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おじさん、スライムハント

 翌朝、第八層へとやって来た。ここは湿地草原とでも言えば良いのか。湿度が高く、じめじめとしている。けど、気温は高くないので、それほど不快ではない。ただ、少し歩きにくいのが気になる。


「ヨータ様、そうであれば飛べば良いのではないでしょうか?」

「だね。でも飛行にもエネルギーは使うんでしょ?」

「鎧の飛行エネルギーは閃光虫の魔石によって賄っています。飛行の用途だけに使うのであれば、向こう十年は問題ないはずです」

「そうなの? 閃光虫すげーな」

「ちなみに、時空戦艦の運用やバリアの発動にもエネルギーは必要です。まだ、しばらくは大丈夫ですが、上質な魔石の確保も考えたいところですね」

「なるほど」


 時空戦艦について、俺が知らないことは結構多い。俺のスキルなのにね。まあ、アイ曰く戦艦のエネルギー問題はしばらく大丈夫だという話だし、俺は今の問題に集中しよう。


「スライムハントって言っても、どれくらい探せば良いものか」

「できるだけ多く集めてください」

「なら、今日は一日この階層を探索するかな」

「グッドラックです。ヨータ様」


 ルリカさんの過去配信で知ったのだが、第八層は特にスライム系の魔物が多い。通常のスライムであれば大した敵ではないけれど、毒持ちのポイズンスライムや、巨大な個体であるジャイアン卜スライムには注意とのことだ。


 けど俺は、毒持ちや巨大な個体にも興味がある。今の俺がそれらの特殊個体と戦ったらどうなるか経験してみたい。なんか、やる気に満ちてるな。


「それじゃあ、頑張ってみよーか。アイ、槍を出してくれ」

「承知いたしました」


 アイから金の槍を受けとる。槍の心得は無いが、なんでも使って経験してみよう。これまでの色々な経験から、新しいチャレンジにも結構自信があるのだ。最近の俺、ちょっと変わったな。


 気配を探り、第八層を進む。なるべくこちらの気配は消すように動くことを意識し、飛行はあまり使わない。隠密行動とかもできるようになりたいんだよねー。


 気配に近づいていくと、通常のものより明らかに巨大なスライムを発見。三メートルはあるだろうか。少し離れた位置からでも、その巨体はしっかりと確認できる。


「あれがジャイアン卜スライム……」


 向こうはこちらに気付いていないようだ。どうやって倒すかだが、まずは全力の投げ槍で様子を見る。それで倒せなければ、別の手段を考えよう。とりあえず、やってみる!


「いくぜっ! 第一投!」


 巨大なスライムをめがけて、金の槍を投げ放つ! 槍がスライムに直撃! その巨体を破裂させ、そのまま飛んでいく。少しして、地面に突き刺さり、その威力で周囲の土や草が吹き飛んだ。す、すげえ! 改めて、俺の腕力こえぇ!


「ヨータ様、もう少し肩の力を抜かれても、あの程度の魔物であれば倒せますよ」

「みたいね。じゃあ、もう少し武器の威力を考えながらハンティングを続けよう」


 それから、俺たちは順調にスライムを狩っていく。なにせ気が読めるのだ。気の方向へ向かえば何かとは出会う。そうして見つけたスライムを倒していけば良いので、特に困ることはない。いやぁ順調で良き良き。


 ただ、気になるのは俺が気の方向へ行って見つけるのがスライムばかりという点だ。特殊個体のポイズンやジャイアン卜と出会いこそすれど、他の探索者を見かけないのだ。


 これまでの階層では、第五層の時を除き、俺はなるべく人には近寄らないようにしてきた。面倒を嫌ってのことだ。それでも遠目に人の姿を確認したりということは結構あった。なのに、この層では人の姿を見かけない。それが気になる。


「……アイ、ダンジョンでは異常が起きてるってルリカさんたちは話してたよな」

「はい、そのように記憶しています」

「第八層でいろんな気配を追っても、それが全部魔物なのは、ちょっと妙だと思わないか?」

「そうですね。少し妙です」

「ふむ、何か悪いことが起こらなければ良いんだけど……」

「心配しているのですか?」

「まあね。けど、俺は俺のできることをするしかない。そのために今日はスライム狩りで光線銃のエネルギー源を確保してるわけだしな。それに」

「それに?」

「結局、なるようにしかならんさ」


 妙な不安は感じるものの、俺はスライムハントを続行。一日かけてスライムを狩り続けたおかげで結構な量の魔石が集まった。それらは全てアイに回収してもらう。


 今日も良い時間となり、スライム狩りを切り上げて時空戦艦に戻ろうかという時だった。何か、大きな気配がこちらへ迫ってくることに気付く。これは、面倒なものが近づいてきてるかな。


 気配のした方に顔を向ける。遠くの空から近づいてくるものがある。暗い空でもその姿は、はっきりと分かった。第一層にも現れた強力な魔物、ワイバーンだ! ああ、そうかよ! 面倒で面白そうなのが出てきたなっ!


「アイ、今回は戦艦の砲無しであいつを狩る。俺がどこまで強くなったかの腕試しだっ」


 俺は手に持つ槍を構え、飛来するワイバーンを迎え撃つ。自らの心臓が高鳴っているのが分かった。

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