第五十一話 風を断ち切る光となって
戦闘が始まってまず幸が動いた。その動きはまさに閃光のようで早いですむ次元のスピードではない。そのスピードでトルマリンの周
囲を駆け回る。
だがトルマリンはその光景を見るだけで全く行動はしない。
「こんなんで、倒れてくれてもいいんだぜ。」
そういうと先程まで幸が駆け回っていた所が円になり大爆発を起こした。爆風がトルマリン目掛けて吹き荒れる。
「フン、この程度の魔術で私にダメージを与えられると思っていたのか」
「先行はそちらに譲ったのだ。次は私の番だな」
そう言ってすぐ、地面を思い切り蹴り幸の眼前に信じられないスピードでトルマリンが現れ、先程大愛にやってきた攻撃よりも誰が見ても強い攻撃を仕掛けてきた。
だがその魔術を受けたのは幸ではなかった。
「カッ、ゴフェッ」
「くっ…クソ」
なんとその攻撃をもろに受けたのは凌牙と桐奈だった。鮮血が舞う、瞬間的に歩夢が2人に駆け寄り回復魔術を行ったが…
「2人の音が…止まっています」
衝撃とはこのことを言うのだろう。共にここまで来たメンバーのうち2人がいきなり死んだのだ。
幸の中で何かが切れる音がした。
光の速さでトルマリンの目の前に幸が現れ爆発が起こる。その動きはその場にいた誰1人てして正確に視認することができなかった。
「スー、ハー、スー、ハーお前は俺の面子にかけて消してやる」
それは掌底のような攻撃だった、臓器が体の中で揺れる揺れる、それはトルマリンにも確かなダメージを与えた。
『早くなった、ここまで早いのはほとんど見たことがない!こいつを、甘く見ていたか!』
トルマリンが後方に吹き飛び、口元からは血流が流れ腹部には綺麗な跡が着いた。
「ふん、どうやら実力はあるようだな。だが最初からそれをやっておけば良かったものを、2人死んでからなんてあまりにも遅いぞ。まだ出せるなら地獄に行く前に出しておいた方が得策だぞ。」
「知るか、死ぬのはお前だ。俺はこれ以上誰も死なせない、それと周囲には常に気を使っていた方がいいと思うぜ。」
「なに!?」
トルマリンが後ろに振り向くと、全く見覚えのない男がトルマリンを仕留める寸前だった。
大愛も幸がトルマリンに注意喚起するまで気づけなかった。そこには確かに男がいた感情が全くなく冷徹な目をした男が天井からスルッと出てきたようにそこにいた。まさにそれは忍だった。
「殺風」
トルマリンの体を抉るほどの斬撃が男の持っていたクナイから発生した。
『どこから現れた、直前まで殺気を感じ取れなかった。今のでわかった、こいつがここにいる誰よりも強い…』
トルマリンはなにかが吹っ切れたかのように先程までの戦闘スタイルとは打って変わって幸と男に突進をする。
一撃一撃が重かった攻撃が、スピード重視の連撃に変わった。それに幸のようにどんどん加速していく。
『あの2人でも受けきれてない…なんなら少し押され気味じゃないか…なのに俺は何をしてるんだよ、あの中で戦えるわけがないってわかってるけど…本当に…俺にはなにもできないのかよ、2人も…仲間が死んだのに』
大愛は立ちすくした、自分の無力さがあまりにも情けなかった。そう感じているのはなにも大愛だけではなかった。咲綾と霧澄も同じ思い出目の前の戦闘を見ていた。
「私は!こんな所で死ぬ訳にはいかないんだぁぁぁ」
……………数年前
トルマリン・ゼファーはとあるヨーロッパの国に産まれ、家族と動物に囲まれ育った優しい少年だった。
彼の家では代々風の魔術を使って動物たちと共存してきた。それほどまでに裕福の家庭ではなかったが普通くらいの生活を送れていた。
彼は学校でも成績優秀で将来を期待されていた。「有名な大学に進むんだよな」、「君ならこの国をよりよくできる!」と教師から言われていたため日に日に自分自身でもそうしたいと考えるようになった。
両親も彼の有名な大学に進学したいという目標を聞き、すごく応援した。
そして大学入試を迎えた。
それは彼にとっての運命の分起点だったに違いないだろう。
お久しぶりです!ラブコメずっと書いてたのですがこっちも今なら書ける気がして書き切りました!今回の回はだいたい戦闘です。




