表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

32/54

おじさんVSワイバーン

飛来するワイバーンの口が大きく開く。口の奥が明るくなり、ほどなくして火球が放たれる。俺のバリアはあの攻撃に耐えられるか? それを試すよりは回避を選ぶぜ。慎重でいて悪いことはないはずだ。


 足場は多少悪いが、ここでも縮地は使えるっ。俺は一瞬にして地を駆けた。火球の回避――成功だっ! この移動技、やっぱり便利だぜ。メグさんには感謝しなきゃな。


 ワイバーンは続けて火球を吐こうとしている。こっちも回避してばかりは楽しくない。そろそろこっちからも攻撃させてもらうぞっ。


 手に持つ槍を構えて、ぶん投げるっ!


「どっせい!」


 槍は勢いよく放たれ、ワイバーンの片翼をぶち抜いたっ! 大きな風穴が空くのが見えて、正直かなり気持ちいいっ!


 ワイバーンは落下しながらも火球を放ってくる。だが、無駄だっ。その攻撃はすでに見切った。縮地を使い火球を回避。いいね、今のところはかっこいいぞ俺。


「ヨータ様、有利に戦えていますよ」

「ああ、応援しててくれ」


 鎧の飛行機能を使い、地上から飛び立つ。直後、ワイバーンが地面にぶつかって、周囲の土をぶちまける。今の墜落でやられてくれると楽だったが、まだ動けるようだ。こちらもまだまだ頑張るとしよう。


「そろそろ決着といこうか。アイ、新たな槍を」

「はい、受け取ってください。ヨータ様」


 アイに新たな槍を出してもらい、それを手に持つ。自然と、槍を持つ手に力がこもる。あのワイバーンを追い込んでいるという事実に興奮した。


 ワイバーンが地上から火球を放つ。さっきは縮地で避けたが、飛行中にその技は使えない。が、飛びながらでも充分に回避は可能だ。飛行しながら魔物の攻撃を回避する俺! さあ、こっからは俺のターンだ!


「第二投! くらえっ!」


 空から槍を投げつける。もちろん全力の投擲だっ! 金色の槍がワイバーンの背をぶち割り、辺りに血や臓物、そして大量の土をぶちまける。流石に、これで死んだか?


 などと、考えていたら地上から火球が飛んできた。最後っ屁ってやつか!? しゃらくさい。咄嗟に飛行状態を解除して自由落下で回避。すぐさま飛行状態に戻り、地上スレスレで墜落を避けた。ふぅ、やれやれ。


「勝った……かな?」


 ちょっと離れた位置に、舌をだらりと垂らして動かないワイバーンの姿を確認できる。こうして見ると……結構怖い顔をしているな。


「ワイバーンの生命活動の停止を確認。絶命です」

「アイさん、そういうことも分かるのね?」

「ええ、私は最高に優秀なサポートAIですから」


 アイったら自画自賛だね。しかし、勝ちか。あのワイバーンを……俺が倒した……! その事実に歓喜したくなってきた。俺は素直に喜ぶぞっ。


「よっしゃああああ! しゃあああ!」

「ふふっ喜びのあまり踊ってしまうとは、よっぽど嬉しかったのですね」


 小躍りしていることをつっこまれてしまったが、まあ良いだろう。それくらい嬉しい気持ちなのだから。


「だって! 時空戦艦の砲を使わずに、俺の手で強敵を倒せたんだっ。こんなに嬉しいことは、あんまりない!」

「あんまり、ですか」

「まあ、あんまりだな。とはいえ、嬉しい気持ちに嘘はない。できればこの嬉しさを形にしたいところだが」

「でしたら、この様子を写真に納めますか」

「え、できるの!?」

「以前にも写真については話したではありませんか」

「いや、それは映像の話だったじゃん?」

「それで、どうしますか?」


 どうしますか? って、そんなの答えは決まってる。せっかくの機会だ。記念撮影できるのなら、やらない選択肢はないっ!


「それじゃあ、お願いするよ。倒したワイバーンのところに行ってくるから。ナイスな一枚を頼むよ」

「ふふっ言われずとも、ベストな一枚を撮影してみせます」


 ちょっと移動し、ワイバーンの前で刀を抜く。今回の戦闘で刀は使ってないけど、こうやって掲げるとかっこいいからね。仕方ない。


「アイ、撮影頼む」

「承知いたしました。三、二、一……! はい、撮影終わりました」


 パシャリと音が鳴ったりはしなかったが、アイの言葉で撮影が終わったことは分かった。アイ曰く、すぐに写真を確認することも可能らしい。いいね、見せてもらうとしようか。


「このような感じで……どうでしょうか?」


 アイがホログラムで見せてくれたのは、倒したワイバーンの前で誇らしそうに刀を掲げる俺の姿。なかなかいいっ! ただ、血とか臓物が見えてるのは、人によっては気になりそうなところだな。


「うん、良いよ。バッチリの写真だ。ナイスッ」

「ありがとうございます。さて、ヨータ様。ワイバーンを倒したところで、この魔物の素材はどうしましょうか?」

「それはおいおい考える……と言いたいところだが……ワイバーンってどんな味なんだろうな? 爬虫類っぽいし、鶏に似た味をしてるんだろうか?」

「気になりますか? では、艦内に戻って確かめてみましょう。私が上手く調理します」

「よろしく頼む」


 その夜、艦内の食堂で口にしたワイバーンはかなりの美味だった。スライムの魔石もたんまりと集まったし、充実した一日だったね。


 ただ、やっぱり今のダンジョンは何か妙なのかもしれない。俺はダンジョンに潜った経験は少ししかないけど、配信で知るダンジョンとはどこか違う。不安を感じつつも、明日に備えて眠るのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ