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黒き乙女の鬼語  作者: 紅河崎アリス
食人鬼
34/79

お母さん

「明日は、明日こそは」と人は人生を慰める。

この「明日」が彼を墓場に送り込むその日まで

〜ツルゲーネフ〜

最初に感じたのは疾風。


そして衝撃だった。


ダンプカーにでも跳ね飛ばされたような衝撃が体を突き抜け壁に思い切り叩きつけられる。


それは本当に唐突。


突然そいつは現れた。


まるで、ゴリラのような筋肉の腕に筋肉に包まれた胸板。


ライオンのような牙。


ゾウのように太い足。


そして、人の顔。


すべてがおかしいそいつはボクを弾き飛ばした事など気にせずに首を傾げながら粉雪の下に歩いていく。


『なんだ…お前は』


肋骨を何本かやられたのか口から血を吐きながら怪物を見つめた。


そいつは、粉雪の下に歩いていくと粉雪を自分の方に乗せる。


まるで、親が子を慈しむように。


『ふふ、紅葉ちゃんの矢を避けるのに精一杯でママが近付くのに気付かなかったの?』


粉雪は嬉しそうに笑いながら話をしている。


それ自体はどうでもいい。


だが、今聞き逃せない言葉があった。


『…ママだって?』


そう。


彼女はあの合成獣をママと言った。


ママと言うのはお母さんということだ。


そして、お母さんと言うのは生きていく上で必要な存在だ。


だが、粉雪のお母さんは既に死んでいる。


彼女自身の手によって。


殺されているのだ。


それなのに母とはどういうことか。


『そうですよ?これが私のお母さんです』


そう言って、粉雪は合成獣を指差した。


『凄いでしょう?とあるお姉さんが半分になったお母さんを治してくれたんですよ。死にかけていたお母さんがほら元通り!私感動しちゃいました』


粉雪はケラケラと楽しそうに笑う。


ケラケラと楽しそうに狂っていた。


『ま、殺人鬼には関係ありませんよね?早く苦しみながら…

死んぢゃえ』


その言葉を皮きりに紅葉さんと合成獣が動き出す。


紅葉さんが矢を構え高速で放つ。


空気を切り裂きながら飛んでくるそれをはね飛ばしながら近くまで迫っていた合成獣の腕を腰を落としてかわし足払い。


よろめいている合成獣を切り裂こうとして矢に邪魔をされる。


紅葉さんの方にナイフを投げ結界を創ろうとするが見えているのかよけられてしまう。


『ちっ…』


舌打ちをしながら今立ち上がった合成獣に向け走り出す。


拳を振り上げていた合成獣の股をかいくぐり下から切り上げる。


切り裂いた所から緑色の血液が流れ出すが痛みを感じないらしい。


合成獣は吠えながらボクを蹴り飛ばしてきた。


壁まで飛ばされるが今度は激突はしない。


壁に直撃する瞬間に地面を蹴り空中で回転しながら合成獣の首元を蹴り飛ばす。 


が、合成獣には効かなかった。


合成獣はボクの足を掴み思い切り地面に叩きつける。


『がはっ…』


凄まじい衝撃が身体中を貫き悲鳴をあげる。

血が滴り辺り一面に巻き散る。


合成獣はそのままボクを振り回し壁に投げつける。


為すすべもなく壁に直撃し倒れ込んだ。


紅葉さんがガソリン樽を撃ち抜いたのだろうかなにかの液体が飛び散る音が聞こえた。


…まずい。


このままじゃ…


『さようなら』


紅葉さんはそう言って弓矢を放ち、辺りが爆炎に包まれて…


終わった。

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