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第24話 これ以上、調べるな

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フーティアとフーティナが去ると、応接室は再び静かになった。


ヴェルナーは一人、長いこと机に向かって座っていた。

机の上には、二人が持ち帰ったばかりの調査結果が置かれている。


――少なくとも、この報告の裏が取れるまでは、部隊を南区へ入れるべきではない。


ヴェルナーは作戦命令書を抜き取り、報告書に重ねた。

立ち上がろうとしたところで、不意に窓の外からエンジンの轟音が聞こえてくる。


彼は一瞬、動きを止める。

続いて、軍営の外から切迫した号令が響く。


「全員、その場で待機!」

「許可なく営外へ出ることを禁ずる!」

「通信室を閉鎖、武器庫を封鎖しろ!」


ヴェルナーは窓辺へ歩み寄った。


見慣れない軍用車が数台、すでに駐屯地に入っていた。

次々とドアが開き、完全武装の兵士たちが訓練場を横切って、通信室と武器庫へまっすぐ向かっていく。どちらへ向かえばいいのか、迷う様子もない。


訓練場にいた兵士の一人が事情を聞こうと近づいたが、すぐに制止された。


ヴェルナーは机の上の報告書を手に取り、ドアを押し開けて外へ出た。


廊下の突き当たりには、すでに第二支隊に属さない兵士が二人立っていた。


「ヴェルナー大佐」


一人が敬礼する。


「部屋で待機願います」


ヴェルナーは足を止めない。


「誰の命令だ?」

「第一軍団司令部です」

「理由は?」


兵士は少しの間、黙っていた。


「我々は命令を実行するだけです」


ヴェルナーは彼を見る。

相手は目をそらさなかったが、それ以上は答えなかった。


数秒後、ヴェルナーは報告書を脇に挟んだ。


「責任者のところへ案内しろ」


第二支隊の管理を引き継ぐことになったのは、ヴェルナーの知っている将校だった。軍団の会議で何度か顔を合わせていたが、個人的な付き合いはほとんどない。


ヴェルナーが執務室に入ると、その男はすでにヴェルナーの机の向こうに座っていた。


いつも電話のある場所には、司令部の印が押された書類が置かれている。


「これはどういうことだ?」

「臨時調査だ。第二支隊の全員に協力してもらう」


将校は書類を彼のほうへ向けたが、ヴェルナーは手を伸ばさず、持参した報告書を先に机に置いた。


「南区について、新たな調査結果が出た。スパイとされていた者たちはすでに去り、残っているのは一般住民だ。少なくとも確認が済むまでは、作戦を見合わせるべきだ」

「司令部からは、すでに回答が出ている。任務は予定どおり続行だ」

「それは、この報告が届く前の回答だ」


相手は報告書を開かない。


「ヴェルナー、これ以上調べるな」


ヴェルナーは報告書を押さえたままだ。


「なぜだ? 対象の身元を確認するのも、任務の一部だ」

「第二支隊の権限が及ばないこともある」


将校は立ち上がった。


「お前は命令を実行すればいい」


扉の外から、歩調の揃った足音が聞こえてくる。

ヴェルナーはその音が通り過ぎるのを待ってから、手を引いた。


「作戦を実行する部隊でさえ、自分たちが何を捜しているのかわからないのなら、私の部下に一般住民を捕らえさせるわけにはいかない」

「だから、今から我々が引き継ぐ」


ヴェルナーは何も言わなかった。

相手は手を伸ばし、脇に置いてあった別の書類を取る。


「それに、もう一件ある」


将校はその記録を広げ、ヴェルナーのほうへ向けた。

今度は、記録の一行を指で押さえている。


そこに記されているのは、わずか数行だけだ。


時刻。場所。そして……

対象――白髪の少女二名。


ヴェルナーの視線が止まる。


「昨日の午後、こちらの人間が南区で彼女たちを目撃している」

「彼女たちは国際手配中の『魔女』によく似ている。最後に足取りが途絶えたのは、ほかでもない第二支隊の営地だ」


ヴェルナーはその書類に触れなかった。


「それで?」

「だから、君の説明を聞きたい」

「調査は私が依頼した。彼女たちは一切、軍事行動には参加していない」

「身元は? それと、いつ出ていった?」


ヴェルナーは答えなかった。

将校は記録を押さえていた指を、一行下へ滑らせる。


「素性の知れない白髪の少女が二人、軍の駐屯地に入り、任務の対象区域に足を踏み入れ、作戦開始前に去っていった」


彼は視線を上げ、ヴェルナーを見た。


「それなのに、お前は上官に報告しなかった」


ヴェルナーの表情が、次第に険しくなる。


「何を疑っている?」


将校は答えず、ただ冷たく問い返す。


「彼女たちは魔法を使えるのか?」


ヴェルナーは脇に置かれた南区の報告書を一瞥し、それから相手の前にある白髪の少女たちについての記録へ目を向ける。


この部屋に入ってから今まで、相手はスパイと呼ばれている者たちが実際に何をしたのか、一度も尋ねていない。


「……お前たちが気にしていたのは、そっちか」


将校は記録を閉じた。


「ここまでだ」


扉の外の兵士たちが、同時に一歩前へ出た。


ヴェルナーは彼らを一目見てから、再び机の向こうの将校に目を向けた。


「私の部下はどうなる?」

「全員、調査を受けてもらう。それと……」


将校は書類に目を落とす。


「副隊長のエミールが、現在営内にいない」


ヴェルナーの表情がわずかに変わった。


「こちらで捜している」

「たまたま不在だっただけだと祈るんだな……いずれにせよ、彼は軍の命令に背き、無断で軍営を離れた」


ヴェルナーは何も言わなかった。


外では、足音が次第に増えていく。

第二支隊の営区は、すでに完全に封鎖されていた。


将校は机の上の報告書を脇へ押しやる。


「現時点をもって、君の指揮権を一時停止する」

「すべての書類、武器、通信機器は一括して封印し、保管する」

「第二支隊の全員に、個別の取り調べを受けてもらう」


少し間を置いた。


「君については――」


視線がヴェルナーに戻る。


「君とは、まだ話さなければならないことがいくつもある」


ヴェルナーはその場に立っている。


窓の外では、第二支隊の兵士が数人、武器を置くよう命じられ、一列に並ばされていた。


彼は長いことその光景を見つめ、やがて、ただ静かに息を吐いた。


「……わかった」


扉の外の兵士たちが入ってきた。

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