再会
翌日のこと――
土曜日で学校が休みだったため、寝だめしようと思い、起きた頃にはもう昼の十二時を回っていた。
本当は寝だめなんかせず、毎日、規則正しい生活をするべきなんだろうけど。
俺は、昨日の出来事が頭から離れず、喋る猫と出会った場所へ、もう一度行ってみることにした。
「夢じゃなかったもんな……」
昨日、確認のためにつねってみた頬を人差し指で撫でながら、俺は呟いた。
「遅いじゃないか。言っておくが、これは夢でもなんでもないからな!」
暗く狭い路地から、例の猫が姿を現した。
「で、出たっ!!」
思わず、そう口にしてしまった。
「出たとは何だ!失敬な!」
「いや、喋る猫を目の当たりにして、ビックリしないやつはいないだろ!」
俺はそう切り返した。
「そ、それもそうか……ところで、お前は何者なんだ?」
猫は納得しつつも、怪訝な顔をして、俺にすっとんきょうな質問をした。
「待って、こっちが聞きたいくらいだ!喋る猫なんて……ちなみに、俺はただの高校生だ!」
「俺はここを通る人間に声をかけ続けた。お前に声をかけたように。反応するやつは、みんな飯をよこすだけだった。だが、お前だけは違った。運命だとは思わないか?この出会いを。」
「なるほど。お前の声は俺にしか聞こえないと……って、納得出来るわけないだろ!?――けど、俺も何かの運命を感じたのは同じだ。」
「ほら見ろ、同士じゃないか。」
猫は偉そうに、俺に向かってそう言った。
この猫はこれまで、この一帯を調べて回り、地形を把握したと言っている。
その他にも、近所の猫の家出騒動を解決したりもしていたらしい。
家主が心配してるから家に帰ってやれ、と言うと、家出猫もちゃんと帰るんだと。
猫同士は、言葉が通じるのだろうか。
さらに、この一帯では一番強く、ボス的存在であるとも言っていた。
「……俺は颯介。お前の名前は?」
「俺は、ムタと呼ばれている。この辺の住民たちにな。もっとかっこいい名前が良かったんだが。」
ムタは、ぼそぼそと文句を言っている。
「それと、もう一つ。お前の目的はなんだ?」
俺はムタに聞いた――一番気になっていたことについて。
「単刀直入に言う。俺の正体を一緒に調べてほしい。俺には、ここへ来るまでの記憶がなくてな。この身体で調べるには限界がある。」
ムタはこの身体を見ろとでも言うように、二本足で立ちあがった。
「面白そうじゃん。それ、のった!」
こうして、俺とムタは、ムタの正体と記憶を探るべく、タッグを組むことになった。
この時の俺たちは、この出会いが、無慈悲な運命を導こうとしていることを、まだ知りもしなかった。




