飛ぼうと思えばワニでも飛べる
「ファッ!!」
浮遊する僕の体を恐る恐る触る美緒。
飛んでいる自分への驚きを遥かに凌駕したその刺激は僕の顔を紅に染め上げる。
女子耐性のない隼には刺激が強い。
自然と腰を屈めた時、隼に電流走る。
悪魔的考えがよぎった
『せや!美緒をおんぶして教室まで飛んだろ』
欲望のままに背に掴まる様に指示(懇願)して僕は砕けた手すりに立ち上がった。
「ちょっと待って、隼君!流石に危ないよ、早く下ろして」
二十メートルの高さに流石の美緒も恐れをなした。
隼は何かで聞いたセリフを思い出して一言。
「僕を信じて(ニチャァ)!」
美緒は目を丸く見開いて発狂した。
「無理無理無理!ンニィィィィィィ!」
その瞬間僕は勢いよく手すりを蹴り空へと飛び出した。
前傾姿勢で体がスカイダイビングに似た姿勢に変わっていく。
地面スレスレ三メートル程で、僕の足の裏に暖かく力強い光が集まるのが感じられた。
「ンニィィィィィィ!死んじゃう!」
耳元で一際強く叫ぶ美緒、生死の手綱を握っていると言うエクスタシーが手に入れたばかりの僕の力を解放した。
凄まじい加速で教室へと直進する。
渡り廊下で移動中の教科担任を追い抜く、
『このまま教室に突っ込めばカッコよく思われて人気者になれるんじゃないか?』そんな幼稚な思考を巡らせて校内を進んでいると、腹部、下半身に痛みと熱を感じた。
デデドン!
光が途切れ、僕の体は勢いを殺しながら地面へと擦り付けられていた。
背に乗っていた美緒の柔らかさと重さがさらなる悲劇を起こした。
「ンニィィィィィィ!」
僕はまるで踏みつけられた虫の様に体液を地面に伸ばして着地した。《《胴体着陸》》だ。くそ汚い。
彼女は僕に「ありがとう(ドン引き)」した後直ぐに教室に入って行った。
僕はその体液を虚しく見つめ、直ぐに彼女を追って教室に間に合った。
また同時に現れた為、クラス中に煽られた。
少し気持ちく感じてしまったのが悔しい。
席につき、五分遅れで来た教科担任の授業を聞く。彼が遅れてきた理由を聞いて、僕は爆発してしまいそうな程恥ずかしかった。『なぜか教室までの廊下にヌメヌメした液体が伸びていたのです』、もしアメコミだったら僕はスーパーヴィランになっていただろう。
隣に座っていた颯太が僕の少し湿ったズボンを見て手を額に当ててうなだれていた。
こっちがうなだれたいよ。




