20.賽子丁子は言い当てる
どうせ読まれないし、ノリと勢いで書いてます。
(源徳 村雨視点)
「……で、どうする?……僕としては、あまり皆さんを巻き込みたくないと思ってるんだけど……」
「いんや、オレの中じゃこいつ等を連れてくのは決定事項だァ!……ってか、どうせ死んだって損はしねぇイベントなんだし、役得だと思って来いよォ」
「……って、姉さんが言ってるんだよね……」
……いやだからどうしてそこまでして俺達を連れて行きてぇんだよ!
そこが分からねぇからこそ、簡単に行くかどうかの判断も出来ねぇんだし……
「……なあ、一緒に行くかどうか決めるにあたって、俺から2つ聞いても良いか?」
「ん?……何が聞きてぇんだァ?」
「まず1つ目は、どうやって[竜の都 ドラゴネリア]まで行くつもりだ?……まさかとは思うが、アーサードさんとパーティーを組んでワープするとか言うつもりじゃねぇよな?」
「いいや、そのまさかだがァ?……だいたい、それ以外に方法なんてねぇだろうよォ?」
「……また後々面倒になりそうな手段だな……」
……まず聞いたのは、どうやって[竜の都 ドラゴネリア]まで行くつもりなのか、だった。
そもそも、この始まりの街はアルケニカ王国の中心に位置していて、対する[竜の都 ドラゴネリア]は最北端。
加えて、アルケニカ王国は前世の日本と同じ様な面積であり、その形状は円形に近かった。
つまり、ここと目的地には相当な距離がある訳だ。
……そして、そんな長距離を今から移動するとなると、ワープ機能ぐらいしか思い付かない。
というのもこのワープ機能、1度行った街へはどれだけ遠くても瞬時に行けるだけでなく、パーティー内に1人でも目的地へ行った事があるプレイヤーが居れば全員でワープが可能という、このゲームにしては珍しく便利な機能だったのだ。
……だからと言ってアーサードさんと臨時パーティーを組むってのは、後々面倒事へと発展する予感しかしねぇんだよな……
「ま、愚弟とパーティー組んだせいで面倒事になっちまったらオレがどうにかしてやらァ!」
「期待はしねぇでおくよ……後、もう1つの聞きてぇ事なんだが……俺達みてぇな雑魚を攻略最前線へ連れて行って、マジで何させるつもりだ?」
正直に言って、さっきの質問は極端な話どうでも良かった。
1番気になってるのはこっちだ。
「それ、そんな気になる話かァ?」
「気になるだろ。……行ったところで戦力にならねぇのは確定だぞ?」
攻略最前線の噂は耳にしている。
今俺達の目の前に居るアーサードさんですら、度重なる敗北で逃げ出す程の魔境だ。
……そんな地獄みてぇな場所へ連れてくとか、乱打羽さんは鬼か何かか?
そう心の中で悪態をついていると……
「……乱打羽はん、ホンマに色々説明してへんのやね?」
「あァ?……回りくどい説明なんて話をややこしくするだけじゃねぇかァ」
「やからって、説明せんのも不親切やで?」
「うっ……ぐぬゥ……」
……もう帰って良いか?
良いよな?
「ハァ……話は終わったか?それなら帰らせ……」
「あァ?……いっぺん死んでみるかァ?」
「……じゃあもう端的に言ってくれ!」
「テメェ等、今からアーサードとパーティー組んでイベント参加しやがれェ!話はそれからだァ!」
「あまりにも雑に纏めやがった!?」
……んで結局、その直後にアーサードさんとパーティーを組まされた挙げ句[竜の都 ドラゴネリア]までワープで連れて来させられた。
正直、俺達に拒否権なんてなかった。
で、時は戻ってイベント開始直後……
「うわァ……軽く数十万人はプレイヤーが集まってやがるなァ……」
「とはいえ、殆んどは僕達みたいに蟻同然に蹂躙されるだろうけどね?」
「あ、言うてるそばから死んでってるわ」
「プレイヤーがゴミの様だね☆」
「……え、私達もあの中に入るんデッスか?」
「俺、すぐ死ぬ自身あるわ……」
高台から戦場を見下ろしていた俺達は、軽く数十万人は居るであろうプレイヤーが竜の軍勢に突撃していく様子を眺めていた。
……案の定、こうしている間にもプレイヤー共はどんどん死んでたが。
あ、この際だからここ1週間で知ったイベントの内容について考えとくか。
とはいっても、特筆すべき点は4つだけ。
・イベント中はイベントエリアでのバトルに限り、死んでも所持品をロストせずにリスポーン可能。
・開催期間は最大で1週間。
・レイドイベントは窮奇と4重臣を倒した時点でクリア扱いとする。
・レイドボスを攻撃するだけで、ドロップ品が入手可能。
この4つだけが、事前に公開されていた情報だった。
……にも関わらずだ。
「何というか、腕に自信がある筈のプレイヤーですら瞬殺されてるのを見るに、私達が生き残れるとは到底思えないんデッスが?」
そんなイベント内容が霞む程に、戦う敵の強さが限界突破してやがるのはどういう事だ?
……やっぱりこれ、生き残るの無理じゃねぇか?
「そこをどうにかするんがウチの役目や。……あ、その前に皆、これでリスポーン地も更新しときや?」
ースッ……キラ~ン
「……えっと、何だこれ?」
エンムスビの質問はひとまずスルーされちまったが、それはそれとして賽子丁子さんが何か変な物体を出したぞ?
具体的に言うと、宙に浮いてる水色の球体型ホログラムっていうか……
「これが何かやって?……調べたら分かるけど、まあ即席のセーブポイントみたいなもんや」
「……そ、そんなのあるのか……」
「ちゅうても普通にプレイしてたら手に入らんアイテムなんやけどな?」
「……どういう事だ?」
普通にプレイしてたら手に入らねぇアイテムって何だ?
課金か?
いやでも今の時点で課金要素があるなんて聞いた事は……
「念のため言っとくが、課金要素じゃねぇぞォ?……これは各街にある賭博場で、景品として貰えるアイテムなんだよォ」
「なるほど、そういう事か……」
……うん、この話は深掘りしねぇぞ?
どうせ賽子丁子さんがギャンブルに勝って入手したとかそんなんだろ。
「まあまあ、その辺りの話は置いといて……そろそろ、あんた等を戦力として数えれる様にしたるわ」
「……もう何でも良いから早くしてくれ」
こうしている今も、プレイヤーが竜の軍勢に挑んで玉砕してる。
……だって、見るからに強そうなドラゴンが沢山、それこそ蝗害時のバッタってレベルの大群で押し寄せて来てるんだからな……
「そう急かさんといてな……ほな、【丁半勝負】と行きましょか!」
ーパンッ!パチリ……
「っ!?」
賽子丁子さんは【丁半勝負】と言って手を1回叩き、糸目だった両目を見開いた。
すると……
ードロッ……
『【丁半勝負】の開始宣言を確認……願いを言ってください』
何だか黒い泥みてぇな物体が人型になり、願いを言えと要求して来やがった。
「要求は……ムラザメはん、エンムスビはん、グロサリーヌはん、乱打羽はんの4人を、この戦場で通用する強さにまで引き上げてくれへんか?」
『……願いを受諾、4組当ててください』
ーカラカラカラ……
賽子丁子さんが願ったのは、アーサードさんと自身を除いた俺達4人の強化。
そしたら何と次の瞬間、人型の泥が2つのサイコロをツボに入れ、振り始めたのだ。
しかも……
『『『『丁か半、選んでください』』』』
ータンッ!
いつの間にか泥は4人になっており、ツボも4つに増えていた。
……これで丁半勝負をしろってか?
「2つのサイコロの出目の和が偶数なら丁、奇数なら半だっけか……」
「せやな~。……左から半、丁、半、半、でどうや?」
丁半勝負ってのは、2つのサイコロの出目が偶数か奇数かを当てる賭け事だ。
当然、リアルの世界で金を賭けてやったら違法になるが……この人、流石にリアルで金を賭けてやったりはしてねぇよな?
とか何とか俺が思ってる内に、賽子丁子さんは答えを出していた。
『『『『……お見事』』』』
「うんうん、最近はツイとるさかい驚きはないわ~」
結果は的中。
4つ、全てを言い当てた。
と、その直後だった。
ーピロリン♪
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[状態異常が付与されました]
状態異常名:賭博景品
効果:願いに応じたバフ・デバフを付与。
今回は攻撃力、防御力、素早さ、HP、MPを最大限上昇させるバフの付与を実行。
ただし、副次効果としてモンスターから優先的に狙われる様になる効果も付与。
また、本効果は死んでも解除されないが、1時間ごとに丁半勝負をして持続時間を更新する必要がある。
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「……………は?」
「何デッスか、これ……」
「ふむふむ☆……つまり、ボク様達もこの戦場で戦えるだけの力を得たと☆?」
「ほんと、いつ見てもインチキみてぇなユニークスキルだよなァ……まあその分、負けた時のしっぺ返しがエグいんだがァ……」
「その心配はせんでエエ!……だって今のウチ、最高にツイとるんやもん!」
……賽子丁子さんによって付与された、ヤバいクラスのバフ。
確かにこれなら俺達でもこのレイドで戦えるかもしれねぇが……このバフ、俺達じゃなくてもっと強いプレイヤーにかけるべきなんじゃ……
って、よく見りゃ何だこのモンスターから優先的に狙われるって!
「ほな、皆には囮やって貰おか?」
「だなァ!」
「クソが!これが狙いかよ!」
最終的に分かった俺達の役割は、よりにもよってモンスターを引き付ける囮だった訳だ。
……俺達、今からでも帰れねぇかな?
なんて、無理だよな……
ご読了ありがとうございます。
言っても、主人公勢は全体で見るとあまり役に立てません。
気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。
後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。




