11.乱打羽は持ちかける
現在0pt、流石に凹みますね……
(源徳 村雨視点)
俺達が教会を後にしてから数分後……
「……ハァ~、さっきは気まずかったな……」
「まさかポーションの納品に出くわすとは思いマッセんデッシた……」
「まあ、ポーション開発は聖職者系ジョブを選んだプレイヤーの間で人気の内職だからね☆!……教会へのお布施が無意味な事なんて周知の事実さ☆!」
「だからってな……」
一応、ポーションは教会も作っているらしいのだが、それよりも圧倒的に聖職者系プレイヤーからの供給が大きいのだ。
それこそ四大クランなんて、ポーション製造を担当するだけのプレイヤーを抱えているとか何とか……
……俺達もそういうプレイヤーを抱えれりゃもうちょい楽なのにな……
そう思っていると……
「よォテメェ等ァ、さっきぶりだなァ!」
「うおっ!?」
「ふぁっ!?」
「ふむ☆?」
突然、背後からさっき聞いたばかりの声に呼び止められたのだ。
で、反射的に振り返ると……
「おォ?……何だァその鳩が豆鉄砲食らったみてぇな顔はァ!」
「姉さん、基本的にその反応が普通ですからね?」
「い、いや……乱打羽さんにウサちゃんさん、何か俺達にご用でも?」
……そこに立っていたのは、先程会ったばかりの乱打羽さんとウサちゃんさんだった。
「あァ悪ぃ悪ぃ……ちょいとテメェ等の事が気になってなァ!」
「後、このウサちゃんというプレイヤーネームはこの着ぐるみ装備に付属されてるスキル、【名称偽装】の影響であって僕のプレイヤーネームは別にあるからね?」
「あ、そうなのか……」
えっと、乱打羽さんは俺達が気になってて、ウサちゃんさんのプレイヤーネームは別にある……
いきなりぶっ込み過ぎで訳が分からねぇよ。
「にしても、まさかテメェ等がパーティーだったなんてなァ!」
「ん?……あれ、会った事なんてあったか?」
「ほらァ、あの自爆ゾンビ戦法中に回復提案したプレイヤー居たろォ?……それ、オレなァ?」
「そういや、そんなプレイヤーも居た様な……って、マジか……」
何人も居たプレイヤーの内の1人なんて気にしてなかったから、全く覚えてなかったな……
「そォ~そォ~!……って、んな事はどうでも良いんだよォ!……それよりテメェ等、見るからにポーションを定期的にご所望っぽいなァ!」
「ま、まあな?……一応、急ぎで欲しいって訳じゃねぇんだが……」
……何だか、嫌な予感がする。
具体的に言えば、押し売りに似た様な……
「なァなァテメェ等、もしオレが今後瓶詰めポーションを定期的に1本100Gで直売りしてやるって聞いたら買ってくれるかァ?」
……ほら、やっぱり。
「……何だと?」
「どういう事デッスか?」
「ほう☆……」
「ハァ……本当に姉さんは……」
当然、乱打羽さんの提案に俺含め全員が複雑な反応をする。
……ただ、何で俺なんだ?
「なあ、その提案ってそっちには何のメリットがあるんだ?」
「……50Gだァ」
「は?」
「瓶詰めポーションの納品で教会からオレに払われる報酬はポーション1本につき50Gだってのに、教会からプレイヤーに対して売られる時の値段はポーション1本につき100G!……しかも瓶詰めポーション1本作るのにかかる材料費もちょうど50Gって有り様だァ!」
お、おう……
「でもまあ、そうでもしなきゃ教会も利益が出ねぇ訳だし……」
「それはそうだが、そんならオレだって直で100Gの瓶詰めポーション売って50Gの利益を出してぇんだよォ!……つう訳で、オレと取引しねぇかァ?」
「えぇ……」
「んだよォ、その嫌そうな反応はァ!」
まさかの生産者が利益総取りしてぇって……
普通、販売担当にも利益が出るのが普通……というか、それ含めての値段だろ!
「流石にそこへ100Gは不公平だろ。……教会が黙ってねぇんじゃねぇか?」
「あァ?……別に良いだろォ?」
「良くねぇよ!……いくら新人プレイヤーの俺だって、事前に調べてよ~く知ってるんだ!……ポーション開発は教会の許可がねぇと出来ねぇし、許可を受ける代わりに一定数のポーションを教会へ納品する必要もあるし、何より同パーティーや同クランのメンバー以外への譲渡及び販売も禁止されてるってな!」
……そう、このゲームにおいてポーションは大変面倒なアイテムなのだ。
ポーション開発には教会の許可が必要で、許可を受けても一定数のポーションは教会へ納品しなきゃならねぇ。
あの四大クランのポーション開発担当プレイヤーですら、そうしてるって愚痴を見かけた事がある。
だからこそ、教会を抜きにして100G販売は教会に何を言われるか分かったもんじゃねぇ。
……その上で、だ。
「あァ?……んなもんテメェ等が黙ってりゃ……」
「バレた時が怖いんだよ!……ってか俺達からしたら値段は同じなんだから、そんなリスクを負うぐらいなら普通に教会で買うわ!」
そう、何よりこの提案には俺達へのメリットがねぇ。
それにこの提案を受けた日にゃ、教会はおろか他の聖職者系プレイヤーからも怒りを買いかねねぇって不安もある。
……何せ、彼・彼女等はせっかく50Gかけて作ったポーションをただただ消費するか材料費と同じ値段で教会へ納品するかしか選択肢がねぇんだから……
「ぐぬゥ……だったらオレがパーティーに入ってやらァ!……それでも駄目かァ?」
「駄目なものは駄目だ!……もういい加減、他を当たってくれ!」
最後にはパーティーへ入るとまで言い出したが、俺は断固として拒否した。
……うん、後でこいつは教会へ通報しておこう。
なんて、思ってたら……
「……おい愚弟、こいつ等連れてくぞォ!」
「え、姉さん!?……いやだって、この人達……」
「そォ、拒否しやがったァ……つまり、そういうこったァ!」
「……ハァ……すみません、大人しく僕達と一緒に来てくれないかな?」
……あ?
これ、何かマズくねぇか?
「ふぅ……グロサリーヌ様、こいつ等をコテンパンにして……」
「いいや、ここは一緒に行くのが得策そうだ☆」
「ハァ!?……え、マジで言って……」
「ムラザメさん、知ってると思いマッスが街の中はセーフゾーンなのでバトルは出来ないデッス……けど、元のフィジカルに任せた肉弾戦は出来るんデッス……」
「だからどうした?」
街の中はセーフゾーンとは聞いていたし、元のフィジカルに任せた肉弾戦が可能なのも事前に聞き及んではいた。
……その何が問題だって……
「おうおう、自慢じゃねぇがリアルのオレは元レディースでなァ?……かつて不良だらけの高校で最強張ってたんだわァ」
ーコキッ……コキッ……
おっと、乱打羽さんが武勇伝を語りながら指をコキコキ鳴らし出した。
「すぅ~……優しく殺してくれ……」
「いんや殺さねぇよォ?……ま、話は向こうでだァ」
「わぁ……」
そうして、俺達は連行された。
……いったい俺達が何したってんだ!
で、人気のない廃屋にて……
「ぷっ……ぎゃははははァ!」
「姉さん、流石に驚かし過ぎだと思うよ!」
「わ、悪ぃ悪ぃ!……ぷぷっ……今思い返してもだいぶ面白っ……ぎゃははははァ!」
「……あの、これ俺達何されるんだ?」
廃屋の中に入るや否や、大爆笑を始めた乱打羽さん。
……それを見た俺は、ひたすら困惑していた。
「あァ、ネタばらしするとだなァ……ぷぷっ……そもそもオレは本気でさっきの提案した訳じゃねぇんだよォ」
「……ど、どういう事だ?」
提案が本気じゃなかった?
全く話が見えねぇんだが?
「ハァ……今の姉さんじゃ話にならないので、僕が伝えるよ。……実は今、この街では教会を挟まないポーションの密売や粗製ポーションによる詐偽行為が横行していてね」
「ハァ……少なくとも、そいつが前者をやろうとしてたぐらいだからな?」
「いやまあ、それも僕達によるおとり捜査だったんだけどね」
「…………………へ?」
お、おとり捜査?
さっきのが、か!?
「これで乗ってくれれば何か情報を握ってるかもしれないっていう淡い期待は込めてのなァ?……ま、テメェ等はシロだったが……」
「じゃ、じゃあ何で連行なんて……」
「協力者だァ」
「え?」
い、未だに話が見えねぇぞ?
「……テメェ等は、オレがあそこまでやっても誘いに乗らなかったァ……協力者として引き込むには充分過ぎると思わねぇかァ?」
「とか言ってるけれど、姉さんは単純に面白そうだから巻き込んだだけだと僕は思ってるよ」
「おい愚弟!……テメェどっちの味方だァ!?」
「姉さんの味方でない事は確かかな」
お、おう……
また面倒そうなのに巻き込まれたって訳か……
「なぁ、エンムスビ……俺達、流石に不運過ぎねぇか?」
「同感デッス!」
「え、ボク様には聞いてくれないのかい☆?」
結局、俺達はまた面倒事に巻き込まれた訳か。
……にしても、ポーションの密売や粗製ポーションによる詐偽とか……
俺達がどうこうする事か?
「現状、犯人がプレイヤーかNPCかすら定かじゃねぇがァ……こんな面白ぇ大捕物、スルーする方がおかしいわなァ!」
「……まあ姉さんに目を付けられた不運を恨んでくれないかとしか、僕からは言えないね……」
「お、おう……」
こうして、俺達は半ば強制的にポーション密売問題の捜査役をする羽目になったのだった……
いや、どうしてこうなった?
ご読了ありがとうございます。
乱打羽による事件捜査クエスト?、始まります。
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後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。




