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王太子から見た兄

クロード視点です。

僕には一つ年上の兄がいる。

生まれつき体があまり強くはないらしく、自身の部屋から出られないらしい。ごくたまに調子の良い時には外に出てくるのだが、顔を合わせるたびにちくちくと嫌味を言ってくる。

まぁ大した嫌味ではないし、自分が逆の立場だったらと思うと兄上の気持ちも分からないでもないので憎めはしない。


しかし兄弟の不仲は国の揉め事にも直結する。この問題には父である陛下も頭を悩ませている。


と、そんな中のある日、体調の良いらしい兄上がまた侍女たちの眼を盗んで現れた。

今日はキリーたちもいるからいつも以上に兄上の行動に困ったものだ。

兄上は部屋から中々出れないために自室でできる発明が趣味らしく、作ったものでよく僕にちょっかいを出してくる。大きな怪我などをさせられたことはないし普段なら良いのだが。


そしてやはりキリーに目をつけた。初めは僕の婚約者とてしか気にしていなかったが、キリーと問答するうちにどんどん兄上のペースは乱されていった。

キリーは強く賢く面白いから当然だ。


「美しいものは?」と聞かれて、明らかにキリーを凝視して動かなくなった時、これは危険だと思った。だってキリーは美しくもあるのだ。

兄上もその美しさに気づき、まさかの女性の奪い合いで国を混乱させるわけにはいかない。かと言って身を引く気なども毛頭ない。


慌てた僕はまずキリーを後ろ手に隠し、兄上に言った。


「一番美しいのは兄上、あなた自身でしょう!」と。


キリーから意識を逸らすために適当なことを言ったのだが、このギスギスした空気に困り果てていた周りの誰もが乗っかってきてくれた。みんなで団結して兄上を褒めそやしたのである。なんと空気の読める者たちだろう。


とはいえ何を馬鹿なことを!と兄上本人には怒られるかとも思ったが、意外にも嬉しそうだった。

そうか…そうだったんだ。兄上はただただ自分が認められたかっただけだ。弟より優れたものがあると周りに認めさせたかったのだろう。

そう思うと途端に兄上が可哀想に思えたが、憐れむのは失礼だと思い直した。


しかし今後もキリーに興味を持たれたら困るので、兄上こそが一番美しいと、会うたび会うたびに世辞を言ってみた。


すると兄上は自信がつき、自分の目指すべき方向を見出したらしく以前より少し明るくなった。

美に関してやたらとうるさくなり、これまで嫌がっていた野菜をしっかり食べるようになってからは健康状態も少し良くなってきた。


自然と機嫌も良くなり兄弟のギスギスも減ってきた。

兄上は自分の外見磨きに夢中で、玉座や僕なんかには興味も無くなったらしい。陛下の悩みの種も一つ減った。


これはいいこと尽くしではないか。この先下手したら内乱かという危機を取り払ってくれたキリーは、女神かなにかなんじゃないか?


まあキリー本人は気づいているのかいないのか、今日も僕の周りで何かの敵を警戒しているのだけれど…。


僕ってそんなに敵がいそうに見えるのかなぁ…。

よろしかったら励ましの評価&ブクマなどをよろしくお願いします!今後の糧と致します。


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