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64話 四号棟の不思議な部屋 傾く部屋と回転ブランコ

灯詠学園四号棟前。


「んんっ・・・。開かない・・・」


四号棟出入り口の扉前で、扉を押して開けようとしているリスタ。

秋司も扉を押すが開かない。

鍵がかかっているようだ。

リスタはマイスペースから針金を二つ取り出し、ピッキングを始めた。

少しすると鍵が開く音が鳴り、秋司とリスタは扉を開けて四号棟に足を踏み入れた。


うーん。

出入り口の近くは一号棟と同じように広いスペースがある。

でも、一号棟と違って食堂は見当たらない。

ん?

ここは一号棟だと、大広間がある場所。


秋司とリスタは周りを見渡しながら歩き、一号棟でいう大広間がある場所にやって来た。

しかし、その部屋の出入り口になっている扉は大広間の扉に比べてかなり小さい。

リスタが扉を押して開けると何も置かれていない、教室と同じような広さの空間が広がっていた。


「何もねーな・・・」


リスタはゆっくりとその部屋に入った。

秋司もゆっくりと足を踏み入れた。

二人がその部屋に入ると、突然出入り口の扉が閉まった。

そして・・・。


「うわあああああ」


二人は背中から出入り口の扉がある壁に衝突した。

その部屋に秋司とリスタが入った途端、部屋が二人がいる方、出入り口がある壁が四十五度傾いて下がったからだ。

まるでシーソーの様に。


「な、なんだぁ・・・?」

「な、何が起こったんだろう・・・?」


リスタと秋司は驚き固まった表情のまま呆然としている。


(この部屋・・・、いきなり扉が閉まって、その直後に傾いた。んー・・・。重さだな。この部屋内で、俺と秋司がいる方が傾いて下がった。つまり、俺があっちに行けば・・・)


「リスタくん?」


リスタは坂を駆け登る様に傾いた部屋の床を駆け上がり、出入り口の扉がある壁の反対側にある壁に辿り着いた。

リスタが走っている途中から、部屋がフラッフラッと少し動き、リスタが反対側の壁に到着して足が止まると、四十五度あった傾きは、五度にも満たない傾きに変わった。

秋司がいる扉がある壁側が少しだけ下がっている。


(やっぱりな・・・。重さで傾く部屋か。だが、俺がこの部屋の中央ら辺を越えた時、既に傾きが変わり始めた。それも急に。できるだけ地面に足をつけないように走っていたから、少し揺れるように感じたけど、この部屋はシーソーというより天秤の様に、中央を越えた瞬間一気に傾くな)


「それでー・・・。どうやってここから出るんだ・・・? 秋司ー、扉開く?」

「ちょっと待ってね。んんーっ・・・。開かない・・・」


リスタの声を聞いて、秋司は出入り口の扉を引いて開けようとするが、びくともしなかった。


「なるほどー。閉じ込められたな・・・」

「リスタくん。この部屋ってシーソーみたいになっているの?」

「ああ。シーソーというより天秤の方が近いかも。この部屋の中央を越えると急に傾く」

「そっか・・・。扉もこの扉しか見当たらないし、どうやって出るんだろう」

「んー・・・。入った時と同じ様にすれば扉が開く・・・かな」


うーん、そっか。

僕たちが入ってこれたということは、その時と同じ状況にすれば出入り口の扉が開くのかもってことだよね。

つまり、傾きを無くす。

今の状況は僕がいる方が少し下がっている。

リスタくんの方に少し重りを置けば、傾きがなくなるかな。

氷転で氷を置く?


「リスタくん。僕の氷転でそっちに氷を置くよ」

「んー、それだと微調整が必要になって面倒臭いよ? それよりももっと楽な方法がある。秋司、中央に近づいて」

「うん」


リスタと秋司は部屋の中央に近づいた。


「秋司、風昇で俺と秋司を上空に飛ばしてくれっ」

「うん、わかった。風転風昇」


秋司は風昇で自身とリスタを上空に吹き飛ばした。

天井に当たらないように。

すると、部屋の傾きがなくなり、部屋の出入り口の扉と、反対側の壁の一部が扉のように上に上がって開いた。

秋司とリスタは顔を合わせ、微笑みを浮かべ、出入り口の扉とは反対の壁に開いたスペースに視線を向けた。


「床に着地しても、扉が閉まるまでは傾かないよね?」

「うん。だからできるだけ近くに着地して急いで通ろう」


秋司はリスタの答えを聞き、二人はタイミングを合わせて後ろに風出を放ち、出入り口がある壁の反対側の壁に向かって飛び込み、近くに着地すると、急いで開いたスペースに飛び込んだ。

二人が次の部屋に入ると、すぐにドアが下がり開いたスペースを塞いだ。

新たに入った部屋でも閉じ込められた二人。

そして二人の前方には床はなく、大きなブランコの様な物が時計回りに回っている光景が広がっていた。

反対側の壁の近くには床が少し広がっているが、入ってきた壁に繋がっている床と反対側の壁に繋がっている床は繋がっておらず、かなり広いスペースが空いている。

床がないスペースで回っているブランコの様な物は、鎖の部分は木で作られたであろう円柱形の柱と、座面も同じく木で作られたであろう直方体の足場で構成されている。

そのブランコの様な物は時計回りに、大きな円を描くように回っている。


「うーん・・・。つまり、これに乗って向こう側まで渡れってことかな?」

「んー・・・。そうかな・・・。まあ、渡ってみようよ」


秋司の問いに、リスタは首を傾げながら答えた。


(んー・・・。天井は壁と同じ様に、真っ白・・・。どうやってこのブランコみたいなやつは動いてんだ? 天井と繋がっている二本の柱は当然動いているけど、柱が通り過ぎた天井は何もなかった様に真っ白。まあ、生成術で作られた仕掛けってことかな)


リスタは天井を見ながら考え、ブランコの様な物に飛び移る準備をする。

タイミングを合わせ、近くにきたところを狙ってジャンプして足場に飛び移り、再びタイミングを合わせて反対側の床に向かってジャンプして、無事に着地した。

秋司もリスタと同じ様に、無事に反対側の床に着地する。

しかし、二人が渡り終わっても壁にスペースができない。


「うーん、戻れば開くのかなぁー? そしたら前の部屋に戻るだけだよね・・・。この部屋の先に部屋はないのかな? でも・・・」

「うんっ、この部屋で終わりって感じはしないよね。まっ、一回戻ってみよう」


秋司とリスタは再びブランコの様な物に飛び乗り、入って来た壁側の床に着地した。

しかし、壁にスペースができない。


「違ったね・・・。だとすると、このブランコに何か隠されているのかな?」

「んー・・・。秋司、この部屋に入った時、反対側の壁にスペースができたりしていたか、見た?」

「ううん。壁は見たけどスペースは空いていなかったよ」

「このブランコは入って来た時には、もう動いていたよね?」

「うん、動いてた」

「そしたら、もう一回向こうに渡って、このブランコの動きを止めてみよう」


秋司とリスタは再び、反対側の壁と繋がっている床に渡った。


「うーん、僕の結界術で止めてみるね」

「うん、お願い」


秋司は結界術の壁を時計回りに回っているブランコの様な物の進路に張る。

結界にブランコの様な物が当たると、動きが止まり、後ろの壁の一部が扉となり、上に開いた。

二人は次の部屋に足を踏み入れた。


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