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黒き乙女の鬼語  作者: 紅河崎アリス
食人鬼
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復活

結婚した方がいいのか、それともしない方がいいのかと問われるならば、私はどちらにしても後悔するだろうと答える

〜ソクラテス〜

『いつまでそこで隠れている?』


ゆっくりと倒れた七花には最早興味を失ったのか気にせずに死神は脇差を引き抜き誰もいない空間に投射した。


脇差はまっすぐと誰もいない空間へと飛んでいく。


だが、それは途中で弾き飛び壁に突き刺さってしまった。


『いや、別に隠れていた訳じゃねえよ。手助けをしたら七花に殺されちまうからな』


死神の声に呼応するように現れたのは20歳を少し超えたあたりの年の青年。


右腰に日本刀を掲げ首をゴキゴキと鳴らしながら現れた青年は欠伸をしながらニヤニヤと笑っている。


『よお、七花。いつも凛をボコボコにしてる癖にこんな所でやられてんのかよ。ははっ、バッカみてぇ』


そう言いながら青年は七花を抱き上げ傷を確認し後方に飛び七花に衝撃を掛けないように膝でダメージを殺して着地する。


『ったく…心配させんなよな…』


そう言って七花を床にそっと寝かせる。


直前に言った言葉とは裏腹に優しい態度を取ってあげる青年。


彼は一般的に言うツンデーレと言うものらしい。


『はっ…そんな死んだ女の事なんかどうでもよかろう。我と戦え。青年』


落ちていた自らの鎌を地面から引き抜き死神は笑う。


が、青年にその態度は逆効果だったらしい。


ニヤニヤとした笑いが消え一瞬で刀を引き抜く。


『うるせえよ。ぶち殺してやるからかかって来い』


その瞬間に交錯し合う刀と鎌。


二つの全く違う武器が交錯し離れまたぶつかり合う。


あたりに破壊の後を撒き散らしながら混じり合う二つの武器が火花を撒き散らす。


先程七花を一瞬で倒してしまった死神に対し余裕の表情で死神の攻撃をいなしながら刀を振りかざす。


『くっ…』


青年の袈裟刈りに対し鎌を回転することによってそれを弾き飛ばして足を狩り取ろうと狙う。


が、青年はそれを読んでいたのか後方にバックステップ。


そのまま足が地についた瞬間に前方に飛び上がり斜めに敵の鎌を切り裂く。


『なっ⁉︎』


鎌を切り裂かれたことに虚を突かれたのか仮面の下で驚きの表情を浮かべながら脇差を引き抜こうとする。


が、青年はそれすらも読んでいたらしい。


死神の足を素早く払い相手の脇差を掴んでいた腕を斜めに切り飛ばした。


『ぎゃっ⁉︎』


死神は悲鳴の声を上げながら後ろに逃げようとする。


青年はそんな彼を見て笑いながら跳躍し死神の目の前に降り立つ。


『おいおい。俺と戦いたいんじゃなかったのか?これじゃ、あまりに一方的すぎるぜ?』


逃げようとしていた死神の顔面を殴り飛ばし上空へと蹴り上げる。


どちらが強いかなど一目瞭然だろう。


七花を一瞬で叩き潰した死神に対しまったく苦戦をしない。


それどころか圧倒し過ぎて戦いにすらなっていないくらいだ。


すると、死神は急に笑い出し下に落ちていた死体を拾いあげた。


『ふっ…調子に乗らせるのも面白くない。少し本気を見せてやろう』


そう言って、死神はそれに食らいついた。


ゴリッとした音とビリっと千切る音が聞こえ肉と骨。


そして皮を引き裂き咀嚼するのが見える。


『へぇ?それを食ったらどうにかなるのか?』


青年は楽しそうに笑いながら刀を振り回し余裕の表情を見せる。


少しくらい相手が奇怪な行動をとったところで青年は気にしないらしい。


そして、ようやく死神は食べ終わったのか死体を放り投げ脇差を構えた。


『…では、参る』


その瞬間、以前とはまるで違うスピードで二人はぶつかり合う。


先程の圧倒的な力の差は最早無くなってしまったのか青年に先程の余裕はない。


脇差を刀の側面でいなし体を回転させながら死神を切り裂こうとする。


だが、死神のスピードは先程よりも段違いで早い。


その刀を余裕でかわし二つの武器がまたぶつかり合…おうとして青年の頭を誰かが掴む。


が、このマンションには今死神と青年。


そして、七花。


この三人しかいない。


いや、もう誰かという表現はやめよう。


心臓を突き刺された筈の七花が青年の頭を掴んでいた。

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