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第8話:止まっていた時間、あるいは十年の冬の終わり

前回、相沢はMikoko111を

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小さな、震えるような一歩。


今回は、十年ぶりの

祖父母との再会の物語です。

今になってようやく、彼は顔を上げて駅を見渡した。子供時代の記憶が全力で蘇ってきた。『もう何年になるだろう?』

すべてが全く違うようでもあり、同時に全く同じようにも思えた。彼の口元には、思いがけず心からの微笑みが浮かんでいた。

祖父母も彼に同時に気がついた。祖母は駐車してある車から降り、彼に向かって元気よく手を振り始めた。

彼は早足で近づき、思い出せないくらい久しぶりに、彼らを本当に強く抱きしめた。

無口で荒々しい手をした祖父は、短く彼を抱きしめたが、その目尻には、老人が隠しきれなかった潤んだ輝きを相沢は見て取った。

祖父母との抱擁の後、彼は祖母に花束を渡し、祖父には袋を手渡した。祖父はその中身を見て微笑んだ。「まあ、なんて綺麗な花! 本当に気を使わなくてよかったのに」花束を受け取りながら、祖母が言った。「わしは文句を言うつもりはないぞ」祖父は鼻の下で呟いた。

その存在すら自覚していなかった緊張が、こわばった肩からゆっくりと抜けていくのを感じた。

「小さな相沢が、やっと会いに来てくれたわね」と、祖母は再び彼を強く抱きしめながら言った。

ずっと感じていなかったその温もりが、彼の心の周りの分厚い氷をついに溶かし始めた。

「うん、ばあちゃん。やっと来たよ」と彼は答え、その瞬間に完全に身を委ねた。

祖父は二人を腕で包み込み、しばらくして抱擁を解くと、静かな低い声で言った。「さあ、行くぞ」

車内は静寂に包まれていた。しかしそれは、気まずい沈黙や空虚な静けさではなかった。

それどころか、冬の夜の暖炉の周りの空気のような、密度と温かさを持っていた。

誰もがただそれを楽しんでいるようだった。相沢はふと、自分がこれまでずっと別の種類の沈黙を恐れて生きてきたことに気がついた――人が自分自身の思考と完全に二人きりになってしまう、あの沈黙を。

人を傷つけ、無情にも人々を互いに遠ざけてしまう静けさ。今、彼を包み込んでいる静けさは、全く違っているように思えた。安全だった。

窓の外を見ながら、彼は通り過ぎる場所や子供時代の楽しい出来事を感慨深く思い出していた。

『俺のこれまでの人生は、煙草の煙のように過ぎ去ってしまった――目的もなく、未知の方向へ、ただ風に流されて』と、道を見つめながら彼は思った。

『あれほど取るに足らないものだったのだろうか? 俺はそこまでひどく道を見失ってしまったのだろうか?』

答えは分からなかったが、一つだけ確かなことがあった。本当に生きる代わりに、あまりにも長く無為に過ごしすぎてきたのだ。

彼は大人の男だったが、心の奥底では未だに迷子の子供のように感じていた。

周りの世界が一瞬たりとも回転を止めない中、彼だけが行き詰まっていた。

カーステレオからは物憂げなメロディーが静かに流れ、彼の気分を完璧に補完していた。

「あんなに遠かったのに、近づいたのね…」と、ベルベットのような女性の声が歌っていた。

「今なら分かる、あなたなしでは自分を見つけられないと…。光を見つめる間も見つけられず、果てしなく暗闇をさまよい歩いた。輝きに包まれ、孤独な幹のように影を落とす。消えないように、消えないようにと、私に思い出させる影を…」

ボーカルの歌声が彼の耳に優しく響いた。『俺は自分の人生の影だったんだ』と、彼は悲しみと共に悟った。

駅から祖父母の家までの道のりはわずか十分だったが、彼にとっては思い出を巡る長く充実したドライブだった。

ついに到着した。相沢は遠くからでも、彼の子供時代の不変の象徴である特徴的な赤い屋根を見分けた。

彼らは庭に乗り入れた。祖父は車をガレージのすぐ前に停めた。「中に入れないの?」と祖母が尋ねた。

「後でだ」と、今は邪魔をするなと明確にほのめかす口調で祖父はぶっきらぼうに言った。

その表面的な老人の無愛想さにもかかわらず、空気中にははっきりと喜ばしい興奮のオーラが漂っていた。

祖父がまだ車内に少し残っている間に、祖母は孫の方へ身を乗り出した。「あの人、あなたの訪問をすごく楽しみにしていたのよ」

「顔に出さないようにしてるけど、あの人の性格は知ってるでしょ」と、彼女は微笑みながら囁いた。 相沢には分かっていた。祖父とは特に良好で温かい関係を築いたことは一度もなかったが、何年かぶりに今、他の誰かが彼とそういう関係を持てたことがあったのだろうかと考え始めた。

『きっと厳格な躾のせいで、あんな風に自分の殻に閉じこもってしまったのだろう』と、かつての恨みをもう心に感じることもなく、彼は思った。

『結局のところ、俺も長い間、人生から降りていたんだからな』

『もしかすると、最も多く沈黙する人こそが、私たちに最も多くのことを語りかけているのかもしれない』

彼らは家の中に入った。古い玄関で、冷たい湿気のあの特徴的で懐かしい匂いがすぐに彼を包み込んだ。「タツキ、ストーブに火をつけて!」

と祖母が叫んだ。「分かった、分かってるよ…」と祖父は彼らのすぐ後ろから家に入りながら、小声で呟いた。

祖母はキッチンへと消えた。そこでは、昼食のほぼすべての準備がすでに丹念に整えられていた。

戸棚から花瓶を取り出して流しで水を入れ、その場を離れざまに手慣れた様子でコンロの栓をひねった。コンロの上では青い炎が陽気に踊り出した。そして、これほど長い不在の後に彼女の神聖な領域を侵してしまわないかと不安に思いながら、まだ入り口に立っている相沢の方を振り返った。

「入って、入って、座りなさい!」彼女は手で椅子を指し示した。「コーヒー? それともお茶? どっちがいい?」

彼女は花瓶を手に取ると、一瞬だけ居間に姿を消し、わずか数秒後には再び台所に現れた。

「とっても美味しいジャスミン茶があるのよ。おじいちゃんが大好きなの」と、彼女は共謀するようなひそひそ声で付け加えた。

「あと三十分で昼食になるから。きっとお腹がペコペコでしょう」

彼女がキッチンをせわしなく動き回る間も、彼はまだドア枠に寄りかかって立っていた。彼の目から見て、ここは全く何も変わっていなかった。

この家の時間は、ただ止まってしまっているかのようだった。

「コーヒーを」と、物思いから抜け出し、彼はついに答えた。「えっ、何だって?」と祖母は食器をカチャカチャと鳴らしながら尋ねた。「コーヒー」

「コーヒーかお茶かって聞いただろ。コーヒーが飲みたいんだ」

そう言いながら、彼はついに中へ入り、テーブルについた。「ああ、そうそう。今淹れるわね」

と、彼女はやかんにお水を注ぎ始めた。

そうして座り、家の中の物音に耳を傾けていると、突然ズボンのポケットに振動を感じた。彼はスマートフォンを取り出した。

バックライトが点灯したロック画面には、アプリからの明確な通知が表示されていた。

『美子からの新着メッセージ』

胸の奥に、特徴的な、電撃が走るような痛みを感じた。彼はスマートフォンをポケットにしまい直した。今は返信している場合ではない。

「何かあったの?」祖母の声は用心深かった。「なんだか…嬉しそうね」

「職場の知り合いから連絡があって。それに、ここまでの道のりもすごく快適だったから」と、彼ははぐらかすように答えた。

『それに、全くの嘘というわけでもない』日々の朝の満員電車を思い出しながら、彼は思った。

ドア付近での1センチを争う戦いに比べれば、今日の旅は本当の贅沢だった。

その時、やかんが甲高い音を立てて鳴り始めた。「おっ、お湯が沸いたわ!」と祖母は小声で呟いた。 彼女はテーブルにマグカップを二つ置いた。一つにティーバッグを放り込み、それから戸棚からインスタントコーヒーの瓶を取り出した。

「これしかないの、怒らないでね」と、彼女は申し訳なさそうな声で言った。「これで完璧だよ、ばあちゃん」と、彼は穏やかに答えた。

どんなコーヒーを飲むかは、彼にとってどうでもよかった。重要だったのは、この瞬間だけだった。

祖父がキッチンに入ってきた。「俺のはどこだ?」と、彼はぶっきらぼうに尋ねた。

「声を出してくれれば、淹れたのに」と祖母は言い返し、テーブルに三つ目のマグカップを置いた。

祖父は無言で新聞を取りに行き、戻ってくると彼らと一緒に座った。

彼は即座に紙の壁の向こうに隠れ、その存在を示す唯一の痕跡は、ページをめくる微かな音だけだった。

「明日は天気が良さそうよ。だから…どこかへ出かけられないかしらと思って」祖母は慎重に言葉を選び、緊張しながら彼の反応を見つめた。

相沢はただマグカップを引き寄せ、コーヒーを一口長くすすった。「いいよ。天気が良くなるなら、なおさらだ」

彼はもう一口すすった。

新聞の向こう側から、突然ページをめくる音が止んだ。しばらくして、その縁から祖父の目が現れ、全く信じられないといった様子で相沢に釘付けになった。

祖母はハッと息をのみ、テーブルの上に置かれた彼女の手は微かに震えた。

「もう十年になるわね…」彼女は孫を値踏みするように見つめながら囁いた。「時間が経つのは本当に早いわ」

「時々、早すぎるくらいだ」湯気を立てるコーヒーから目を離さずに、相沢は答えた。

驚きに満ちた祖父母の重い沈黙は、ほとんど手で触れられそうなほどだった。

『二人に何と言えばいい? ついに自分の繭から抜け出したと? ただ人生から逃げ隠れするのではなく、生きたいのだと?』

一年前なら、こんな時彼は自分の部屋へ逃げ込んでいただろう。実のところ、一年前ならここへ来ることすらしていなかったはずだ。

今この沈黙を破らなければならないのは自分であると、彼には分かっていた。

「両親が…事故で亡くなって、十年だ」彼は言葉を詰まらせ、苦労して言葉を選んだ。

「そして俺は、彼らと一緒に十分すぎるほど長く死んでいたと思う」

彼は暗いコーヒーの水面を見つめていた。そこにはキッチンの戸棚の輪郭がゆっくりと反射していた。祖父母は素早く、信じられないといった視線を交わした。

二人の目には同じ無言の問いが浮かんでいた。彼がついに立ち直ったというのは、あり得るのだろうか?と。

「ああ、随分と時間がかかってしまったことは分かってる。でも、もう前に進む時なんだ」

そう言いながらも彼は顔を上げず、その肩は少し落ちていた。まるで、失われたすべての年月に対する謝罪と、自分自身への怒りを示すかのように。

「私たちみんな、辛かったのよ」祖母は優しく囁き、彼の手の上に自分の手を重ねた。

「起きたことは、変えられん」と祖父が付け加えた。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。


「起きたことは、変えられん」


祖父の言葉は短く、でも

その重さは部屋中に広がりました。


次の話でまたお会いしましょう。

— Tuttimi

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