↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
16/216

第16話 紅蓮爆砕

「決闘の作法は、ひとつだけ」


 ヴィクトリアが、舞台の真ん中で片手を上げた。


「先に相手に膝をつかせた方の勝ち。それ以外は、何をしても構わないわ」


 フェイとグスタフは、10歩ほど離れて向かい合った。


 魔法の撃ち合い、というものを、フェイは見たことがなかった。


 おじいちゃんが魔法を使うのは、竈に火を点けるときと、雨漏りを塞ぐときと、沢の水を汲み上げるときくらいだった。どれも、便利だなあと思うだけのものだった。


 熊のときに騎士が飛ばした炎は、熊の毛を焦がしただけだった。


 だから、まずは見てみようと思った。どんなものか分からないなら、1回くらい当たってみればいい。たぶん、大丈夫だろう。


 向かいのグスタフは、腕を組んだまま、鼻で笑っていた。


「構えもしないのか。まあいい。1発で終わらせてやる」


「始め!」


 ヴィクトリアの手が、振り下ろされた。


 グスタフが、両手を前に突き出した。


「紅蓮の焔よ――」


 その手のひらに、赤い光の輪が浮かび上がる。


 フェイは、その間に客席を見回していた。


「うわー、すごい人……」


 階段状の客席が、上の上まで生徒で埋まっている。山の鹿を全部集めても、こんなにはいない。


「ソフィアとメイベルは、どこかなー?」


「――我が魔力を糧とし、眼前の愚者を灰燼に帰せ」


 グスタフの声が、どんどん大きくなる。手のひらの光の輪が、2重、3重に広がっていく。客席の前のほうの生徒たちが、顔色を変えて後ずさった。


 フェイは、客席の最前列に、紺色の制服を2つ見つけた。ソフィアとメイベルだ。2人とも、両手を胸の前で握りしめて、何か叫んでいる。


「あ、いた! おーい!」


 フェイが手を振った、そのとき。


「紅蓮爆砕(ぐれんばくさい)!」


 視界が、真っ赤に染まった。


 轟音。熱。足もとの石が震える。闘技場ぜんたいが、ひとつの大きな炎の玉に呑みこまれた。


 黒い煙が、もうもうと舞台を覆う。


 客席から、悲鳴が上がった。


「お、おい……今の、直撃だったぞ」

「あいつ、死んだんじゃね」

「流石にやりすぎだろ、バルドリック……」


 煙の中で、フェイはまばたきをした。


 外から、グスタフの高笑いが聞こえてくる。


「クックック……魔力無し風情が、身の程も弁えずに入学などするからいけないのだ。バカめ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。