おじさん、第三層で色々試す
翌日、船長室のベッドから気持ち良く目覚め、朝食に大カエルの肉を焼いて食べてみた。鶏っぽくてまあまあの味、マッドクラブの時ほどの感動はないな。
ともかく、朝の準備を終えてからアイにダンジョンへ送ってもらう。今日は第三層から。順調な冒険に気分が良くなる。
「さあ、今日もはりきって探索していこう」
まずは、周辺の様子を観察。同じダンジョンでも日時によって様子が違うこともある。動画を見て覚えたことだけど、確かにそれは感じられる。
今が朝早くだからか、それとも最近この辺りの階層にもランクが高い魔物が出現しているからか、昨日より人の数は少ないと思う。
昨日何度も戦っているうちにこの階層の魔物の気配は覚えたつもり。だから、今この近くにある気配のほとんどが魔物のものだと分かる。成長が感じられて嬉しいね。
気配を追ってダンジョンを進む。数分でカニの魔物、マッドクラブを目視する。よし、今日最初の獲物はあいつだ。
俺は手に持つカニバサミを構え、一気に魔物へと距離を詰める。強化された身体の使い方もだいぶ理解したので、鎧を着ていても問題無しだ。まあ、バリアがあるから、鎧はそれほど必要無いのかもだけど、こういうのを着てるとテンションが上がる。
「カニバサミをくらいやがれっ」
勢い良く、双剣カニバサミを振り下ろす。魔物の甲殻が破壊され、確かな手応えを感じた。これは良いな。警棒と似た感覚で扱える。それでいて、こちらの方が威力が高そう。しかも、かっこいい! こいつを愛用すると決めたぞ。
さらに近くのマッドクラブをを相手に、カニバサミの合体機能を試す。合体とか変形ってロマンがあるよな。その動作だけでワクワクする。さあ、こいつをくらいやがれっ。
思ったより、リーチはないが……カニバサミが敵の胴体をガッチリと挟む。そして、力一杯に、万力のように敵の甲殻を破壊! うおー! 気持ち良いぞこれぇ! けど、実用性はいまいちかもしれない。カニバサミは基本的に二本の警棒のように扱うのが正解かもしれないな。
その後、何体かの魔物相手にカニバサミの使って戦ってみる。うん、だいたいこんなもんだろう。次は別の武器を使ってみようかな。
「アイさんや、次は槍を試したい」
「承知いたしました。双剣は一旦預かりましょうか?」
「ああ、頼むよ」
カニバサミは一旦倉庫へ。次に使うのは槍だ。とりあえず、俺はこいつをタングスピアと名付けてみた。さあ、こいつを試すのに手頃な相手は居るかな。こいつを使ってみたくてうずうずしてるぜ。
数分して、手頃そうなスライムを発見。距離は少しあるが、だからこそ、この槍が役に立つ。俺は槍を構え、突き出す。同時に柄のスイッチを押す。スイッチが押されたことでカエルの舌が伸びるみたいに槍の先が飛び出す。おお、面白い!
槍の先がスライムを貫く。ばしゃっと液体が飛び散りスライムを撃破。やったぜ。
「大カエルの舌を加工して作った、槍の先端が飛び出すギミックか。これも良いな」
「ヨータ様に喜んでもらえて何よりです。ただ、こちらの槍の方はある程度硬い敵が相手だと威力が弱くなりますし、一度射出した槍先を引き戻すには少々時間がかかります」
「うーん、槍先が飛び出すのは面白いんだけどな。連発できないのがちょっと弱いところか」
「ヨータ様がさらに魔物の素材を集めてくだされば、武器の改良が可能です。さらに、色々な物も作れるようになります。頑張ってください」
「ああ、頑張るよ」
腰に差した刀も試してみようか……だけど刀の使い方なんぞ詳しくないんだよなあ。良い師匠が居れば良いんだけど、こればっかりはアイに頼んでも難しそうだ。今は、いざという時の武器くらいに考えておこう。複数の武器があれば安心だしな。
「さて、そろそろ移動しようか。目指すは第四層だ」
「いよいよですね。とはいえこの層を抜けるためには中間地点の沼を抜ける必要があります。今度も迂回しますか?」
「第一層の湖の時みたいにね。それが良いだろうと思う……けど、ちょっと試してみたいこともあるんだよね」
「試してみたいこと、ですか?」
アイの問いに対し、俺は思っていたことを伝えてみる。すると彼女は「面白いですね」と言ってくれた。彼女が肯定してくれて、自信はつくが、ちょっと不安はあるんだよなあ。
「けど、失敗したら死ぬ可能性もありそうなんだよなあ」
「そのあたりは大丈夫です。最悪の場合、あなたをこの層の安全な場所まで転移させます」
「あ、そお? じゃあ、試してみようか」
アイに背中を押してもらう形で俺は計画を実行する。沼の近くの大木を一本引き抜き、構える。そして、それを投てきした。さ、急いで飛び乗るぞ!
投てき物に乗って移動する。昔、漫画で読んだ嘘みたいな移動法だ。強化された身体を上手く使えばできるかもと思っていた。これが実際に成功すると、嬉しいし楽しい。
新たな武器に慣れて、新たな移動法を覚えたぞ。より自信がついたし、次の層も頑張れそうだ




