おじさん、ファクトリーを稼働する
ふう、良い湯だった。湯を浴びてる間にアイが俺の衣服を綺麗にしてくれていたようで快適である。快適なのは良いけど、洗濯が終わるの早くないかい!? これも時空戦艦のテクノロジーなのだろうか。
時空戦艦のバスルームで気持ち良くなった後、俺はその足でファクトリーへ向かう。いつでも艦内の倉庫から必要な素材を取り出せるということで、これから何を作ってもらおうかと、想像するだけでテンションが上がった。
ファクトリーへ到着。大きな機械たちは作業の時を静かに待っているように見える。アイが言うには俺の指示通りになんでも作ってくれるとのこと。さあ、指示を出しちゃうぞ!
「ヨータ様、先にこちらをご覧ください」
「これは……?」
アイの言葉に合わせてホログラフのような映像が目の前に浮かぶ。見た感じ、武具のカタログっぽいな。
「ヨータ様が湯に浸かっている間にこちらで、いくつかのデザインを思案してみました。後はここから選ぶだけでも実際の物を作れますし、細かい注文にも対応可能です」
「まじか。アイさんは有能秘書だな」
「これくらい当然です」
とりあえず、カタログを見てみよう。武器の方はスタンダードな剣や槍、面白いところではムチのようにしなる蛇腹剣なんてのも作れるらしい。
蛇腹剣は面白そうだが、今の俺には扱いきれないだろうな。とはいえ折角ならば面白そうな武器を作りたいところだ……どれどれ……これは、結構面白そうかも!
「じゃあ、この双剣って作れるかい? デザインは……」
そうしてアイと数分話し合った後、いよいよファクトリーを稼働することにした。機械が動きだし、ゴウンゴウンと音を鳴らす。これらの機械がどのように動いているのか、詳しいことは分からないが、音を聞いているだけでワクワクする!
やがて、俺のオーダー通りの物がコンベアによって運ばれてきた。主にマッドクラブのハサミを素材として作られた双剣。カニバサミ。俺が注文したオリジナルデザイン! 黒く、分厚いフォルムは威圧感があり、かっこいい!
「ヨータ様。こちらの双剣、切り裂くというよりは、叩き斬るという使い方になります。特に異質な点は……」
「二つの剣が合体できるところだろ。カタログの説明を見てカッコいいと思ったんだよねぇ」
双剣を手に取ってみる。おお、警棒よりは重みを感じるな。そして、二つの剣を合体! まさにカニのハサミというような見た目になり、面白い。
「良いね良いね! この調子で色々作ってみよう!」
「承知いたしました。まだ魔物の素材は多くあります。色々と作ってみましょう」
アイと一緒に、武具を作っていく。主にマッドクラブの素材を使い、槍や盾、籠手や具足、胴鎧なども作ってみた。兜も合わせて装備すると戦国時代の武者みたいだ。これで日本刀もあれば様になるが……刀も作っておくか!
「ヨータ様、色々作りましたが、どの武器をメインで使うつもりですか?」
「そこはまあ、明日の探索で色々試してみようと思う」
「分かりました。武具はいつでも、好きなものを取り出せますから、お申し付けください」
「そうさせてもらうよ」
さて、一通りの武具を作ったところでお腹が減ってきたな。今日は、色々魔物を狩ったし、その肉を食べてみよう。特に、マッドクラブ! このカニはダンジョンの外ではそれなりの値段で取引されている。俺は食べたことなかったけど、今はたくさんある!
カニの魔物をどうやって調理しようか。想像するだけでヨダレが出てきそうだ。
「……カニ料理をご所望なら、カニしゃぶなどはどうでしょう? ついでに大ガエルの肉などもしゃぶってみますか?」
「カニだけじゃなくてカエルの素材もあるもんな。カエルの肉は鳥みたいな味がするらしいけど……」
ちょっと迷う。けど最終的にはカニだけを堪能することに決めた。まあ、カエル肉は今度ということで。それはそれとして、楽しみにしておこう。
「せっかくなら、米も戦艦に持ち込めば良かったな。カニしゃぶを楽しみながら米を食べる。絶対に美味いぞ」
「ふふっ。では、ダンジョンから帰ったら、そのようにいたしましょう。カニの肉はたくさんありますから」
「それもそうだな。うん、楽しみが一つ増えた」
その後、アイと話しながら食堂へと移動する。アイの力を使えば戦艦内のどこへでも数秒で移動できるのだが、今は疲れ知らずの体で動き回るのが楽しい。ただ歩くだけで楽しいと感じる日が来るとは思ってなかったな。
食堂につく頃には、もうお腹がペコペコだ。席に着き、アイに頼むと、すぐカニしゃぶの準備ができた。そして、米は持ってきてなかったけど、これは持ってきてたんだよねえ。
「アイさんや、例の物を」
「飲み過ぎには注意してくださいね」
そんなやり取りをしながら出してもらったのは、ビール! 1日頑張った後にはこれが無いとね。まずは、ビールを一口……ああ~! 冷えた缶から冷えた液体が喉を通る! ほどよく心地よい喉の感覚!
「しかも今日はカニしゃぶもあるんだなあ~」
マッドクラブの身を湯に潜らせ、口へ運ぶと、口内でプリッ! と身が弾ける。引き締まった肉でありながら、瑞々しさも感じる。酒の肴に最高だ。
ああ~。ダンジョンを探索しながら、こんな風にリフレッシュできるなんて最高だね。時空戦艦様々だ。




