おじさん、時空戦艦を探検する
「ところでヨータ様。時空戦艦の内部へ行ってみませんか?」
「今すぐ行けるの?」
「ええ、すぐにアクセスできます」
自室でくつろいでいる時にアイから提案され、俺は少し考えた後に頷いた。やっぱり、時空戦艦のことは気になるもんね。
「よし、それじゃあ時空戦艦を案内してくれ」
「承知いたしました」
アイの言葉と共に景色が歪む。そして数秒後、俺は見知らぬ場所に移動していた。なんというか、アニメとかで見た艦橋みたいな場所だ。艦長とかが指揮するところ。
となると、ここの艦長は俺か? なんだか凄く興奮する!
「うちーかたーはじめ!」
「……ヨータ様、ここに敵はおりません」
思わず叫んでしまい、それをアイに注意される。自分でやっといてだが……注意されると恥ずかしいな。まあ、敵が居なさそうなのは分かるよ。外、真っ暗だし。
「ここは、どこかのドックかい?」
「いえ、時空の狭間を漂っているのです。それでは、案内を続けましょう。迷わないように、私のナビに従って動いてください」
「了解!」
アイの案内を聞きながら、戦艦内を進む。船長室やクルーのための部屋、厨房や温泉、娯楽室などなんでもある。船というより一つの街みたいな印象で驚かされる。
「これ全部俺のものか。凄いな」
「ヨータ様の活躍次第で、ここは更に凄くなりますよ。次はいよいよ、戦艦のファクトリーへ案内します」
「よ、待ってました!」
そこは、稼働を停止した工場のような場所だった。実際、工場なのだろう。ここで何を作ることができるのか。興味深々だ。
それから一通りファクトリーを見て回る。昔、子ども時代に行った工場見学を思い出せて楽しい時間だった。
「今は止まっていますが、素材さえあれば、様々なものを作ることが可能です。今は何もありませんが」
「素材……ダンジョンの魔物を倒せば良いのかい?」
「他にも、ダンジョン内で手に入る鉱石などが使えます」
「それは良いね。で、アイさんや。さっき君は、君の体を作れるとか話してたが、それを目標として優先した方が良いのかな?」
「できれば、そうしていただけると。何かと便利になりますので」
「ふうむ」
なら、これから俺が目標とすべきはアイの体を作ることだな。目標があるのは良いことだ。何をすべきか分かりやすくて良い。
「良いよ。アイの体を作るために素材を集めよう。機械部品とかが必要になるのかい?」
なんとなく、AIのための体というと、そういうイメージなのだ。
「ヨータ様は私に機械の体をお求めですか?」
「いや、特別お求めって訳では……」
「良いですよ。では、ダンジョン内でマリオネットという魔物とアイアンゴーレムという魔物をお探しください」
「ん、分かった。マリオネットとアイアンゴーレムだな」
「ターゲットの詳しい情報は必要ですか?」
魔物の情報か。まあ、あった方がいいよな。とはいえ、こういうのは自分で調べた方が楽しそう。
「いや、調べるよ。探索者協会のホームページとか。ルリカさんの過去動画を調べれば出てくるかも」
「ルリカ……ヨータ様は随分と彼女に惚れ込んでいるようですね?」
「ただのファンだけど、惚れ込んでるのかなあ」
ルリカさんに恩義を感じてはいるが、それが惚れ込むっていうのは……どうなんだろう? 自分の気持ちについて考えてしまう。
「……自分の気持ちにも鈍いとは、呆れました」
「何か言ったか?」
「いえ、何も……」
アイが何か言っていたようで気にはなるが、今は彼女のために動くことが先決だ。となれば早速情報収集が必要だろう。スマホを手に取り、気になったことをアイに聞く。
「ところで、ここって電波入る?」
「ええ、入りますよ。時空戦艦の超技術により、別時空に居ながらスマホは普段通りに使えます」
「そいつは良いや」
「せっかくですし、快適な場所で調べものをなさってください」
すると、再び景色が歪み、数秒後には別の場所へ移動していた。ここは、さっき案内された船長室だな。ふかふかのベッドや高級そうな机があって快適そう。良いね。
俺はベッドに腰かけて、先ほどアイから聞いた魔物について調べる。探索者協会のホームページを見ればすぐに求めていた情報が見つかる。どうやら、渋谷ダンジョンの十層付近で目的の魔物は見つかるらしい。
十層まで行くのは、少し大変だろうか? 一層攻略するのに半日はかかるとして、少なくとも五日の旅か。結構、大変そうではあるな。
俺を助けてくれるアイのため。ここは頑張るとしよう。けれど、あくまで慎重にね。ワイバーンを一撃で倒せる超強力なスキルがあるとはいえ、まずいと思った時には、ダンジョンから撤退することも考えておこう。
それじゃあ、十層を目指すために引き続き情報収集。今日明日で、できるだけ準備して、明後日から再び渋谷ダンジョンに突入だ。
それはそうと、このベッドまじでふかふかだな。寝転ぶと自然に気持ちよくなってくる。目をつむると自然と眠りに落ちていくような感覚があった。
「アイ」
「なんでしょうか?」
「ちょっと寝る。お休み」
「ええ、お休みなさい。ヨータ様」




