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おじさん、アイと共に

 銀色の髪は肩の辺りで揃えられ、瞳は蒼い。その顔は信じられないほど美しく整っていて、思わず見惚れてしまった。全身はスラッとした印象で立ち姿は見事。和装のメイド服もよく似合っていた。これが、アイの姿……!


「……ヨータ様、私の姿におかしいところはないでしょうか?」

「大丈夫。凄く綺麗だ」

「ふふっ。そう言ってもらえると素直に嬉しいですね」

「体を動かすのに問題はない?」

「ええ。問題ありません。絶好調です」


 アイはその場で軽く回ってみせた。その姿が美しくもあり、同時に少し茶目っ気があるようにも見えた。可愛い。


「それでは、ヨータ様。参りましょう」

「向かうは第十層の集団キャンプだな」

「ここからは、ヨータ様のすぐ側をお供します」

「これからも、だろ。よろしく」

「……ふふっ。よろしくお願いします」


 アイと共に第十層を進んでいく。この層はどこまで行っても古代都市のような景色が続く。そんな変わらない景色に対して、現れる魔物は様々だった。先程戦ったマリオネットやアイアンゴーレム。スライム、マッドクラブ、大カエル、大タコに、ゴブリンやゴブリンロードまで。今はもう楽に勝てる相手だ。


 アイに応援されながら、どんどん魔物を倒していく。魔物のバラエティが豊かで楽しいし、素材がどんどん手に入るのは嬉しい。けど、同時に明らかな異常事態だと分かる。これは本当に、どうにかしないとならないよな。


 それほど苦労することなく集団キャンプの近くまでやって来ることができた。要塞のような建物があり、その周囲を大量の魔物が囲っている。そのほとんどはアイアンゴーレムか。


 なんというか統率された軍のような雰囲気がある。しかも数がこれまで戦った魔物の群れ以上に多い。少しばかり厄介かも? 要塞近くの建物に隠れながら、そんなことを考える。


「まるで軍隊だ。つまり」

「統率されていますね。ヨータ様」

「ああ、これまでも他の魔物の群れにゴーレムが数体混じってるみたいなことはあったけど、ゴーレムのみの群れとなると……」


 話は変わってくるかもしれない。というのも、以前何かの動画で見たんだよな。アイアンゴーレムの統率された軍団はランク以上に厄介だと。今は向こうの群れには気付かれていないけど、戦闘が始まったら大変そうだ。


「ヨータ様、問題ありません。閃光虫から作った武器であればアイアンゴーレムを楽に倒せる攻撃力があります」

「光線銃や金色の槍ならか」

「強化したカニバサミも、です。それに」

「それに?」

「今は私が横についています」


 嬉しいことを言ってくれるね。といってもアイはここまでは俺の戦いには直接参加はしてなかったけど、戦えるのかい? 少し不安だ。


「アイ、一緒に戦ってもらっても良いのかい?」

「今回は敵の数が少々多いですからね。見たところ、数千は居るでしょう」

「そうなんだよな。数千は居る……」


 これまでの戦いでは、魔物の群れの数は多くて百といったところ。その十倍以上の数の魔物を相手にどうやって戦ったものか。


「ヨータ様一人で戦わせるほど、私も鬼ではありません。ここからはお供しますよ」

「うん、そう言ってもらえるのはやっぱり嬉しいけど、あの数の魔物を倒すのは骨が折れるんじゃないかな?」

「何度も言いますが、ヨータ様は一人ではありません。私がついていますし、要塞には、この状況をなんとかしたい探索者たちが居るはずです」

「つまり彼らを味方につけろと」

「ええ、彼らがヨータ様と共に戦いたくなるような、素晴らしいパフォーマンスを見せてください」

「なるほどね。なら、ちょっと作戦会議だ」


 アイと一緒にあれやこれやと話し合う。今までにネットで広がってる知名度を利用するのはどうだとか、群れに砲をぶちこめばいくらか楽ができるんじゃないかとか、アイの能力で向こうの誰かと連絡はとれないか、とか。色々だ。


「……では、この状況が続くなら、私たちはここで待機。先に連絡したSランク探索者の到着を待ちます」

「ハナヤギ会長やメグさんだね」

「今、同時進行で会長たちに連絡を取っています。彼女たちがここへ到着するまで一日。その間に要塞に籠る探索者にも連絡を取っておきましょう」


 アイの力があれば、今あの要塞にどんな探索者が居るかも分かるし、連絡も取れるとのこと。頼もしいし、恐ろしい能力だね。ほんと。


「そんじゃあ、ちょっと休憩だな。明日から本気出す。ということで、できる準備は可能な限りやってしまおう」

「はい。全力でヨータ様をサポートします」


 アイはここの監視を続けながらでも、時空戦艦の機能を問題なく使えるし、ボディも自由に動かせるとのこと。であれば、俺たちは一旦時空戦艦に戻る。作戦は慎重に、だ。


 周囲の景色が歪み、数秒後には艦内へ転移。俺は、ファクトリーへ向かう。魔物の素材は大量にあるんだ。何か役立つものを作れるはず!


「アイ、ファクトリーで何を作る?」

「でしたら、ワイバーンの火炎袋を使った武器などはどうでしょう? 他にも、色々と作ってみましょう」

「了解だ」


 要塞を救い、黒幕も倒してみせる。今、俺の心は燃えていた。

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