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おじさん、更に魔法を学ぶ

 ルリカさんたちと移動すること、しばらく。広い戦艦の移動は腹ごなしの運動にはちょうど良い。

 

 時空戦艦、アクアリウムエリア。暗い水槽を光り輝く魚たちが優雅に泳いでいる。また、通路には、ぼんやりと光る光球が浮いていて幻想的だ。光球はリッチ先生が設置したものだろう。良い仕事してますねえ。


「ようこそ、時空戦艦の水族館へ。そろそろ来る頃だと思ってましたぞっ」


 薄暗い通路で俺たちを出迎えてくれたのは魔法使いのようなローブをまとったリッチ先生。なんだかノリノリに見えるが、俺たちに魔法を教えるのが楽しくなってきてたりするんだろうか? そうだとしたら嬉しいね。


「先生、そのローブはどうしたんだ?」


 俺が聞くと、先生は「よくぞ聞いてくれましたっ」と元気良く応えてくれた。良いテンションだねぇ。話してて楽しくなるぞ。


「アイさんが用意してくれたんですよ。魔法の勉強会をするなら、こうした方が雰囲気が出るでしょうって」

「あくまで、ヨータ様たちのためですからね。きっちり、先生はやってもらいます」

「任せといてください。皆さん魔法の覚えが早いので、教えがいがあるというものですよっ」


 アイはこう言っているが、結構先生に心を開いてくれてるよな。この前、俺が先生のための本を買いに行くのにも付き合ってくれたもんね。あの時は、先生めっちゃ喜んでたなあ。プレゼントした方も嬉しくなっちゃった。アイもそうだったりしたのだろうか?


 と、それは置いといて。今、先生の言ったことが少し気になる。


「俺たちって魔法の覚えが早い方なのか?」

「魔法というものは本来……簡単に覚えられるものではないですよ……正直、皆さんは我より魔法の習得が早いくらいです」

「そうなのか」


 てっきり、リッチって種族は最初から魔法を覚えているものかと思っていたが……もしかしたら通常のスケルトンの中から、魔法を修得した者がリッチに進化するとか、そういう感じなのかもしれない。そうだとしたら、先生は人知れず努力していたんだなあ。


「それじゃあ、先生。今日も勉強会をやろう」

「よろしくお願いします」

「あたしも頑張るぜぇ」


 俺たち全員、やる気充分だ。今日は何を教わるのか、楽しみだっ!


「では、今回は的当てをやってみましょうか」


 先生が前方を指差し、宙に水の柱が現れる。近くを浮遊していたロボットが慌てて避けているのが、ほほえましい。


「ルールは簡単。水球を作り、それから的を攻撃してください」

「本当に簡単だな」

「ですが、柱は結構な強度で作っていますから、簡単には壊せませんよ」


 自信満々といった様子の先生。ほう、これはやりがいがあるな。さて、トップバッターは誰が行くか、だが。


「まずは、あたしがやるぜ。これでも結構練習してきたんだ。自信はあるっ」


 トップバッターはメグ師匠か。お手並み拝見だな。彼女は先生が指定した位置に付き、そこで構える。魔法を使うというよりは、気弾でも放ちそうな感じだ。彼女的には、あれが最もイメージを固めやすいフォームなのだろう。


「いくぜっ」


 師匠が構えた手のひらの上に、水球が発生する。水球に回転がかかり、ギュインッと動く。あれは当たると痛そうだ。


「ぶっ飛びやがれっ!」


 師匠は構えた手を前に突き出すようにして、水球を放った。それはぐんぐん加速していき、水の柱に激突!


「やったか?」


 結構な威力の攻撃だったし、師匠は手応えを感じたのだろう。だけど師匠、それは使っちゃいけないフラグだぜ。


「……柱は、壊れてないのかよっ。結構な威力出てたと思うんだけどなあ」

「メグさんの水球はなかなかの速さでした。ですが、それだけでは我の柱は壊せませんぞ」

「くっそ~」


 悔しがるメグさんに続いてルリカさんが的当てに挑戦。彼女、魔法のコントロールは俺たちの中で一番上手いと思う。すでに複雑な形を作って自在に操ったりもできるようだから。凄いと思う。


「先生、水球っていうのは、同時にいくつも作って良いんですか?」

「良いですよ。コントロールできるのであれば」


 ルリカさんはニヤリと笑い「遠慮しませんよっ」と良い放つ。直後、彼女の周囲に無数の水球が出現した。


「これだけの数があればっ!」


 無数の水球が連続して柱に襲いかかる。流石にこれなら……やったか?


「……ああっそんな!?」


 ルリカさん、結構自信があったのだろう。それだけに、柱が壊れることなく健在だったことにショックを受けているようだった。あの柱、ちょっと硬すぎないか? それだけ、壊せた時は気分が良いだろうが。


「水球の数を増やすというのは、単純かつ強力な手段です。手数が増えてるわけですから。ただ、あの柱を破壊するには威力が軽すぎましたね」

「うう……残念です」


 ルリカさん、本気で残念そうだ。よし、俺が師匠やルリカさんの敵を打つぞ。で、問題の柱だが、壊すためのヒントはすでに先生がくれているんじゃないか? そんな気がするぞ。


 考えろ。師匠の速さやルリカさんの手数には足りなかったもの……ん? ああ、そうか。そういうことね。なら、結構簡単じゃん?

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