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3 特務少佐

「お目覚めですか?」

気が付くと、目の前に柊生徒会長の顔があった。

いつの間にか、ベッドで寝ていたらしい。


「もう。本当にやりすぎですよ。」

「はぁ・・・」

さっぱり状況が分からない。

「いったいどうやったらこんなことになるのだか・・・。教えていただけますよね?」

「いや、俺の方が知りたいんですけど・・・」



「試験!?あれがですか!?」

「そうですよ。知りませんでしたか?」

「知るわけないでしょう!」

「そうですの。これは有名な話だそうですので、てっきりご存知かと・・・」


柊生徒会長によると、


超能力者、魔法使いの中には入学書類に虚偽の記述をして入学しようとするものも少なくない。だが、生命の危機となると本当の能力を使わざるを得なくなる。これで書類の審議を行っているらしい。


「そう言う意味では、あなたは書類に虚偽なく書いていたようですね。」

「そりゃそうでしょ!普通でしょ!」

「それが、ここではそうでもないのです。」

「はぁ・・・」

「まさか、本当に機械を遠隔操作できるなんて・・・」


そう、俺が先ほど使った魔法は、機械の遠隔操作。

そもそも魔法とは様々なことができるのだ。例えば、空を飛ぶ。火を出す。ある意味では“万能”ともいえる。

ところがそう言うことにさっぱり興味が無かった俺は、そう言ったことができない。まったくそんなことを学んでいないからだ。身近に魔法使いがいなかったことも原因かもしれない。

だが、これは世界的大発見だ。機械と組み合わせができないはずの魔法で機械の遠隔操作ができるのだから。

一応“万能”と言われる魔法であるが、得手不得手は思いっきり作用し、空を飛べないベテラン魔法使いも多いそうだ。

一方で超能力者は、万能ではない。一つのことしかできない。俺の場合は“レーダー”。とりあえず俺はそう呼んでいる。

具体的には、目の見えない場所にいる人に気づくことができる。そのため、生徒会室のドアの陰に潜んでいた2人にも気づくことができた。


俺はそれらを説明した後、正当防衛を主張した

「確かに、あなたが襲われて正当防衛を主張する気もわかりますが・・・


沖合で警備していた護衛艦の主砲を使うのはどうかと・・・」

「すいません。まさか、自ら超高速で着弾地点へ飛び込むとは・・・」


「待てー!その言い方だと私がバカみたいに聞こえるじゃないかー!」

そう言いながら階段前で砲弾に撃たれた女子がやってきた。

「あ、生きてた。」

思わず純粋な感想が出た。

「あ、生きてた。じゃないわ!あの瞬間にバリアはってなかったら今頃この世からフライアウェイしとるわ!」

「あ~、なるほど。天国ではなく日本海へフライアウェイしたわけですね。」

「オチを先に言うな!」

そう言われてもなぁ・・・


「それにしても大変だったんですからね。あの後YSCTは来るし、国防陸軍はいつも以上に来るし、あなた、空軍の戦闘機まで呼んだでしょう?」

柊生徒会長が頭を抱えながら言った。

「ええ、呼びました。無線周波数さえ知っていれば簡単にできますよ。能力で本来できないことも機械にさせることができるんです。例えばこの小型無線機を持っていれば、デジタル暗号化されているはずの米軍の通信に入ることも可能です。ただし、デジタル暗号化の原理を理解する必要がありますが。」

「すごい能力ですね。恐ろしいくらい。」

うわ~、にこやかに嫌味言いやがった。


「そう言えば紹介が遅れましたね。日本海まで砲弾と一緒に飛んでいった彼女は、大川美崎さん。生徒会で風紀委員長をやっています。」

「柊かいちょ~。なんか紹介の仕方がひどくないですか~?」

「だけど、事実ですもの。」

「そうですけど・・・」

「それでちなみに、ドアの外で斧のようなものを構えていた大柄の男子生徒が山内阿笠君。生徒会会計よ。その後ろで待ち構えていたのが生徒会副会長の夏目洋さん。」

俺は訊ねた。

「それで、さっきから会長の後ろでずっと立っている人は?」

「やっぱりバレていたんだ。」

スーっと、姿が現れた。女子生徒だ。

「やっぱり君には効かないんだね。僕は君吉。君吉あずさ。風紀委員だ。たぶん君と同じクラスになる。よろしく。」

「ああ、よろしく。」


「それと、一つ忠告。校内ではあまり自分の能力を言わないほうがいいわ。」

柊生徒会長はにこやかに言った。

「なぜです?」

「この長門島にはおよそ10万名前後の生徒がいます。職員や出入りする業者も合わせれば、12万名と言ったところかしら。その中には、よろしくないことを考える人も多くいるのです。


命を狙われることも、少なくはありません。」

俺が驚いた顔をすると、柊生徒会長は言った。

「ですが、相当なことが無い限り、滅多に命を狙われることは無いですがね。」


そう言いながら、俺の目の前に拳銃を置いた。

「S&WのM29とは物騒ですなぁ。拳銃としてはけた違いの威力ですよ?」

「やっぱり拳銃を見ても驚きませんね。国防海軍の特務少佐さんは。」

「やっぱりバレてました?まぁ、すぐにばれるとは思っていましたが。というかすでに知っていたでしょう?俺の来る前から。」

「よくわかりましたね。理由をお訊ねしても?」

「俺に柊生徒会長が声をかける前、大川風紀委員長と話してましたよね?その大川風紀委員長の持っていた書類に書いてありましたから。」


「フフフ。軍人さんは侮れませんねぇ。」

柊生徒会長のこの時の笑顔を見て、俺は悪寒が走った。


「ちなみに校内は超能力者に限り、銃の所持が許可されます。あなたは魔法使いでもありますが、超能力と魔法を同じ人物が持つことは学園史上初なので、対応に困りましたが一応渡しておきます。」

「ちなみに、なぜ超能力者だけが銃の所持を許されているのか訊ねても?」

「簡単です。


超能力者と魔法使いがケンカをしたとき、圧倒的に超能力者が不利だからです。」



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