4 第3寮
俺は、君吉あずさ風紀委員と一緒に、生徒会館を出た。
「これから寮に案内するよ。柊会長から封筒もらったでしょ?その中に鍵が入っているはずだから見せて」
俺はカバンから封筒を取り出し、中身を漁った。
“3-15-1503”と書かれたカードキーが出てきた。
「うわっ!?第3寮なの!?君は本当にすごいねぇ・・・」
「ん?どういうことだ?」
「第3寮はこの長門島魔法学校でも一番豪華な造りの寮で、そう言うわけで一部例外はあるけど成績優秀者しか入れないんだよ。」
「それはおかしくないか?俺は一度も試験を受けてない。」
「いや、あの入学試験の結果を見れば一目瞭然だよ。あの試験は転校生にしか行われない試験だけど、あの試験で階段までたどり着いた生徒は君が初めてだからね。」
「そういえば大川風紀委員長もそういってたな・・・」
こう会話しながら歩いていたら、駐車場にたどり着いた。
「あ・・・。プラド事故ったんだっけ。」
意識を失う寸前、どこかにプラドを衝突させたような気がする。
「あ、車だったらレッカー車で運ばれていったよ。修理して返却するって柊会長が。」
「了解。ところで、俺はなんで気を失ったんだろうな。あれが理解できない。」
「あ~、それは会長の魔法だね。あの人、“気体”を操るのが得意なんだ。」
「なるほど。車内に何かを充満されたのか。」
「多分ね。」
「ってそれ、言っていいのか?柊生徒会長は“能力はなるべく秘密にしておけ”って・・・」
「柊会長の能力は有名だから。
言い換えると、それでもこの島で生きていける人物でないと生徒会長が務まらないということ。」
「怖。その言い方だとまるでこの島ではまるで殺し合いが日常みたいな言い方だな」
「う~ん、僕はそこまでは言うつもりないけど、当たらずとも遠からずかも。」
どんな学校だよ。ここ。
「車ないのならこっち。電車で行こう。」
君吉あずさ風紀委員は地下へ降りる階段を指さした。
「そういえばなんでこの学園に来たの?」
階段を下りながら君吉あずさ風紀委員が俺に訊ねた。
「ん?なぜって?」
「いや、大した意味はないのだけどね。この学校に来る人は“目標”とか大げさに言えば“野望”をもって入学する人が多いから。八島君はなんでかなって。」
その時、改札の向こうのホームに電車が入ってきた。
「おっ!80系電車!」
「えっ?何?」
「あれだよ!80系電車!日本初の急行型電車ともいうべき、別名湘南型電車!あのつりかけモーター音はたまらないなぁ~」
「・・・もしかして八島君・・・
あの電車のために来たの?」
「もちろん!80系電車が現役なのはここだけ!なのに一般人はなかなか入れない場所でしか動いてない!
逆にここに入学して“鉄道部”に入れば運転できる!」
俺はなぜ君吉あずさ風紀委員が引いているのかわからなかった。
切符を買い、改札を通って次の電車に乗る。
「72系電車か~。国電の代表格だな~」
「はぁ・・・。僕にはよくわかりませんが、学校長の趣味だそうですよ。この学内鉄道は。」
「へぇ~。とても趣味がいいな。学校長は。」
2駅行って、降りた。
地下駅から地上へ上がる。
「おお・・・」
「これが、第3寮。男女共同寮で、関係者以外立入禁止。常に風紀委員か警備員が1階ロビーに駐在している。警備面でも一番豪華な寮だよ。」
見た目は高層マンションだった。だが、道路と第3寮の間には門があり、警備員が出入りする人をチェックしている。その先には、噴水、レンガを敷き詰めた道、第3寮入口には車用ロータリー。
「正直、僕も風紀委員としてここの駐在員になったときにしか中に入ったことが無いんだ。」
「マジかよ・・・」
「身分証を」
まず門で身分証の提示を求められた。
俺は学生証とカードキーを同時見せる。
「お、新規入寮生ですか!私はここの警備責任者の田淵です。何かありましたら内線1番でお電話ください。すぐに警備員が駆け付けます。」
「ありがとうございます。」
「何でしたら、買い物や雑用も承りますので、ホテルのボーイとでも思ってこき使ってくださっても結構です。」
「いやいや、そりゃダメでしょ。」
「いえいえ。それも業務内容の一つなんです。その分も込みのお給料を頂いてますから。」
「そうなんだ。了解です。田淵警備員。」
「お気軽に、田淵とお呼びください。」
俺が通り終わると、君吉あずさ風紀委員は一瞬で通り抜けた。
「僕は風紀委員だからね。風紀委員手帳を見せればすぐに通れるんだ。」
「ほぉ~。」
中に入ると、まるでホテルのロビーのようだった。
「ちなみに、受付にいるのは門のところに居た警備員と同じ警備員。一応ホテルのボーイみたいな格好しているけど、結構強いよ。」
「・・・マジかよ。」
「そうでもないと、この島じゃ生きていけないよ。」
「ここはコロッセオか?」
「僕はそこまで言うつもりはないけど、それに近いかも。」
この島は一体・・・
ロビーの横には喫茶店があった。
「あそこの喫茶店の店員は他の寮の生徒がバイトでやっている喫茶店だよ。だから店員が強いとは限らない。時折喫茶店のオーナーさんがいるけど、その人はここの卒業生だそうだよ。」
「なぜ店員の大半が他の寮とわかる?」
「言ったでしょ。第3寮は一部例外をのぞいて成績優秀者の集まりだって。成績優秀者はあまりお金に困らないからね。」
「なぜ?」
「いづれわかるよ。」
ロビーを横切ってエレベーターに乗る。
「君吉あずさ風紀委員。」
「何その呼び方。普通に“あずさ”でいいよ」
「そうか、ならあずさ。さっきから少し不思議に思っていたんだが、あずさの発言には“上下関係”が目立つような気がするんだ。」
「そうかな?自然とそうなるのかもしれないね。
ここは、そう言う関係で成り立っている“社会”だから。」




