07
チームを替えて初陣、俺はあの日以来の近郊の森へ来ている。新人冒険者の町であるシエラは聖ラティア王国の南西にあり、王都セラヴィと西部最大、硝子細工で有名な光輝都市ティーロックを繋ぐ輸送路でもある。その近郊の森は決して広大では無く新人冒険者には最適な狩り場である。
「行くぞ。」
暫く歩いて、ウーゴは3体で歩くゴブリンを見つけて俺等に合図を送る。俺はカミロのお下がりの盾と剣を構えて準備をする。
草陰を出るとゴブリンは、隣で立っているクラウスを無視し、目の色を変えて俺へ特攻して来る。先頭のゴブリンが目を見開いて剣を振る。
マルティナに比べれば速度も精度も劣る。
俺は、冷静にカミロのお下がりの盾にある印を見てゴブリンの剣をパリィする。全体重を掛けて剣を振り下ろしたゴブリンは、パリィによりバランスを崩して地面に倒れた。
「隙あり!」
倒れた所でポロが出て来てゴブリンを斬る。断末魔を上げるゴブリンはすぐに息絶える。
即、続けて2体、仲間の死も気にせず同時に突撃して来る。俺はパリィをしようとするが、2体同時には往なせず失敗し、盾で受けた。
「…痛ぇ。」
左腕が痺れ、正面で受けた事で湿った地面に足を取られ、膝が崩れる。
「アル!クラウス、援護を。」
「クラウス、悪い。」
ウーゴの声が響く。俺はゴブリンとの間合の間にクラウスとクラウスの装備している大盾を挟む事で体勢を立て直した。クラウスも何とか大盾に隠れるようにして一時を凌ぐ。
「俺を無視するなよ!」
ポロは俺に集中しているゴブリンを背後より急襲し、ウーゴも続く。ゴブリンは流石に背を斬られると俺への注意を外して振り返る。
「クラウス、立て直すぞ。」
俺はクラウスの前に出て、最後ゴブリンの注意を引く。ゴブリンは血眼で俺へ振り返り、その刹那、ウーゴとポロが各体へトドメを刺した。
森に戻る静寂、3体のゴブリンの死体からは血の臭いと体臭が漂って来る。
ウーゴは笑顔を見せる。
「良し!」
ポロが拳を掲げる。
俺はクラウスを労って前衛を離れて周囲を観察し、ウーゴとクラウスは戦利品の回収を始める。
「アルブレヒト君、凄いよ。」
「…アルで良いって。それより周りを警戒しておけよ。俺が見えた瞬間、ゴブリンは襲って…あ。」
今回出番無しの後衛2人の所へ行くと、エリシアに賛辞を送られる。パメラも横で小さく拍手をしている。俺は2人に指示を出すがその最中、少し離れた所で、ゴブリン2体が俺へ向けて走り出しているのを見つける。
「ウーゴ!」
俺は戦利品回収中のウーゴへ声を掛け、エリシアとパメラと距離を取って盾を構える。ゴブリンはエリシアとパメラを無視して俺へ。俺は1体目のゴブリンをパリィする。ゴブリンの体は左側に流れて隙が見えた。俺はそのまま反射で剣で斬り倒す。
「…おぉ、出来た。」
俺は自分でも驚く。それでも初討伐の余韻に浸る余裕は無く、続けて来る2体目を、取り敢えず盾で受ける。
「エリシア、パメラ!」
俺は声を掛ける。エリシアとパメラに背を向けるようにして受けたので2人は攻撃出来る。
エリシアは慌てて麻痺ビンを投げる。
ゴブリンは苦悶の表情を浮かべたが、俺への攻撃を辞めず、俺は盾で受け続ける。
「パメラ、射れ!」
その横のパメラは顔を青くして震えており、構えずそのまま。俺はパメラに声を掛けるが、パメラは更に萎縮してしまった。
「俺の3体目!」
その内にポロが叫声をあげて駆け付けて、ゴブリンを斬り倒す。数歩遅れてウーゴも到着した。クラウスは遠くで躓いて転倒している。俺は追加の2体の死体とウーゴを見て溜息を吐く。ウーゴはパメラには特に何も言わず、俺を見た。
「手、貸すぞ?」
「まだ行けるが…取り敢えず回収するものを回収して帰るぞ。」
ウーゴに対して俺は告げる。
「良し、俺討伐数3体だぞ!」
俺はクラウスに自慢して意気揚々としているポロを見て、再度溜息を吐くのであった。




