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悪役令嬢と王太子

「 それで、学園の山で狩猟をするから、狩猟許可と狩猟弓の持ち込み許可を?」

「はい。学園長に申請したら断られまして…」


 翌日。さっそく狩りの許可を貰おうと申請したら、ものの見事に却下された。全く解せぬと思いながら学園長室を出たところ、ちょうど職員室を出られたクロード様に遭遇した。落ち込んでいたように見えたのか、どうかしたのかと問われ説明し、冒頭に戻る。


「それはまあ…却下だろうね」

「そんな…!」

 なんと!クロード様にまで却下されてしまった?


「むしろなんで学園内で狩りをして捌いて食べようという発想になったのか…。キリーの頭の中は今だに分からないことだらけだよ」

 眉間を抑えながら仰られるクロード様。昨日のご公務で疲れていらっしゃるのだろうか。


「鍋を…食べたくて」

「鍋?」

 私の言葉にクロード様は首を傾げつつ聞き返す。それもそのはず。まだ狩りの話のみで、ルークとの鍋の件を話していなかった。


「ルークが鍋に詳しいのです。それで一緒に食べようと言う話になり…」

「待った。ルーク?一緒に食事の約束を?」

 なんだ?急に語気が強まられたぞ。食べ物の話しでお腹が空いてこられたのだろうか。


「キリー、以前も城下町で一緒にいたよね?最近…ルークと親しいのかい?」

「いえ、親しいという程では」

 別に特段親しいわけではないし、その存在に警戒もしたままではある。と、その時。


 ガラーン…カラーン…


 昼休み終了の鐘が鳴った。いかん、教室に戻らねば。


「クロード様、戻りましょう。午後の授業が始まります故」

「あ、ああ…そうだね」

 話の途中ではあったが、クロード様を遅刻させるわけにはいかぬ。姫の様に抱えられるのはお嫌いな様なので、ご自身で歩いてもらわねば。


「キリー、君は私の婚約者、だよね?」

 廊下を急ぎ歩きながらクロード様が問われた。急に何の確認だろうか?


「無論にございます。我が身はクロード様の御為にございます」

 当たり前のことなので普段通りに答える。が、クロード様は歩みをぴたりと止められた。


「クロード様?」

 急に止まったため、よもや具合でも悪いのかと振り向くが、クロード様はすぐにまた歩き出された。


「いや、そうだよね。ごめん、変なことを聞いた」

「いえ…」

 笑ってはいらっしゃるが、何か違和感を感じた。


 何だ?返し方を何か間違えたのだろうか。何か大事な見落としがあったような気がする。そんなことを考えているうちにクロード様に再びお声をかけられた。


「急ごう。遅れてしまうね」

「御意…」

 それはすでに普段通りのご様子だったので、そのまま教室へと向かうことにした。あまりしつこく聞いてもお気を害されるかもしれぬ。



 ーーー廊下を歩いて生徒たちが行き交う中、ふとどこからか声が聞こえた。


「原作通り、婚約者と不仲…と」


 その不審な声に振り向くが、教室前の廊下は人が多くて誰の声だったかも分からない。誰かに見張られている?私か?それとも…


「キリー?」

 教室前で立ち止まり振り向いた私を、クロード様が不審そうに見やる。


「いえ…クロード様は必ず御守りします故、ご安心を」

 たとえ誰であろうとこのお方を傷つけさせはしまい。今度こそ主人を守り抜くのだ。


「いや、そういう心配はしてないんだけど…。どうすれば伝わるんだろう…」

 再び頭を抱えながらも席へと戻られるクロード様。その姿を確認した後、私も席へと着いた。


 その後教室に入ってきた桃色娘がクロード様の隣の席に着き何やら話しかけていたが、その内容までは聞こえてこなかった。

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