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薬草とは

「ふふふ、王太子様はよく笑うお方なんですね!」

笑いがようやく落ち着いてきたらしいロティがクロード様に親しげに言う。


「どうかな?こんなに笑うのはキリーといる時くらいだよ。」

いや、ただの笑い上戸だろう。


「それより、僕のことはぜひクロード、と名前で呼んでくれないかな。未来の弟から王太子様と呼ばれるのは少し寂しいからね」

「はい!…クロード様!では僕のことはロティとお呼びください!」

「うん、ありがとうロティ」

やはり犬のようだな弟よ。


しかしクロード様は童とはいえ人を手懐けるのがお上手だ。まさしく王者たる器をお持ちなのかもしれぬ。

これは天下を狙うにはお父上様も苦難を強いられるであろうな…。



「あ、そうだ!この庭園とは別に、姉上様が育てる薬草園もあるのですよ!」

おっと、ロティがまた余計なことを言い出したな。


「薬草園?」

「そうです!姉上が作る薬はすっごく効くのですよ!この前もガルシアに傷薬を塗ってあげたらすぐに治って…」

「ガルシアに塗った?誰が?」

ん?なぜそこに食い気味で聞いてくるのだ?


「私でございます。鍛錬の際あやつめはすぐに怪我をいたします故」

「そんなもの唾でもつけておけばよいでしょう。わざわざ君が薬を塗らなくてもいい」

唾?クロード様が民間療法を信じるとは意外だな。


「私があやつを舐めるのですか?」

「いや違う。なお悪い方に俊足で向かわないでくれ。」

頭を抱えながら注意された。

ふむ?御心がよくわからぬな。


と、ふとお父上様付きの侍従がこちらに近づいてきているのを察する。

「クロード様、少し失礼いたします」

「ん?ああ」


「何か?」

私の後ろから歩いてきた侍従に振り向きざまに声を掛けると少しビクッとされたが、クロード様に一礼をした後述べた。


「旦那様がお呼びです。この後のお食事についての確認だそうです」

「わかった」

やはり今からでも女子を準備するかの相談だろうか?


「クロード様、少々御前を失礼してもよろしいでしょうか?」

「もちろん。ロティと遊んでいるから気にせず行っておいで」

快く許可を頂いた。ロティを残していくのはやや不安ではあるが、弟は次期公爵となるのだ。短時間の接待くらいはこなして貰わねば。


「ロティ、くれぐれも失礼のないようにな」

「はい!お任せください!」

うむ。良い返事だ。ではお父上様の元へ急ごう。





ーーー応接室にて。


「キリー、その…王太子様と婚約後初めての顔合わせだけど大丈夫かな?」

「大丈夫、とは?」

はて、この後の食事についての話と思うていたが…?


「その、ロティも一緒だから大丈夫だとは思うけど、今までと態度が違うとか、距離が近いとか、その…」

しどろもどろ話す様子のお父上様。あぁ、なるほどこれは…


「臀部や胸部を触られたりなどでしょうか?」

「でっ…⁉︎」

しっかりと誘惑せよとのお達しだな。


「申し訳ありませぬがそういったことは全くなく。何分まだ成長前故…。しかし今すぐとの命であればそれなりの方法を用いて…」

「駄目!やめなさい!絶対にだ!」

立ち上がって制止するお父上様。何を慌てていらっしゃるのだろうか。


「それは、正式な結婚まで、駄目、絶対!」

「はい…」

駄目なのか?では今わざわざ呼び出して何の指示をしたかったのだろうか?お父上様のお考えがよく分からぬ…。


「いや、大きな声を出してすまない…。単に男親として娘が心配な…」

ドンドンドン!

お父上様の言葉をかき消す勢いで外からノックが響いた。


「旦那様!大変でございます!ロティアーグ様が…!」

慌てた侍従が部屋に飛び込んできた。


「なんだ騒々しい。ロティがどうした?」

「ロティアーグ様が…!」

続く言葉にお父上様は言葉を失った。


「王太子様に毒を盛りました…!!」




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