?」
「あァ?……チッ、ちょい前から愚弟によく絡んでるヴァルメリドとかいうプレイヤーかァ……」
特徴的な黒いプレートアーマーに金色のハルバード……
前、愚弟に絡んでたヴァルメリド?とかいうプレイヤーが話しかけて来やがったァ。
と、そいつを見た他のプレイヤー共がァ……
「っ!?……おい、ヴァルメリドが居るぞ!」
「なっ……あの情報ってデマじゃなかったのか!」
「あのアーサードやヘビイチゴと並んで"三強"と称される強者プレイヤーじゃないか!」
「よっしゃ勝ち確~!」
……なんて、騒ぎ始めやがったァ。
「お?……俺様、思ったより有名人なんだな?」
「白々しいなァ……んな事よりテメェ、確か[黒塗旅団]は不参加って宣言してなかったかァ?」
「団長の方針なんぞ知るか!……俺様は俺様の道を行くんだよ!」
「……ったく、何でも良いから取り敢えずオレの邪魔だけはすんじゃねぇぞォ?」
「俺様だってそのぐらいは分かってらぁ!」
……ふゥ……
結構面倒な奴とかち合っちまったが、何事も前向きに考えてみようかァ……
「おい、ヴァルメリド……テメェの実力なら、こいつも倒せそうかァ?」
「あ?……う~ん、俺様があのドラゴンへ攻撃さえ当てれれば勝ち筋も見えるだろうが……現状、その前に死ぬ可能性がデカいなぁ……」
「やっぱりかァ……んじゃ、オレが肉盾になってやるから行くぞォ?」
「ハァ?……肉盾って、俺様達があいつの所へ到着する前に死んで終わりだろ?」
……おっと、こいつオレを過小評価してやがるなァ?
オレはそう簡単に沈まねぇよォ?
「生憎、オレには【不死喧嘩】ってユニークスキルと大量のMP回復ポーションのストックがあるんだよなァ……」
「そんなの俺様でも知ってるに決まってんだろ!?……だが、それを差し引いてもだなぁ……」
ん?
知った上でその評価だとォ?
馬鹿にしてんのかァ?
「いやいや、オレを馬鹿にし過ぎだろォ!……オレがその気になれば、肉盾になるぐらい簡単に……」
オレは反射的に、肉盾になるのが簡単だと言いかけて才智の方を見たァ。
そこでは……
「ガガ……ガ……」
ーボォォォォォォォォォ!
「うぎゃぁぁぁ!」
「熱いぃぃぃぃ!」
「死ぬぅぅぅぅ!」
……才智に群がろうとしたプレイヤー共が、放たれた業火にやかれてたァ……
いやでも、あのぐらいならァ……
「ガ……ガガ……」
ーバッシャァァァァァァァァァン!
「うぎゃごぽっ!?」
「ぷはっ……ごぼっ……」
「ごぽごぽごぽ……」
こ、今度は洪水による水攻め……
「ガガガガガ!」
ーピシピシピシ……ピキィィィィィン!
「ひゅっ……」
「さぶっ……」
「カチコチだ……」
かと思えば、洪水ごと氷漬け……
「ガ~ガガガ……ガガガ……ガ~ガガガ!」
ーブワン……キュルキュルキュルキュルキュル!
「ぶ、ブラックホールだぁぁぁぁぁ!」
「吸い込まれぶぎゃっ!?」
「い、引力に逆らえなべしっ!?」
で、挙げ句の果てにブラックホール……
「タイム……あんな理不尽、どうやって近付けば良いってんだァ?」
「俺様が知るもんか……ただ、魔術師相手に立ち回る心得はあるぜ?」
「へェ~、そりゃ何だァ?」
「発動する前にぶっ潰す!……俺様はこれで何体も魔術師型のモンスターや賞金首を倒して来たぜ?」
「うんうん、そうかァ……却下ァ!」
駄目だこりゃァ……
脳筋と脳筋が話しても、見事なまでに馬鹿な解決策しか出て来ねぇんだよなァ……
「却下って……俺様の案の何が悪かったんだ?」
「そんなの簡単な話だァ。……才智は常に魔法を発動してるから、魔法の発動前って段階が存在してねぇんだよォ」
「あっ……そりゃ盲点だったなぁ……となると、俺様に出来る事は皆無か……」
「諦めんなァ!……テメェが愚弟に匹敵する実力を持ってる以上、ここで諦められたら困るんだよォ!」
現状、ヴァルメリドがこの才智の戦場の中で最も火力が高ぇプレイヤーだァ。
そんなヴァルメリドに諦められたら、もう勝ち目なんて一切見え……ちょっと待てェ。
「……ヴァルメリド、質問良いかァ?」
「んあ?……俺様に分かる事ならな?」
「あァ~……ひとまず聞くが、才智のMPっていつ尽きるんだろうなァ?」
「へ?……そりゃまあ、俺達がそうなる様にいつかは尽きるだろうが……このまま才智のMPが切れるのを待つって案は、いささか無理な話だと思うぜ?」
そう、才智は常に魔法を使ってる分、MPの消費だって激しい筈だァ。
だってのに、未だにMP切れの兆候すらねェ。
……それ程までに底無しのMPが有るのか、はたまた何かしら外部からMPを補給する手段があるのかァ……
もっとも、前者ならどうにもならねぇし、後者だとしても何も分からなくて八方塞がりと来たァ……
「……ならオレが肉盾になって庇いつつヴァルメリドを才智の前まで連れてくかァ?……いいや、殆んどの魔法はともかくブラックホールを出されたら庇い切れねェ……」
「乱打羽の嬢ちゃん?……お~い、聞こえてるか~?」
「魔法と魔法の途切れ目は一瞬だろォ?……どれだけ頑張ろうと、そんな短時間じゃ攻撃すら与えられねェ……」
「駄目だ、俺様の声なんて聞こえちゃいねぇ……」
ヴァルメリドを才智の前まで連れてければ、勝機は必ずあるってのにィ……
……もうアレコレ考えるのも面倒臭ェ……
「ヴァルメリド、1回試しに突っ切るぞォ!」
「……遂に自暴自棄になっちまったっぽいが、俺様としちゃそういうの大歓迎だぜ!」
「ケッ!……これだから脳筋はァ……」
「お?……その言葉、俺様へ言う前に鏡でも見て言ったらどうだ?」
あ~もう、煩ェ!
さっさと特攻して玉砕してやるかァ!
「そうだなそうだなァ……何でも良いから、オレの背後から出るんじゃねぇぞォ!」
「……絶対俺様の話なんて聞いちゃいねぇな……」
もう、互いに互いの言葉なんて詳しく聞いちゃいなかったァ。
ただ、オレもヴァルメリドも……無心で突っ切る事に、1度賭けてみる事にしたァ。
「んじゃ、よ~いドンで突っ走るぜェ!」
「それは俺様も異議なしだぁ!」
こうして、オレ達による一か八かの特攻作戦が幕を開けたァ。
……さてと、どうにか才智の前まで行けりゃヴァルメリドのユニークスキルでジ・エンドなんで、辿り着けるかどうかが運命の分かれ目だなァ……
ご読了ありがとうございます。
いうて、次話にはケリがつきます。
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後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。




