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おじさん、新たな計画

 第二層の探索を初めてからほどなくして、遠くに見えていた光の正体が分かった。それは鉱石の光ではなく、巨大な魚の発する光と分かる。勝手に期待していたわけだが、ちょっとがっかり。


 キンメダイのような魔物だったり、イワシのような魔物。どれも発光している。ただの魚のようにも見えるが、アイ曰く立派な魔物らしい。こちらを襲ってくる様子は無かったので、手はださないでおく。それより今はバンノウマルの運転の方が楽しいし。


「ヨータ様、とりあえず狩っておくわけではないのですね」

「今夜の魚は決まってるし、昼は魚以外のものが食べたいからなぁ。それに、タイやイワシが食べたくなれば、またその時ここに来れば良い。そのためのワープポイントだろ?」

「そうですね。では、これらの魚を捕りたい時には、また来るとしましょう」


 アイの声音から、彼女が少し残念がっているのが分かる。ふむ? そんなに調理してみたかったりするのだろうか? アイの作る料理はなんでも美味いし、明日はタイかイワシにするか。なんて考えていると。


「……実は、ハナヤギ会長から、できる限り海底ダンジョンの情報を集めてほしいと要望が来ています。それには、もちろん魔物の情報も含まれます」

「なるほど?」

「情報には相応の報酬を払うとのことです。もちろん、ヨータ様に無理の無い範囲でのハントをおすすめします」

「ハナヤギ会長には何かとよくしてもらってるからな。うん、道中の魔物は無理しないペースで狩っていこう」

「ありがとうございます。あまり、あの会長には、ほどほどに借りを作りつつ、ほどほどに返していきましょう」

「上手く付き合えってことね。了解だ」


 それから、道中の魔物をほどほどに狩っていく。いつか見たウツボの魔物だったり、それと同じくらい大きなリュウグウノツカイ。その他、見た目のグロそうな魚の魔物など色々見つかる。魚の種類が豊富で飽きないな。水族館に来たみたいだ……ぜ?


「あ、良いこと思いついたかも」

「……良いことですか?」


 不思議がるアイに俺は思い付きを話してみることにした。いや、結構素敵なアイデアを思いついたと思うんだよね。


「アイ、時空戦艦の中に水槽……というかアクアリウムみたいなものは作れないかな? 海の魔物を集めて飼うんだよ」

「なるほど。それは面白い考えですね」

「というか、アクアリウムどころか水族館だな。海の魔物をたくさん集めて、管理する。名付けて、魔物保管計画! と言ったものの、それは、結構手間だろうか? スペース的にもきつかったりする?」

「いえ、全く問題ありません。艦内の空間を弄ればスペースはいくらでも確保できますし、艦内での魔物の飼育は自動化も可能です」


 良いね良いねぇ! テンション上がってきた!


「となれば、問題は……」

「水槽の準備ですね」

「捕獲の問題じゃないの?」

「問題ありません。ヨータ様がある程度魔物の近くに居てくだされば、こちらで水槽へ転移させられます。空間転移の応用ですよ」


 え、そんなことできたの? 地味にやばくない? 簡単に相手をさらえるってことじゃん。てかひょっとして、これ即死コンボとかできるんじゃ……?


「相手が一定以上の実力を持っていると、転移に抵抗されることもありますが、大抵の相手であれば、苦もなく転移させられるはずです」

「参考のために聞くけど、どの程度の相手だと、強制転移に抵抗されるのかな?」

「ヨータ様が今まで会った相手だと、ウー・ザ・スラを転移させることは難しいでしょう。また、Sランク程度の魔物が相手でも抵抗されることがあります」

「つまり大抵の相手には強制転移が効くってことだな」

「そうなります」


 能力の悪用だけは絶対しないぞ。と心に固く誓いつつ、魔物の捕獲の問題はなんとかなりそうだと、そこは安心する。であれば、残りの問題は……。


「アイが話してくれた水槽の問題が残っているな」

「魔物の攻撃にも耐えられる丈夫な水槽を用意したいですね。ヨータ様、ミスリルを使用しても良いですか?」

「ミスリルについてはアイに一任するって言ったろ? 大丈夫。問題ないよ」

「ありがとうございます。でしたら、今日の昼にもミスリル水槽のスペースを増設します。その後は、ヨータ様に魚集めをお願いします」

「ちなみにアイ、魚の魔物の知識は……」

「お任せください、ヨータ様。私の手にかかれば、あらゆる魔物を管理してみせましょう」

「そっか。頼りにしてるぞ。アイ」

「はい、ヨータ様」


 アイは本当に頼りになる。それと同時に疑問もある。いや、以前から考えてはいたのだ。アイの知識はどこから来ているものなのだろう? そもそも時空戦艦とはどこから来たものなのだろう。少し考えて……ま、いーか。と思う。


 俺にはSSSRスキルの『時空戦艦』があり、アイという頼りになりすぎる相棒がついている。あれこれ考えるのも良いが、今は冒険が楽しいんだし、それで充分!


 というか、ハナヤギ会長とのつきあいだったり、メグさんの道場での稽古とかもあって、今は考え事を増やしすぎるのは遠慮したい。


 考えるべきことには、タイミングがあるはず。そう思いながら、俺はバンノウマルの右ハンドルを回した。

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