おじさん、海中ドライブ
翌朝、今日は時空戦艦を海底ダンジョンの第一層に進め、俺は第二層を目指す。ミスリル鉱脈のような発見があると嬉しいし、バンノウマルを動かしたくてウズウズしている。
俺は時空戦艦のドックでバンノウマルにまたがり出発の時を待っていた。アイが各種装備の状態をチェックして、それから発進する。
アイからの「準備完了です」の言葉に気持ちが高まる。ほどなくして俺は海底ダンジョンの採掘ポイントに転移した。
採掘ポイントでは今日もミズモグラくんが頑張っている。上を見ると、時空戦艦の姿があった。さあ、俺も頑張っていくとしよう。
「ヨータ様、今日は第二層を目指しながら移動用マシンの操縦に慣れてください。分からないことがあれば、その度に教えますよ」
アイからの通信が届くと、今日もいつも通りだと安心する。バンノウマルの操縦については一通りのレクチャーを受けているが、実際に運転してみるまでは上手く動かせるか分からないからな。
「アイ、信用してるよ。それじゃあ、出発だ」
右ハンドルを回すと、バンノウマルが動きだす。結構なスピードで前進しているぞっ。ちょっとの加速でこれなら、最高速までいくとどうなるんだ!? ドキドキしちゃうな!
「ヨータ様、初めはゆっくり進みましょう」
「もう結構な速度が出てるが!?」
「そのマシンのスペックを考えれば、まだまだ遅いくらいですよ」
そうなんだろうが、これをゆっくりと言われちゃうとな。そのうち慣れるだろうか? いや、慣れないとな。アイの言う通りに、加速しすぎないよう注意して進んでいこう。
他のダンジョンのパターンを考えるなら、このまま前進すれば、そのうち第二層へ上がるための壁に当たるはず。ここだけ例外だったりしなければ良いが……そんなことを考えていると、前方にきらりと光るものを発見した。
ミスリル鉱脈か!? と喜びたいところだが、魔物の気配がある。鉱脈の側に魔物が居るのか……それとも……どうせなら、新たな鉱脈を発見したいところだが、どうなるかな?
前方の光りに近づいていくと、その奥に大きな口が見えた。うおおぉぉ!?
びっくりしながら急いでバンノウマルをカーブさせ、大きな口を避ける。あれは、チョウチンアンコウの魔物だな。ミスリル鉱脈と思わせといて、がっかりさせる。
チョウチンアンコウを思わせる魚の魔物は、三メートルはありそうな大きさ。結構でかい。が、倒せないことはなさそうだ。やってやるぞ。
「アイ、スピアガンだ」
「承知いたしました。ファイトです。ヨータ様」
空間転移したスピアガンを受け取り、左手に持つ。さて、バンノウマルを動かしながら、スピアガンは上手く使えるかな? 使えると良いが。
魚の魔物は俺を後ろから追ってくる。海中で大きな魚が迫ってくるってのは結構ビビるが、振り切れる速度だ。加速しながら大きく旋回するように動く。俺は魚の背後に回り、スピアガンを構えた。決めてやるぞ!
魚の背にスピアガンを撃ち込み、横を通りすぎる。一撃では倒せてないが、もう二回か三階、今の動きを繰り返せば倒せそうだ。
「ヨータ様、クラーケンを倒した時のように、撃ち込んだ武器からバリアを広げますか?」
「それでも倒せるだろうけどね、今回はマシンの運転に慣れる目的もある。あの魚には、その練習に付き合ってもらうよ」
「承知いたしました。ところで、あの魔物で料理などは作られますか?」
「アンコウ鍋、なんてのも良いねぇ。期待してるよ。アイ」
「でしたら、今夜の食卓のため、ヨータ様には頑張っていただかねば」
「任せといてくれ」
アイと会話を弾ませつつ、俺は魚の魔物を追い詰めていく。バンノウマルの機動力に翻弄された魔物は、三度目のスピアガンを撃ち込まれたタイミングで動かなくなった。危なげない勝利! 嬉しいもんだね。
「アイ、チョウチンアンコウの回収よろしく」
「今夜のアンコウ鍋にご期待ください」
その後、第一層ではダイオウグソクムシの魔物を時々見かけたりする程度で、新たな面白い発見はなかった。残念に思いつつ、黒い壁を発見する。
「アイ、第二層へ上がる壁だ。これから層を移動する」
「グッドラックです。ヨータ様」
俺はバンノウマルに乗ったまま黒い壁に接触。体がグンッと上昇する感覚があり、ほどなくして到着したのは相変わらず暗い海の中だった。ただ、海底は見えない。どこまでも潜れそうで、ちょっと怖い。
「第二層へ到着した。遠くに何かが光っているな。海底が見えないことから考えると、鉱脈ではない感じかな? いや、岩壁があるなんて可能性もあるか?」
「行ってみないことには分かりませんね。ヨータ様。第二層へ到着したわけですが、ワープポイントを設置しておきますか?」
「そうだな。第二層の入り口にもワープポイントを設置しておいてくれ」
「では、設置しておきますね」
さ、まだまだ探索を続けようこの層でも何か嬉しい発見をしたいところだ。そんなことを考えながら、俺はバンノウマルの右ハンドルを回した。
それにしても、だ。明るい海の冒険はまだ先だろうなぁ。できれば、明るい場所でも、この愛機を運転してやりたいね。




