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おじさん、専用マシンを製作する

 今夜は遅くまでゲームセンターで粘っていた。件のシューティングゲームでハイスコアを目指していたのだが、目標までもう少しというところでやられてしまった。でも、自己スコアは更新できたし、もうちょっとで目標に届くと思う。頑張ろう。


 明日もゲームセンターへ行こうと心に決めつつ、ルリカさんにメッセージを送る。ついさっきメグさんの道場まで送ってきたのだ。近頃ルリカさんは道場で寝泊まりしているらしい。それはそれで楽しそうだな、なんて思ったり。


『ルリカさん。今日はありがとうございました。人形も、大切にします』

『こちらこそ、ありがとうございました。また、クレーンゲームで欲しいものがあったら言ってください』


 すぐにルリカさんからのメッセージがあり、嬉しく感じる。最後に『おやすみなさい』とだけ送ると、可愛らしい猫のスタンプが返ってきた。それを見ると心がほっこりする。


 今日は良い気分で眠れそうだ。と思いつつ、自室の机に人形を置いた。ルリカさんから貰った大切なもの。見るたびにニヤけてしまいそうだ。


 さて、今夜はまだやることがある。せっかく考えていたことがあるのだ。アイに相談がしたい。というか、このプランを考えているとワクワクして、早く形にしたくなる。


「アイ、今はどこに居る?」

「今はファクトリーに居ますよ」


 アイとは離れていても会話ができる。渋谷ダンジョンでの感覚で話せば良いので、慣れたものだ。


「ちょっと今からファクトリーに行くよ。話したいことがあるんだ」

「話ならこうしてできますが?」

「直接、アイの顔を見て話したいんだよ」

「そうですか。承知いたしました。ではヨータ様をファクトリーへ転移します。準備ができたら言ってください」

「準備はできてる。今すぐで良いよ」


 景色が歪み、数秒後にはファクトリーへ移動する。そこにはつなぎ姿のアイが居た。なんか、こういうのも新鮮に感じられて良いねっ。


「アイ、つなぎ服も似合ってるね。ところでここで何をしてたんだい?」

「ふふっ。私はどんな服も似合うでしょう? ここにはマシンの点検に来ていました」


 なるほど。マシンの点検ね。今までなら、それらは彼女がどこに居ても行うことができた。というか、今でもやろうと思えば、体が別の場所でもマシンの点検はできるだろう。それをしないのは、新しい体を使いたいからか。


 俺も新しいものが手に入ったらすぐに使いたくなる。だから分かるよ。その気持ち。


「そうなんだね。ところでアイに相談したいことがあるんだが」

「はい、どのようなことでも相談してください」

「実は……海底ダンジョンを素早く探索するためのマシンを作りたいと思っている。戦闘能力もあれば、なお良しだ」

「海底ダンジョンを……潜水艇のようなものでしょうか?」


 潜水艇……そのような形も考えた。潜水艇に乗り込んで戦うのも楽しそうだからな。だけど、俺が考えたものは少し違う。


「そういうのも良いんだが、俺が上に乗って使える……そんな移動の補助みたいな乗り物が良いかな」

「なるほど。例えば、水中で使える土台のような形をしたものと」

「土台かー。もうちょっとかっこいい形をした乗り物が良いんだよな。何か良いアイデアはないかな?」


 そう、水中で使える俺専用の乗り物! というアイデアまでは出ているんだが、それがなかなか形にならない。でも、ほとんど出かかっているんだ。良いアイデアだと思うし、形にできれば絶対かっこいいと思うんだよなぁ。


 腕を組んで悩む俺にアイが「でしたら、こういうのはどうでしょう?」と提案する。彼女は宙にホログラムを映し、俺にそのマシンの姿を見せる。


「水中だけでなく、地上や空中、果ては宇宙にまで適応可能なヨータ様専用のマシンです」

「バイクみたいな形だな?」

「車輪がなく、地上以外でも使えるバイク。そう思われても構いません」

「果たしてそれはバイクなのだろうか?」


 疑問はあるが……良いじゃないか! 俺専用の全地形適応バイク! かっこいいし、二輪の免許なら一応持ってるもの。きっと操縦できると思う!


「片手でも問題なく操作できるようにしておきましょう。そうしておけば、ヨータ様の片手が空くでしょう? 後は空いた手で戦闘を頑張ってください。まあ、私が操縦の補助をしてあげても良いですけど」

「ふむ、気分は未来から来た人型ロボットだな」

「なんの話です?」

「いや、こっちの話。過去に見た映画を思い出してた」


 未来から来たロボットが少年を守るために戦う。確かあの映画でロボットがバイクに乗りながら銃を使うんだよな。あれは、とてもかっこよかった。なんなら、ショットガンでも作っちゃうか?


「よし、それでいこう」


 指をパチンと鳴らしながら、俺は気持ちが高まるのを感じていた。これは、一旦マシンを作らないと興奮して寝られないかも。ぐっすり眠るためにも、マシンを作ってしまおう!


「承知いたしました。マシンの製作に取りかかります。今の、倉庫にある素材でマシンは問題なく製作可能です」


 ファクトリーが稼働。ほどなくして、バイクのような姿をしたマシンが完成する。黒金の塗装がイカしてる俺専用の移動用マシンだ。これから、よろしくな!


「ところでヨータ様、このマシンの名前は何にしますか?」

「そうだなあ。どんな場所でも乗れるわけだから」

「はい」

「バンノウマル……なんてのはどうだろう?」


 俺の言葉を聞き、アイが一瞬固まる。そして、彼女は「ワーカッコイイデスネー」とあからさまな棒読みで賛同してくれた。なんだい、思うところがあるのかい? かっこいいだろ。バンノウマル。


「ともかく、これからよろしくな。バンノウマル」


 そう言って俺は、これから相棒になるであろうマシンを撫でてやった。

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