表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/21

2.村雨は選択する

主人公、登場です。

(源徳 村雨視点)


「……うん、分かりやすく混沌(カオス)だな……」


……俺は、3ヶ月前にサービス開始した〘厄災のアルケニカ〙炎上騒動の情報に目を通しながら、そう呟いていた。


「ま、それでも前世の世界で出てればまだ何とかなってたか?……いや無理だろうな」


さて、突然だが俺には前世の記憶がある。


つっても、ここより科学技術で劣る世界で何も成せずに死んだってだけの特に語る事もない人生だったがな。


かといって、この世界に転生しても良い事なんてなかった。


「……思い返せば俺の人生、碌でもねぇな。……前世は言わずもがな、今世だって生まれはチートだった筈なのになぁ……」


……俺の今世は、普通に考えれば勝ち組の血統だった。


そう、勝ち組だったんだ……


そもそも俺の生まれである源徳一族は、前世の日本によく似たこの国……ヤマト国において絶大な影響力を持つ一族だった。


というのも、政治家だった若き頃の曾祖父がハーレム法なんてものを作り、それを用いて一族を増やしまくって各界にパイプを増やしまくったのだ。


今のヤマト国内閣総理大臣は源徳一族の人間だし、政界・財界・芸能界等はもう完全に源徳一族の傀儡同然と化しているらしい。


けどなぁ……


「……なんて、俺には関係ねぇのにな……」


俺はそんな一族でも落ちこぼれだった。


学生時代の成績は可もなく不可もなく、身体能力も特別秀でてはいなかったが悪くもなかった。


普通の家庭ならきっと、何だかんだ社会人としてやれただろう……


が、そんな中途半端な才覚の人間を源徳一族の一員として社会に出すのは一族の沽券に関わる事態だったらしい。


「あ、坊っちゃん坊っちゃん!……届いたVRゴーグルどうしちゃいマッスか?」


「あ、その辺にでも置いといてくれ」


俺は身の回りの世話係として1人のメイドだけを与えられ、山奥の別荘で蟄居(ちっきょ)する様に言われちまったからなぁ……


多分、俺は一族の弱みとでも判断されたっぽい。


「……あ~、坊っちゃん?……あんまり気落ちしないで欲しいデッス!」


「おう、慰めありがとな。……後、この短期間でお前が俺に割り当てられた理由も何となく分かって来たぞ。……何なんだその口調!」


「キャラ付けデッス!」


「……それで左遷されてちゃ世話ねぇだろ……」


「ごもっともデッス!」


俺の世話係を任せられたメイドこと朝川(あさかわ) (ゆかり)は、黄緑色のボブヘアが綺麗な美少女で、年齢は俺と同じく高卒(・・)ってところだ。


……普通にしてりゃそこそこ良いところで働けただろうに、変にキャラ付けしてこのザマとか。


本当に哀れだな……


「ま、それは良い。……俺だって、高校卒業した瞬間にコレだからな……この先は種馬としての生涯しか残されてねぇんじゃねぇか?」


ま、俺の人生も大概だろう。


……このままだと俺、死ぬまで源徳一族の血筋を繋げるための種馬扱いされるの確定だし……


「あ、すぅ~……ドンマイとしか言えないデッス」


「それ言われるぐらいなら何も言われなかった方がマシだったがな!」


「ごめんデッス!」


……あ~もう、何だこの時間。


さっさと話を進めるか。


「ハァ……じゃ、どうせ暇だしVRゲームでもするか?」


「あ、良いデッスね!……でも、何をしマッスか?」


「そうだな……〘ペルカの伝説〙か〘アメンボブラザーズ〙なんてどうだ?」


「お~、不朽の名作として名高い有名ゲームのVRリメイク版デッスね!」


「ああ、そうだ」


前世の世界にも似た様な作品はあったが、こっちだとだいぶ毛色が変わってるんだよな……


ってか何だよ、アメンボブラザーズって……


「でもでも、私は〘厄災のアルケニカ〙なんて良いと思うのデッス!……ほら、今だって坊っちゃん見てたじゃないデッスか!」


「あ?……これ炎上騒動の記事見てただけで、やるだなんて一言も……」


「え~、やりマッスよね~!……私、これやりたくてやりたくてウズウズしてたんデッスよ!?」


「こ、この全世界で300万人しかしてないゲームをか?」


「そうデッス!」


全世界で300万人……


一見すると多いかの様に錯覚するが、この世界も前世と総人口はそう変わらないので実際はヤマト国の人口にすら届いていないのが現実だ。


……それでも、充分売れてるんだよな……


「ほんと、何がそこまで面白いんだか……ゲームバランスは崩壊寸前、ストーリーもありきたりどころか微妙……システム面は評価されてるが、あまりにも他が駄目駄目過ぎだろ……」


「フッフッフ……坊っちゃんは知らないんデッスね!」


「何をだ?」


「最適化されてて、かつバグらない高グラフィックは正義なんデッスよ!」


「それにだって限度があるだろうよ……」


とはいえ、それが人気の秘訣でもあるんだろう。


実際、それまでのVRゲームは何処か作り物感が強過ぎたらしいからな……


でも俺、あんまりリアル過ぎない、普通にゲームって感じの絵面の方が好きなんだがな……


「ま、物は試しデッス!」


「そうは言うが、肝心のゲームカセットがなきゃプレイは……」


「そう言うと思って、2人分既に買ってマッス!」


「……つまり、先走ったんだな?」


「はいデッス!」


……一応、VRゴーグル買ったのは暇潰しのためなんだがな?


何で世話係の縁まで買ってたのかは謎だが。


……まあ良い。


「ハァ~……どうせ暇だし、やってやるが……俺は飽きっぽいからな?」


「多分ハマりマッス!」


「何処から来るんだ、その自信……」


「ここからデッス!ふんす!」


ーポン!


……縁はない胸を叩き、自信の出所を示す。


「……じゃ、俺は自室でVRゴーグル被っとくからそっちはそっちでやっとけよ……」


「分かりマッシた!」


「……やっぱ言いづらいだろ」


「キャラ付け失敗を後悔してマッス!」


……ったく、本当に仕方がねぇな……


ま、どうせ暇だしやってやるか……



で、VRゴーグルを持って自分の部屋に行った後……


「……やっぱり、これ被って寝てるだけでゲームが出来るとか、充分ラノベの世界なんだよな……」


俺だってこの世界で20年近く生きて来たからこの程度の反応で済んでるが、元の世界じゃ絶対にあり得ねぇ事なんだよな……


……うん、ヤバいな……


「まあ今の俺にとっては大した話でもねぇし、ちゃちゃっとログインしてさっさとキャラ作って軽く遊んでみるとするか……」


ーカチャッ……


そうして俺はVRゴーグルを被り、ベッドに寝転んでゲームを開始した。








『キャラクターをクリエイトして欲しいヨ』


「うおっ……何だ?」


……ゲームを起動した俺は、気付けば真っ白な空間に立っていた。


『キャラクターをクリエイトして欲しいヨ』


「あ、分かった……えっと、種族は人間で髪色を白に変えて口回りには布を巻いて……よし、最後にプレイヤーネームをムラザメにして……っと、こんなところか」


俺は元の肉体をベースに最低限身元が分からない程度の改変を加え、早急にキャラクリを終えた。


『では、次はジョブ選択とステータス比率の割り振りをして欲しいヨ……霞サンのせいでグラフを操作するだけなのは勘弁して欲しいけど』


「お、おう……」


どうも、内部の統制はとれてなさそうだな……


……それより、あの霞って人も源徳一族の筈なんだが、雇われてるって事は少なくとも俺よりは役に立つって判断された訳か……


地味にキツいな。


『ん?……どうかしたヨ?』


「……いや、何でもねぇ。……あ、ジョブ選択とステータス設定も終わったぞ」


俺はジョブを盗賊(シーフ)にし、ステータスは素早さへと優先的に割り振った。


なお、他の値は攻撃、防御、HP、MPといったところだったが、次点で優先したのはHPだった。


『ふむふむ、このキャラクターで良いかヨ?』


「ああ、頼む」


こうして、俺はキャラクター設定を終えてゲーム世界へと足を踏み込む事となる。


……発売から3ヶ月経ち、ゲームバランスが崩壊しまくっている混沌(カオス)な世界へと……


『それじゃあ、最後に利用規約を読んで欲しいヨ』


「あ、はい……」


もっとも、足を踏み込むのはもう少しだけ先になりそうだが。

ご読了ありがとうございます。


この作品に登場するラビリーは、ただのAIじゃありません。


気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。


後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ