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おじさん、慣れない空中戦

 第七層に到着。ここは広大な湖がずっと遠くまで広がっている。水平線の向こうが見えない。湖を迂回しようとすれば、かなりの時間がかかるだろう。それはちょっと面倒そうだ。


 だがしかし、今の俺には飛行能力がある。これを使って向こう岸まで飛んでいくぞ! 充分な距離を飛べることはアイに確認済み。飛行テストも第五層で済ませた。というわけで、安心して進むぞー。


「アイ、楽しいフライトだ」

「落下して溺れないよう気を付けてくださいね」

「イカロスじゃないんだ。そんなことにはならないさ……たぶん」


 湖の上を飛びながら、鱗粉のような光を散らす鎧。これ、目立つんだよなあ。第五層ではハチの魔物が結構寄ってきて鬱陶しかった。今も、嫌な予感がする。


 そして、嫌な予感は当たるもの。進行方向から何かの群れが迫っているのが見えた。あれは、鳥の魔物か。見た目はペリカンに似ているな。結構怖い。


 鳥の魔物が近づく。明らかに、こちらへの敵意を感じる。なら、戦うとするか。鳥の魔物は一羽が二メートル近くありそう。そんなでかい鳥が何羽も居るとなれば、こちらもやる気になるというもの。今夜は焼き鳥だっ。


「ヨータ様、先制攻撃のチャンスです」

「分かってる。アイは倒した鳥を収納してくれ」

「お任せください。グッドラック」


 グッドラックね、了解。俺は光線銃を構えトリガーを引く! 次の瞬間には光線が魔物の頭を貫いた。よし、出だしは好調!


 続けて別の魔物を狙おうとしたが、飛行する敵はなかなか速い。狙いが定まらず迷っている間に魔物が迫る。俺の前で大きな口が開き――飲み込まれたっ!? うわぁ! 暗いし狭いっ! しかも臭いよー。

 

 このまま胃に押し込められてたまるか。魔物の口の中で光線銃をぶっぱなす。頭を破壊された敵から脱出。そこへ別の魔物が突っ込んできた。ぐっ、こなくそっ。


 鎧とバリアのおかげでダメージは無い。だが、衝撃はしっかりと受ける。空中で弾き飛ばされながら、なんとか姿勢を制御。そこへ別の鳥が来たっ。


「やられっぱなしだと思うなよ!」


 鳥の頭を光線銃の柄で殴りつけた。鳥の頭が変な方向に曲がり、首をへし折ったのだと分かる。こいつら、防御力は大したこと無いな?


 そうと分かれば、すぐに作戦を組み立てる。鳥の群れがここまで厄介な相手だとは思わなかったが、そろそろ終わらせてやる。


「アイ、俺が合図をしたらゴブリンの武器を射出してくれ」

「承知いたしました。ヨータ様、そろそろかっこ良いところを見せてください」

「分かってるさ。期待しててよ」

「ええ、期待してます」


 空中戦にはまだ慣れないが、飛行テストは充分にしたつもりだ。それに、かっこいいところアイに見せたいしな。頑張るとしよう。


 俺はできるだけ魔物たちを引き付ける距離を意識しながら飛び回る。ただ逃げているのではない。反撃のタイミングを狙っているのだ。それは、今!


 俺は一気に上昇。魔物たちは俺を追おうとする。馬鹿め。好きだらけだぜ。


「アイ、今だっ!」

「はい!」


 俺は魔物たちの上に居る。そんな位置から大量の武器が出現! 一つ一つはゴブリンが使う粗末なものだが、落下も合わせて、鳥の魔物たちを倒すには充分な威力を持つはずだ。くらいやがれ!


 大量の武器が魔物たちに降り注ぐ。俺の思惑通り、降り注ぐ武器が魔物たちを倒していく。それでも、やられる仲間を盾にして迫ってくる個体が居た。


 味方を盾にするとは賢いやつ。けれど、その分軌道は読みやすいぞっ。


「これで最後だっ」


 光線銃のトリガーを引く。光線が放たれ、敵の頭を撃ち抜く。やったぜ。ざまあみやがれっ。


 落下していく武器と魔物が異空間に収納される。アイの能力が及ぶ範囲って結構広いんだよな。ほんと、いつも助かってます。ありがとうね。


「つ……疲れた。精神的に」

「肉体的にはどうですか?」

「まだまだいけるよ。アイ」

「それは何よりです」

「何よりかもだが、この湖をわたりきったら今日は休むぞ。今夜は焼き鳥にビールで楽しむんだ」


 焼き鳥……好きなんだよねぇ。ペリカンの魔物が美味いかどうかは置いておく。きっと美味いと信じよう。


「焼き鳥、良いですね。ヨータ様が艦内に戻った時に食べられるよう、準備しておきましょう」

「戦闘中に使った武器とか、倒した魔物の回収は完璧かい?」

「もちろんです。私は完璧なサポートAIなのですから」


 得意気? に語るアイのことを頼もしく思いつつ、俺は湖を渡っていく。


「しかし、まだ課題は多いな。空中戦にもっと慣れなきゃだし、今回より硬い敵が群れで出てきた時のことも考えないと」

「いざとなれば戦艦の砲がありますよ」

「それはそうだけど……砲に頼れない時もあるかもしれない。あれはとにかく、威力も範囲もでかいから」

「ある程度、砲の威力を調整することはできます。が、そうですね。多くの状況を想定することは悪いことではありません」


 だな。備えあればなんとやらだ。その方が安心できて良い。


「アイ、後で色々、一緒に考えよう」

「承知いたしました」


 その後は特にトラブルもなく、俺は広い湖を渡りきるのだった。ほんと、精神的に疲れたぁ。

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