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おじさん、アクアリウムを始める

 ハナヤギ会長との会議の後、情報提供をしてくれたリッチ先生には体を作ってあげた。アイアンゴーレムの素材を使ったスケルトンの模造品ボディ。気に入ってもらえると良いのだが。


「……なんだか、少し体が重い気がしますね。けれど、これはこれで」


 お、結構気に入ってもらえたかな。リッチ先生、色んなポーズをとってくれて、こっちも嬉しい。ただ、マッスルポーズをとっても骨しかないのは、突っ込むべきところなのだろうか? 判断に困るな。

 

「そうか。なら良かった。ところで、アイから話があるらしい」

「ひ、ひぇ……な、なんでしょうか?」


 リッチ先生、怯えちゃってるなぁ。アイに苦手意識を持ってしまったようだ。さっきの、頭への攻撃は痛そうだったもんなぁ。


「リッチ先生、あなたが再び体を手に入れた今、勝手にあちこちを出歩かれては困ります。なので、あなたのための部屋を用意しました」

「部屋! 良いんですか……!」

「あなたはヨータ様の先生でもありますからね。今のところはベッドくらいしか用意していませんが、必要なものがあれば言ってください」

「必要なものを言えば用意してくれるんですか……!? 我、最近の本とか気になります!」

「私が許可したものだけですよ。その代わり、体と部屋を与えるのですから、あなたには部屋や周囲の管理をしっかりお願いします」

「もちろんですよ……! 部屋と周辺の管理ですね! 任されました!」

「言質は取りましたよ」


 リッチ先生、嬉しそうだけど、アイがニコニコしてるのが怖いなぁ。なんて思っていると。


「ヨータ様、アクアリウムの用意ができました。リッチ先生の部屋と合わせて、ご紹介しますね」


 リッチ先生の部屋と合わせて? その言葉が少し気になったが、とりあえずアイについていくとしよう。


 アイの後ろを歩くこと数分、エレベーターに到着し、皆で入る。なんかエレベーターの階数が高層ビル並みに多いんだけど、この戦艦ってそんな縦に長かったっけ? その疑問に答えるように、アイが言う。


「前にも言ったかと思いますが、空間操作の応用で場所を確保しています。アクアリウムを増やすのに合わせて、色々と空間を拡張しました」

「なるほど? 凄いんだなあ」

「これから向かうアクアリウム専用の改装には、広大な水槽と警備員専用の居室を用意しました。水槽内の魔物たちは、時空戦艦のシステムで管理します」


 ほぉん? ん、警備員専用の居室? 警備員なんていたっけか? 一瞬考えて、ああ……と思う。これからアクアリウムを警備することになる本人はそのことに気付いているのだろうか? パソコンの持ち込みくらいは許可するようアイには言っておこう。


 ほどなくして、目的の階に到着、エレベーターの扉が空く。左手に巨大な水槽がどこまでも続いている。かと思えば、右手に警備員室と書かれた扉が見える。この周辺の管理って、さっきアイは言っていたよな。え、どこからどこまで管理……というか警備させるつもりなんだろう?


「ここが、ヨータ様のアクアリウム。この階層の全てが、あなたの水族館です!」

「凄いな。この階層全てか」

「そして、リッチ先生に警備してもらう階層にもなります」

「……え!? この広そうな階層を我一人で!?」

「一人で全てやれ、とは言いません。後で警備用のロボットを製造し、そちらへ送ります。先生にはロボットへの指示と、日誌の記入をお願いします」

「ロボットに指示……わ、我にできるでしょうか?」

「私が用意するロボットは優秀です。これから先のことも考え、この階層では、ロボットが上手く機能するかをテストします」

「ゆ、優秀なのにテスト……?」


 困惑する先生に、アイがきっぱり「優秀です」と言いきる。それにしても、この先のこととは、どういうことだろうか?


「ヨータ様、今後も時空戦艦を拡張していくなら、私と時空戦艦のメインシステムだけでは管理しきれなくなる時も来るでしょう。そうなる前に、簡単な指示に従うロボットを作り、試してみたいのです」

「そのための実験場としてここを使うと……良いんじゃない? むしろ、先生に一人でここ全部管理しろとか言い出さなくて安心した」

「……私も、そこまで鬼ではありませんよ」


 一瞬、間があったのが怖いなぁ。先生は結構大変かもしれないけど、頑張ってもらうとして。ロボットってのはどんなのだろう? 気になるな。


「……俺はこれからまた海底ダンジョンに潜る。帰ってきたらロボットたちを紹介してよ」

「分かりました。それなりの数のロボットを用意しますので。良ければ、名前をつけてあげますか?」

「名前か。それはまた、後で考えるよ」

「承知いたしました。それでは、我々はドックへ向かいましょう。バンノウマルの整備を済ませてあります」


 アイは先生に「それでは、指示があるまで部屋でくつろいでいてください」と言い、俺の手をとった。周囲の空間が歪み、時空戦艦のドックへ移動する。


 海底ダンジョンに潜る準備をしながら、できるだけ魔物を捕まえてこようと意気込む俺だった。


「ヨータ様、頑張ってください。夕食のアンコウ鍋を作って待っていますよ」

「ああ、それじゃあ行ってくる!」

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