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おじさん、再び海へ

 数日ぶりにこの手で、バンノウマルのハンドルを握る。海底ダンジョンの第二層、ここへ転移してきたのは俺だけじゃない。時空戦艦も共にここまでやって来ている。頼もしい、俺の仲間だ。


 数日の改装を経て、時空戦艦の姿は変わっていた。まるで戦艦から結晶が生えているかのような、というか、結晶で包まれているみたいな見た目。ミスリルの追加装甲だ。これで雷に強くなっていると良いのだが。


 今回の改装で俺が見つけたミスリルの鉱脈は枯渇してしまったらしい。結構な量のミスリルを使ったなあ。まあ、悪い使い方ではなかったと思う。できれば、また新たな鉱脈を発見したいね。それまで、ミズモグラ君は休暇中だ。


「アイ、改装した時空戦艦はとても強そうだ」

「強そう、ではなく強いんです。ここから先は時空戦艦も共に進みますよ」


 アイとの通信の後、俺はバンノウマルの右ハンドルを回す。前進する俺に会わせて、時空戦艦も進みだす。


 並走……というには両者のスケールは違いすぎる。クジラの横を泳いでるみたいだ。ちょっと緊張する。ぶつかったりしないように注意しよう。


 海底ダンジョンは全階層が広い海になっている。とは、リッチ先生からの情報だ。これを信じ、この先は時空戦艦と共に進んでいく。


 やがて、第二層の黒い壁が見えてくる。第二層から第三層へ。まずは俺が壁を超える。壁に振れて、グンッと上昇するような感覚の後、俺はまた広い海中に出ていた。なんとなく、第二層よりは辺りが明るい気がする。


 暗いところの探検も良いが、やっぱり明るい海も探検したいよな。この先、どのような光景が待っているのだろうかと、心が踊る。


 ただ、これまでよりも水が冷たいのは気になるところだ。北の海ってかんじなのだろうか?


「アイ、時空戦艦でこっちに来てくれ。安全は確認した」

「承知いたしました。すぐに向かいます」


 ほどなくして、黒い壁から時空戦艦が姿を現す。壁を突き破るように出現する姿は、なかなかに迫力がある。かっこいいねぇ。


「第三層でもワープポイントを設置しておこう」

「はい……設置完了しました」

「それじゃあ行こうか。アイ」

「お供します。ヨータ様」


 そうして進むことしばらく、第三層で初めての魔物と遭遇する。第一層でも戦ったクラーケンだ。こいつは、時空戦艦の新装備を試すのにちょうど良い相手かな?


「アイ、魚雷の試し撃ちをしてみよう」

「承知いたしました。魚雷、発射します」


 時空戦艦から、二発の魚雷が発射される。クラーケンはそれを触手で掴もうとするが、触れてすぐに魚雷が爆発! クラーケンの体を半分以上吹き飛ばす! 良いねぇ。なかなかの威力だぁ。


「魚雷の威力は充分だな。先の決戦に向けて、残りの魚雷は温存しておこう」

「温存できれば、良いのですが」

「だよねえ……ま、なるべく温存っていう方向で」


 なんて話してると、やられたクラーケンに誘われたのか、新たな魔物がやって来る。キラーホエール。つまりシャチだ。結構なでかさがあり、十メートルは優に超えているのではないだろうか? なかなか怖い。


「ここは、金色の槍で倒す。アイ、槍を」

「グッドラックです。ヨータ様」


 流石にスピアガンでどうにかなる相手ではないだろう。より大きな、槍が必要になってくる。敵を倒すのに充分な武器はある。つまり、勝てるはずだ。


 シャチはクラーケンの肉片に噛みつき、引きちぎった。こちらへと、向かってくる様子はない。それどころか、こちらに背を向け、去っていく。なんだ……戦う気はないのか?


「シャチは賢い生き物ですからね。無駄な戦闘はしないのでしょう」

「なるほど? まあ、襲いかかってこないなら、それで良いんだが」


 シャチとは別の魔物がこちらへ迫ってくる気配。今度も戦わないで済むなら、それで良いんだが……次はどんな魔物が相手だ?


 待ち構えていると、海の向こうからそいつは現れた。人形の流氷のような、巨大なシルエット。さっきのシャチよりも一回り大きい。なんだこいつ!?


「ヒトガタってUMAの話は聞いたことあるが、あれがそうか?」

「いえ、あれはアイスゴーレムですね。なかなかの大きさです」

「ゴーレムって泳ぐんだ……」


 ゴーレムが泳ぐという事実に軽い衝撃を受けつつ、俺は槍を構える。バンノウマルのハンドルから手を放し、運転は魔法でおこなう。魔法での運転はぶっつけ本番だが……上手くいきそうだ。


 俺はバンノウマルを加速させ、アイスゴーレムへ向かっていく。敵は意外と動きが速く、俺との距離を詰めながら拳を突き出してくる。速いが、見えないほどじゃない。余裕で回避できるぞっ。


 アイスゴーレムの背後をとった! 槍の一撃を放ち、敵の後頭部を破壊! が、敵はそんなダメージを気にしていない様子。裏拳が飛んでくる。


「アイ、想像以上に敵がタフだ」

「アイスゴーレムは体にコアを持っているはずです。そこを狙ってください。ヨータ様」

「なるほど?」


 弱点を探してそこを狙えってことか。面白くなってきた。


「了解だ。アイスゴーレム退治、やってやるさ!」

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