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おじさん、道場へ行く

 また数日後、俺はアイと共に埼玉県へ来ていた。今日のアイさんは日傘の良く似合う貴婦人のようなスタイル。白い生地と銀髪とが似合っていて、気品すら感じる。良いね。


 埼玉県までやって来た目的はメグさんの道場だ。俺もそろそろ真面目に武器の扱いを学びたいと思っている。メグさんにアポはとってあるので、問題はないはず。色々、学べると思うとワクワクするな。


 で、道場に到着したわけだが……大きな塀に、立派な門。武家屋敷を思わせる建物たち。え、凄い。歴史を感じるし、圧倒される。てか、入っても良いんだよな? 門は開いてて、インターホンは無かったもの。この先で、来たことを伝えたら……良いんだよね?


 少し不安を感じつつ、歩いていると、背の低い少女を見かけた。というか、中学生くらいの年齢かもしれない。きっと、こんな小さな子も道場で頑張っているんだなぁ。おじさんも、負けてられない!


「ようこそおいでくださいました。私はナツ。この道場で学んでいます」

「どうも。ヨータです。こっちはアイ」

「初めまして。アイと申します」


 挨拶をしながら、このナツという子に好印象を覚える。なんというか、しっかりした子だ。


「お二人はうちの師範に会いに来たと聞いています。案内しますね」

「よろしくお願いします」


 ナツちゃんに案内され、道場の奥へ。木造の床がしっかりと磨かれた廊下を渡り、綺麗な畳部屋へ。そこに、メグさんはアグラをかいて待っていた。まるで一国一城の主だなと、そんなことを思う。


「よう! ヨータの兄さん、待ってたぜ」

「失礼しますよ」


 俺の後にアイが続き、用意された座布団に座る。メグさんが座っているのと同じもののようだが……かなり良い素材が使われているように感じる。とても良いさわり心地だ。


「……それでは、私はこれで失礼します」

「ナツ。二人の案内ありがとうな」


 メグさんが手をひらひらと降り、ナツちゃんは頭を下げて部屋を出る。俺からも、ありがとうね。


「……で、早速だが兄さんたちは、あたしに剣を学びたいと。そういう話だったよな」

「はい。それと、ここにワープポイントをつなげられると良いのですが……」

「ヨータの兄さん、そんな風にかしこまらないでくれ。あんたは、あたしの恩人なんだからよ」

「分かりました……では、ある程度は楽にさせていただく」

「そうしてくれ。で、剣を学ぶのには喜んで協力するぜ。それに、ワープポイントを繋げるという話も大丈夫だ。その方が、あんたも通いやすいだろう」

「ありがとうございます」


 話がスムーズに進んで助かる。俺が思っていた以上に、魔王との戦いの時のことで、彼女は恩を感じてくれているのかもしれない。


「もしメグさんさえ良ければ、あなたも、ワープポイントを利用できるようにします。色々やってもらってるんだ。こちらも恩を返したい」

「そうかい? 以前、時空戦艦で入った湯は良かったからな。そういうことなら、たまに浸かりに行こうかな!」

「どうぞ。艦内を自由に使ってほしい。それと、道場に払う月謝のことですが……」

「そこも安心してくれ。あたしは探索者の活動だけで充分に儲からせてもらってるからよ。それに兄さんには命の恩がある。あんたから月謝は取らない」

「それは、助かる」


 メグさんはニヤリと笑い「ただし」と付け加える。な、なんだ? その言葉を聞くと不安になるぞ。


「命の恩人といえど、剣を学ぶというのなら、こっちは手を抜かない。多少は辛い鍛練になるかもしれないが、覚悟するように」

「なるほど……むしろ望むところだ」


 メグさんが俺に、真剣に修行をつけてくれるということが分かり嬉しいまである。などと考えていると。


 ドタドタと廊下を走る音が聞こえてきた。な、何事!? 音のする方に身構えていると、やがて見知った人物が姿を現す。


「ヨータさん! こちらに来られていたのですね!」

「ルリカさん!」

「はい、ルリカです。ヨータさんも、アイさんもお元気そうで何よりです」


 ルリカさんたちと、アイとは一応面識がある。魔王討伐後に少しだけ会っていた。目立つことを避けるため、あまり長話はできなかったのだが、今なら落ち着いて話せそうだ。


「ルリカの姉さんも、部屋に座ると良いぜ。せっかくの再会なんだ。話もあるだろう?」


 メグさん、ナイスアシスト! そんなわけで、ルリカさんも交えて話をする。ここ数日、ここで剣を学んでいると語るルリカさんの瞳は輝いていた。彼女の日々が充実しているようでなによりだ。


 そんな時、不意にスマホが振動。確認すると、ハナヤギ会長からメッセージが送られてきていた。


『海底ダンジョン調査の件、許可します』


 そんな短い文だが、とても嬉しい! これで、周りの反応を気にせず、海底ダンジョンへ向かうことができる。


 アイに聞いて時空戦艦が海底の移動に耐えられることも確認済みだ。行こうと思えば、宇宙にも行けるらしい。凄いね、時空戦艦。


 メグさんとの話し合いも無事に済んだし、会長から許可をもらえた。休養もしっかり取ったし、後は食料の買い込みと、ファクトリーで新装備の開発だな! 海底ダンジョンへ行く日が近づいてきて、ワクワクしてきたぜ!

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