↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
零のフェイ ~魔力0の山育ち、拳ひとつで成り上がる~  作者: 凪 瞬作
第一部 最終章 魔導国戦争編
PR
114/216

第114話 叙任

 10日後、フェイは、また謁見の間にいた。


 今度は、借り物の上着ではなかった。王妃が城の仕立て屋を呼んで、一晩で作らせた服だった。採寸のとき、王妃が自分で巻き尺を持とうとして、ソフィアに取り上げられていた。


 袖の長さは、ちょうどよかった。そのかわり、首もとが少し苦しい。


 段の下には、貴族たちが並んでいた。この前の、ヴァルモント家を裁いた日よりも、人が多い。その中に、見知った顔がいくつもあった。


 ノクターン公爵と、その隣のリア。会長と、ヴァイスベルク侯爵。クララ先輩と、グラウベルク侯爵。前線から戻ってきた辺境伯と、ブリジット先輩。柱の陰には、ソフィアとメイベル、シエル、ノエル先生。


 フェイは、玉座の前で、片膝をついた。今度は、誰にも身振りで教わらなくても、できた。


「アイゼンガルト領にて、魔導国の2つの大魔法を打ち砕き、総大将を捕らえ、内通の首謀者を連れ帰った者がいる」


 国王の声が、謁見の間に響いた。


「この者の功は、国を救ったものと認める。准男爵の者をさらに上げるには、上位の家の推挙が要る。……推挙する家は、あるか?」


 前のときは、誰もが、隣の者の顔をうかがった。


 今度は、違った。


「ノクターン公爵家が、推挙いたします」

「ヴァイスベルク侯爵家も」

「アイゼンガルト辺境伯家もだ! がっはっは」


 辺境伯の笑い声に、何人かの貴族が、くすりと笑った。


「グラウベルク侯爵家も、推挙いたす」


 灰色の髭の侯爵が、厳しい顔のまま、短く言った。クララ先輩が、隣で、目を丸くしていた。


 国王が、ゆっくりと立ち上がった。


「アルセリア王国国王、オスヴァルト・アルセリオの名において。フェイ、そなたに伯爵の位を授ける。あわせて、旧ヴァルモント公爵領を、そなたの領地とする」


 謁見の間が、拍手で揺れた。


 フェイは、頭を下げたまま、首をかしげていた。


 伯爵。


 どこかで、聞いた。月明かりの部屋で、胸の上に乗ったリアが、指を1本立てて言った言葉。


 ――つまり、あなたは伯爵以上にならなきゃいけないの。


 フェイは、そっと顔を上げた。


 貴族たちの列の中で、リアが、こちらを見ていた。目が合うと、リアは、胸の前で、小指を1本だけ立ててみせた。


 山で、おばあちゃんと約束をするときの形だった。


 フェイの顔が、かあっと熱くなった。


「フェイ?」


 玉座の上から、国王が、いぶかしげに見下ろしていた。


「あ、はい! ありがとうございます、陛下! がんばります!」


 慌てて頭を下げすぎて、額が、床にごつんと当たった。


 柱の陰で、ソフィアが小さく悲鳴を上げた。王妃が、扇で顔を隠して、肩を震わせていた。


 式が終わって、謁見の間を出ると、廊下で国王付きの侍従が待っていた。


「伯爵様。陛下が、お部屋でお待ちです。……リリアーナ様のことで、と」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。