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おじさん、尋問する

 時空戦艦、会議室。結構立派な部屋で、なんというか……大学時代に通っていた講義室みたいだ。いくつもの長い机が並んでいて、後ろの方の席からは演台が見下ろせる。


 部屋は薄暗く、演台の近くには、ダンジョンの魔物とか、建築物とか、様々な映像が浮かんでいる。アイが雰囲気を作ってくれているのだろうか。


「ヨータ様、お好きな席に座ってください」


 アイに促され、前の方の席に着く。なんとなく、そうした方が良い気がした。それと、この部屋は広くて寂しいので、リッチ先生を連れてきた。まあ、彼のことを会長に報告しときたい気持ちもあるしね。


「あの、我はこれからどうなるんでしょう?」

「ん、ちょっと。あんたを紹介したい人が居てね。それと、あんたに聞きたいこともある」

「聞きたいことですか……?」


 不安がる先生に俺は努めて明るく答える。彼には、正直な話をしてほしいしな。

 

「そう、聞きたいこと。あんたはダンジョンの第二層に現れたSランクの魔物だ。つまり、俺が何を疑って、知りたがっているかは分かるだろ?」

「は、はて。なんのことか……」


 先生。汗がダラダラですぞ。というか、明らかに隠してることがあるって反応だな。あまり詰めるのはかわいそうだけど、これは知っておくべきことだからね。


「何も知らないんなら、それで良いんだがね。俺としては嘘をついたり、知らないふりはおすすめしない。後でアイの逆鱗に触れるかもしれないし、彼女は、俺ほどあんたに優しくない」

「ひえぇ……!」


 脅かしすぎたかな? アイの方を見ると、彼女は肩をすくめている。彼女も、俺と同じことを考えているだろう。先生が長生きできるかは、彼の返答にかかっている。だから、正直に答えてもらうためにも、脅かしすぎくらいが良いだろう。


「ヨータ様、そろそろ時間です」


 アイが予告し、ほどなくしてハナヤギ会長の映像が演台に現れる。こうしていると、大学の教授みたいだ。久しぶりに顔を見られて、結構嬉しい。


「ごきげんよう。ヨータさん、アイさんも」

「ああ、お久しぶりです。会長」


 俺は早速、会長にリッチ先生を紹介することにした。彼のことを伝えると、会長は「リッチですか」と眉を寄せる。うん、彼女が思っていること分かるよ。これからそのことについて、確認しようと思う。


「会長も気になりますよね。彼のようなSランクの魔物が、どうして第二層なんかに居たのか。まあ、俺はリッチって魔物がSランクだってことをついさっき知ったんですが」


 思い返せば第一層にも、Sランクの魔物は現れていた。ダイオウイカの魔物、クラーケンだ。そして今度はまたSランクの魔物が現れる。リッチ先生だ。短い期間に二体もSランクの魔物を発見すれば、これが魔王種の影響か疑いたくもなる。


「リッチ先生、俺は今、あんたと魔王に関わりがあるんじゃないかと疑ってる。確信はないがな」

「わ、我と魔王に関わりがあったらどうなるんです?」

「あんたと魔王に関わりがあったとして、それは構わないよ。ただ、あんたが魔王について知っていることを話してくれたら、助かるんだ」

「……」


 間違いなく、先生は何かを知っている。ならば、俺は彼を味方につけたい。敵の情報が分かれば、色々と楽になるだろうしな。


「……あんたが知ってることを話してくれたら助かるし、俺は魔王が相手でも勝つつもりだ。実際、つい最近魔王の一体を倒した。ウー・ザ・スラってやつだ」

「え、ウー様を!?」

「その反応、やっぱりあんた魔王と関係があるだろ」

「……!」


 先生は汗を流すばかりで話そうとしない。まあ味方を裏切れって話だからな。とはいえ、もう一押しって感じはするんだよなぁ。あ、そうだ!


「先生、あんたがこっちの味方をしてくれるなら、あんたのために新しい体を作ってやっても良い」

「新しい体を!? 本当ですか?」


 まあ、スケルトンのボディくらいなら簡単に作れるだろうし、彼が何か悪さしようとするなら、その時は頭を粉砕すれば良いだけだし。

 

「ああ、ヨータおじさん嘘つかない」

「う、ううむ? ううむ……でもなあ……」


 この期に及んで悩む先生に、アイが業を煮やしたのだろう。彼女がパチンと指を鳴らすと、ドクロについた輪っかがギリギリと音を立て始める。こ、怖い……!


「い、痛い! 痛いです! やめてください! 割れてしまいます!」


 先生、ガチで痛がってるな。今更だけど、骨しかないのに痛覚あるんだ。かわいそうだけど、これくらいしないと口を割らないかもなぁ。なんて思ったり。


「ヨータ様が優しく話していればクドクドと……ここでそのドクロを割ってやりましょうか」

「わ、分かりましたぁ。話します! 話しますから静かに怒らないでぇ! 怖い!」


 ほどなくして、輪っかのギリギリ音が鳴り止む。先生は「ハァ……ハァ……」と白い息を吐いていた。どうやって白い息を吐いているんだろう。不思議だ。


「では、話しましょう。ウー様を越える大魔王。海賊艦隊と七つの海を支配する大海竜、サン・リバイア様のことを」


 サン・リバイア……リバイアサンか? こりゃまた、とんでもない大物の登場を予感させるな。


 そして、リッチ先生はこのダンジョンの奥に潜む大怪物について話し始めた。

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