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第9話:崩壊する十年の堤、あるいは墓標の前で

前回、相沢は祖父母に告げました。


「もう前に進む時なんだ」


十年ぶりの言葉。

重くて、でも必要だった言葉。


今回は、その日の午後——

お墓参りの物語です。

その声は相変わらずぶっきらぼうだったが、最終的な受容と大きな安堵の響きを帯びていた。

「リビングに移ろうか?」この息詰まるような話題を明らかに変えたがっている様子で、相沢は提案した。

「そうね、そうね、キッチンは落ち着かないもの」祖母は慌てて同意した。

その瞬間、場の空気は明らかに和らいだ。

彼らはリビングへと移動した。祖父はすぐに新聞の壁の向こうへ姿を消し、相沢は祖母の隣のソファに腰を下ろした。

コーヒーをすすりながら、彼はノスタルジーの波を感じた。昔の思い出が、現在と滑らかに混ざり合っていった。

ふと、彼は美子からのメッセージを思い出した。誰にも気づかれる前にスマートフォンを取り出し、短い返信を打ち込んで、再びしまった。

朝からずっと、彼は一本も煙草を吸っていなかった。ポケットから箱を取り出した。「いいかな?」と彼は尋ねた。

「もちろんよ。でも、家の中では駄目だからね」と祖母は答えた。

『そりゃ当然だ』と彼は軽く微笑みながら思った。

彼は外へ出て、庭へと続く階段に座り込んだ。雲一つない空を見上げた。

風はこの静かな場所までは届かなかったので、彼はすぐにジャケットのボタンを外し、心地よい太陽の光に顔を向けた。

箱から煙草を一本取り出して唇の間に挟み、手慣れた動作でマッチを側薬にこすりつけた。

小さな火花が一瞬燃え上がり、彼はその火を煙草の先端へと移した。

『小さな火花一つで、すべてが煙となって消えていく』と彼は苦々しく思った。『俺の人生のメタファーだな』彼は深く息を吸い込んだ。

『この煙のように…すべてがとても儚い』突然、背後でドアが静かに軋む音が聞こえた。祖父だった。 老人は無言で彼の隣に座った。「もうそれくらいにしておけ」と、煙草を指差しながら不満げに呟いた。

しかししばらくして彼はため息をつき、その口調は明らかに和らいだ。「だが、そのために来たんじゃない」

まるでそれが彼にとって全く見慣れない仕草であるかのように、ためらいがちに、その荒れた働き者の手を相沢の肩に置いた。

「言葉は得意じゃない。だが、お前がようやく乗り越えられたようで嬉しいよ」

相沢は自分の手で、そっと彼の手を覆った。その単純でぎこちない仕草は、千の気取った言葉よりも大きな意味を持っていた。「分かってるよ、じいちゃん」

「辛かったのは俺だけじゃない。じいちゃんも、ばあちゃんも同じだ」と彼は静かに言い、ゆっくりと煙を吐き出した。

「俺の父親は、お前よりずっと若い頃に戦争で死んだ」祖父は唐突に語り始めた。

「あの時代は、はるかに厳しかった。兄弟の長男として、俺が家で父親の代わりを務めなければならなかった」

彼は一瞬言葉を切り、過去の遠いどこかを見つめた。「覚悟などできていなかった」

「だがまあ、起きてしまったことは、どうにもならん」

『これが俺たちの人生で初めての、こんなに率直な会話かもしれないな』祖父がこの短い言葉を紡ぎ出すために費やしたであろう多大な労力を完全に理解しながら、相沢は思った。

この老人が、あからさまな形で支援を示すことが決してできなかったのだと、彼には分かっていた。

「もうずっと良くなったよ、じいちゃん」と彼は言った。何年かぶりに自分を騙していなかったため、彼自身の声には心からの安堵が響いていた。

「それならいい」祖父は彼の肩を軽く叩くと、手すりを支えにして苦労しながら立ち上がった。

「家に戻れ、ばあさんがもう昼飯をよそっている。ここに座る必要など全くなかったな」と、孫にというより再び自分自身に向けて彼は呟いた。

「すぐ行くよ、これを吸い終わったら」

祖父はドアの向こうへ姿を消した。相沢は煙草を最後まで吸い終えると、石の階段で慎重に火を消した。

彼は吸い殻をどうしようかと考えた――ポーチには灰皿が一つもなかったからだ。

手入れの行き届いた庭にゴミを残したくなかったので、彼は吸い殻を箱の空いたスペースに押し戻し、後で家の中のゴミ箱に捨てることにした。

昼食は文句なしに美味しかった。相沢は、祖母がそれにすべての愛情を注ぎ込んでいるのを感じた。

オフィスの電子レンジで慌てて温めたパック詰めの何かではなく、本物の温かい手料理を食べるのは何年ぶりかのことだった。

もうベッドのことしか考えられないほど、彼は腹いっぱい食べた。その日の残りの時間はあっという間に過ぎ去った。

夜になり、翌朝一緒に両親の墓参りに行くことが決まった。

かつての母親の部屋に座っている間も、その重苦しい考えが彼につきまとった。ここにいるのは十年ぶりのことだった。

墓地についても同じことだった――葬儀と、ようやくの思いで力を振り絞ったたった一度の命日以来、彼はそこを訪れていなかった。

その後の九年間、彼は周到にその場所を避けてきた。祖父母も避けてきた。二人が変わり、年老いたことは分かっていた。

実際のところ、彼自身もそうだった。それは、駅での最初の彼らのショックを受けた視線から間違いなく読み取れた。

『孫というより、息子のように見えるだろうな』と考えた彼の口元に、かすかな笑みが忍び寄った。

「それに、あの年上の女性からのアプローチもな…」

彼は静かな部屋を見回した。昔なら、古い写真と息が詰まるような思い出に囲まれたこの場所にいることなどできなかっただろう。

しかし今、彼は自分の周りに奇妙な平穏を感じていた。二階のバスルームでさっとシャワーを浴びた。 祖父母は体力が落ちてきたため、ずっと前に寝室を一階に移していた。だから、二階には彼一人だけだった。

彼は消灯したスマートフォンの画面をもう一度見てから、照明のスイッチをカチッと押し、眠りについた。

『花だけで十分だ』朝になり、相沢は他の供え物についての考えを振り払いながら決めた。

墓地は家からわずか五キロのところに位置しており、それに正式な命日というわけでもなかったからだ。

彼らはとても早く朝食を済ませたが、祖母の外出の準備は果てしなく続いた。

「いっそ、家の半分を持っていったらどうだ」と、祖父は時計を何度も神経質にちらちらと見ながら小声で呟いた。

相沢は外で煙草を吸いながら彼らを待っていた。少し開いた窓からは、慌ただしく動き回る音と、押し殺したような夫婦げんかの声が聞こえてきた。

ついに、待ち望んでいた玄関のドアが軋む音が聞こえた。

「準備できた?」と彼は大声で尋ねた。「お前のばあさんは相変わらずだ!」祖父はぶつぶつ言いながら、駐車してある車へとまっすぐ歩いていった。

「はいはい、もう行きましょう! もっと早く着いているはずだったのに」老婦人は家に鍵をかけながら言い返した。

「朝の四時から準備を始めるべきだったな」男はイグニッションにキーを差し込んで回しながら呟いた。

「また何をぶつぶつ言ってるの?」彼女は助手席にどっかと腰を下ろしながら尋ねた。「いや、何でもない。行くぞ」

「お前は何をしてるんだ、若いの?!」しばらくして、彼は開いた窓越しに叫んだ。

「待って、煙草を吸い終わるところだ!」相沢は叫び返した。急いで煙草を吸い終え、靴で火を消すと、吸い殻を衛生的にティッシュで包み、ジャケットのポケットにしまった。

冷たい突風が吹き、頭上の空はますます曇り空になっていった。『雨さえ降らなければいいが』と彼は思った。

道中ずっと、車内には重苦しい沈黙が漂い、それは静かなラジオのノイズによってのみ破られていた。 相沢は時折、祖父母の用心深い視線を自分に感じていた。二人が口を開くのを恐れていることは彼にもよく分かっていた。一言でも間違えれば、この壊れやすい瞬間が台無しになり、孫が突然パニックを起こして引き返すように言うのではないかと恐れていたのだ。

しかし、彼にとってその沈黙は全く苦にならなかった。

墓地前の駐車場に到着した時、二人が密かに安堵の溜息をつくのを彼ははっきりと見た。

彼は車を降りると、新鮮な花と伝統的な線香を買うために、すぐさま墓地脇の売店へと向かった。

店員からお釣りを受け取った時、突然手が震え出し、呼吸が危険なほど浅くなるのを感じた。

しかし、これが決定的な瞬間であることは分かっていた。もう引き返すことはできなかった。

祖父母は正門のところで彼を待っていた。「まあ、なんて綺麗なの」

花束を見て、祖母は静かに言った。「お母さんもきっと気に入るわ」

「さあ、行こう」と、明らかに苛立ち、この最も困難な瞬間を早く終わらせたがっている様子で、祖父が彼らを急かした。

両親の墓へと続く小道を進むのはほんの数分だったが、相沢にとっては永遠とも思える時間だった。

胸の中で心臓が激しく打ち鳴り、頭の中では記憶、音、そして匂いの混沌とした断片がぶつかり合っていた。

恐怖、強烈な憧憬、そして奇妙で痛みを伴う高揚感を感じていた。

墓の前に立った時、その増大し続けていた内なる混沌が突然静まった。

引き裂かれた彼の魂のすべての欠片が、あるべき場所に収まっていくかのようだった。

瞼の裏に最初の熱い痛みを感じ、そして次が続いた。彼が十年間自分の中に築き上げてきたダムが、耳をつんざくような轟音と共に崩れ去った。

それと共に、抑え込まれていたすべての悲しみ、そして何よりも、両親の死の日から彼が背負い続けてきた巨大な罪悪感が溢れ出した。

苦く、無意識の涙が彼の頬を伝い始めた。

祖母は彼の肩に腕を回し、彼を強く抱き寄せた。祖父は後ろに立ち、冷たい石板をうつろな目で見つめていた。

相沢が落ち着きを取り戻すまでに、長い時間がかかった。震える息を整え、新しい花を墓に供え、伝統的な線香に火を灯した。

彼はひざまずき、静かに祈り始めた。

その時、十年以上ぶりに、彼は安堵を感じた。頭のてっぺんからつま先まで彼を満たす、真の深い安堵を。

背後に立っているのは祖父母ではなく、両親であり、彼に静かな祝福を与えてくれているような気がした。

彼が後ろを振り返ると、その奇妙で心地よい感覚は即座に消え去った。突然、世界が回転し始めた。

急激に力が抜け落ちるのを感じ、肺の中の空気が濃密で不自然なほど重くなった。息をするのがひどく困難になった。

膝から崩れ落ち、墓の前にひざまずいたまま、力なく横へと倒れ込んだ。

「相沢、どうしたの?!」と、恐怖に駆られた祖母が叫んだ。彼女はできるだけ早く彼のそばにひざまずいた。

「息が…できない」と、彼は多大な苦痛の中で絞り出した。

祖父は冷静さを失うことなく、すぐにスマートフォンに手を伸ばした。「もしもし? 救急車をお願いします。場所は…の墓地です」

その声は相沢にとって、ますます遠く、くぐもって聞こえるようになった。浅く、効果のない呼吸をするたびに、男の意識は遠のいていった。

音、祖母の悲鳴、そしてぼやけた視界が、ゆっくりと一つの渦巻く暗い混沌へと溶け合っていった。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。


「息が…できない」


墓の前で崩れ落ちた相沢。

これは、終わりではありません。


続きをお楽しみに。

— Tuttimi

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